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#006 アマランス

 「んじゃあ、まず杖取りに行くか」


 アマランスはくるりときびすを返すと脇道を出て行った。


 「ねぇ、ソーアあいつ信用してもいいの?」


 正気に戻ったシュリはソーアに耳打ちした。


 「わからない。でも……」

 「でも、何よ」

 「でも、あの人は自分達と近い気がする」

 「何その感じ。でもソーアがきっちり判断できないなんて珍しいね」


 ソーアはそんなことないよと道を指差した。


 「行こう」



 混んでる時間が過ぎたのか先ほどよりは空いていた。

 杖を取り、靴屋で黒い靴を買った。

 アマランスのお金でだが。


 「ちょっこっち来て」


 アマランスに連れられて来た場所。

 それは、山から見たあの展望台だった。


 「え、これ登るの」


 ソーアは落胆した。

 展望台の頂上に行くには、千年樹のように太い支柱。

 支柱に絡みついた、天まで続くかのような螺旋階段(らせんかいだん)が設置されていた。

 螺旋階段の両脇にはコマ犬が置かれていた。

 山を下り、強盗に絡まれ、街をたくさん歩いたソーアはもはや体力の限界を超えていた。


 「早く行こ」


 どこにそんな気力が残っているのかシュリは階段を登っていた。


 「何でそんなに元気なんだよ。ウソだろ〜」

 渋々、ソーアは登り出した。

 その後ろ姿を、紫の女性は睨みつけていた。



 「うわ〜きれい……」


 一番乗りで階段を登り切ったシュリは思わず呟いた。

 その後を、ソーアが息を切らしながら登ってきた。

 アマランスは相変わらず睨み続けている。


 「ソーアも見てよ」

 「はぁはぁ、どこをだよ……うわぁ」


 二人の目の前には沈みかけの夕陽が街を照らしている。

 夕陽が展望台の二人を真っ赤に染める中、一人、日陰の中にいた人物が口を開いた。


 「じゃあ、教えてもらうで。なんでそのペンダントを……私が姉ちゃんにあげたそのペンダントをぶら下げているのかをっ!」


 腹の底からとてつもなく低い声。それでいて、体の芯まで響き渡る大きな声を出した。

 ソーアとシュリは驚いて振り返った。

 

 「あ、姉! ってことは母の妹ですか?」


 ソーアの感じた近い感じはこのことだったのか?


 「母……?」

 「このペンダントは……」


 あの惨劇を思い出しシュリは泣き出した。

 なんとか平常を装いソーアは一歩前に出てアマランスに今までの出来事を話した。

 外は陽も落ち暗くなっていた。

 展望台には火のランプが置いてあったので話の途中につけた。

 

 「なるほど。そうゆうことやったんか。んじゃあ、整理すると、誕生日会やってるところに、白ローブが来て、父親は亡くなってしもて、姉ちゃんは氷漬けにされて、姉ちゃんの命令で《秘密の扉》を開けてここに来たちゅうことか」


 ランプに火をつけながらアマランスは要点をまとめた。


 「は、はい」


 命令という言葉に引っかかったが、はい、と答えておいた。

 一応、騎士に追いかけられてた事は伏せておいた。この人もいち、騎士だからだ。

どうやら疑いは薄れたようだ。


 「んじゃあ。姉ちゃんは生きてんで」

 

 そう信じたい。だが、現実的に考えてあり得ない。

 ソーアとシュリは耳を疑った。

 

 「何故そう言い切れるんだ」


 シュリが疑いの目を向け問いかけた。


 「氷は確かに私たち一族の弱点や。やけど姉ちゃんはそんなにやわじゃない。この国最強と名高い騎士や。もちろん氷の訓練は何度もしている」

 「じゃあ、私たちも助けに――」

 「やめといた方がええ」


 いちるの望みをアマランスは放そうというのか?

 ソーアには信じられなかった。

 

 「何故です。それでも妹ですか⁉︎」

 「シュリちゃん。私は誰かもわからないやつにノコノコと出ていくのは危険やと言っとんねん。それにそいつらは……」

 

 苦虫を噛み潰したような顔をし「くそが」とアマランスは吐き捨てた。


 「ごめん。見苦しいところを見せたな」

 「僕からも質問いいですか?」

 「なんだソーアくん?」

 「何でこの《赤と青のペンダント》が母にあげたものだと分かったんですか?」

 「あーだってね」


 そういうと二人に近づいき、ペンダントを指差した。


 「貸して」


 二人からペンダントを受け取ると半円球の球を取り出した

 よく見ると、凹凸が見受けられた。

 慎重にもち二つをきれいにはめた。


 「だってこれ、私が作ったものやもん」


 言った直後。


 「いたぞ!」


 大勢の騎士が出口に固まっていた。

 

 「どうゆうこと」

 「これはこれは、パープライト様。こいつらは国家会議を盗み聞きした疑いがあります。総員、捕まえろ!」

 「はっ」


 すごいスピードで二人は捕まってしまった。


 「その子は私の――」

 「パープライト様。ご協力感謝します」


 一言、リーダーが言うと、僕たちは連れて行かれてしまった。


 

 

 

 

 

 

 

 

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