#59 断末魔
スイキがゴーストの額をわしづかむと急に断末魔のような叫び声を上げる。
「ぎゃーーーーー!!」
ソーアとシュリはとっさに耳を塞ぎ、廊下に出る
鼓膜がはちきれそうだ。
シュリが出たと同時に扉を閉める。これだけでだいぶマシだ。
たった数秒行っただけなのに体力の消費が半端じゃない。
ソーアとシュリは隣のマジックミラーの部屋に入った。
中の人達も全員しかめっ面をしながら耳を塞いでいた。
ゴーストが上にもがきながら叫び声を上げている。溺れているかのようだ。
ライが耳を塞ぎながら、入ってきたソーアに大声を出した。
「あれは大丈夫か!」
マジックミラー越しにゴーストを指差す。
「たぶん大丈夫です!」
「本当か?」
数分後、スイキが「はっ!」と目を覚ました。と同時にゴーストの悲鳴も収まった。
ソーアは急いで取り調べ室に戻る。その後をシュリも急いで追う。
扉を開けると、息遣いを荒くしたスイキと、魂が抜けたように放心状態のゴーストが椅子に寄りかかっていた。
「スイキ。わかったのか?」
チラリとソーアを見とめ、ニヤリと口の端を上げ近づいてくると、ニュルリとソーアの体内に入ってきた。
瞬間、スイキがゴーストの身体に入っていた時の記憶が入ってきた。
特にこれといった情報はなかったな。このゴーストのコードネームがフォックスということぐらいか……
このボスは重要なことは何も言わない。かなり慎重な人ということか。
「フォックス。大丈夫か?」
「…………おまえが……言うかよ……」
かなりグッタリした様子だ。
『へえーあの痛みに耐えられたんだ』
スイキが感嘆の声を上げた。
『どんな痛みなんだ?』
『僕は水を使う鬼だからずっと溺れているような感じだね。だいたいは気を失ってしまうことが多いんだけど。今回はイレギュラーだな。現実で溺れているわけではないから俺が記憶の接続を切らないと夢の中でずっと息ができず、溺れているようになるというわけだ』
だから、上にもがくようにゴーストは手をバタバタさせていたのか。
あの変な動きにも納得ができた。




