#038 脱走
「じゃあその操っている奴を殺せばダーリャは解放されるの?」
「恐らくはね」
「じゃあその特徴とかわかる?」
「異能を持っている奴はだいたいフードをかぶっていないやつが多いな」
†
ん? この声はシュリとアマランスとイグニスとシエルそれにライも一緒にいるな。
それじゃあここは地上なんだな! というかスイキおねんねの時間は終わりか? なんで何回よんでも反応しなかった。
俺がお前に反応する義務でもあるのか? クスリで眠らされていたんだよ。
ああ、あの時のやつか。
ソーアは首に打たれた注射器を思い出す。
中の成分には、鬼を一ヶ月は眠らせれるクスリも混ぜ込まれていたんだ。
だから、今まで話しかけても何の返事もしなかったわけか。
逆に感謝してほしいよ。こんなに早く復活したんだから。
ハイハイ。スゴイ、スゴイイイイイー。
なっ⁉︎ なんだよその言い方。
でだそのオールスター達は僕を助けに来てくれたのか? っていうか何でいるってわかったんだ?
鬼達はもともと耳がいいんだ。それに黒鬼の俺にかかレバー……って聞いてるのか?
嫌でも聞こえるよ。で、助けに来てくれたってことはもうやっちゃっていいよね?
何をだよ。
ここから脱走することをだよ。
でもさっき使ったみたいに水を操ることはできないよ。
でもこのぐらいの鎖なら切れるんじゃないか?
ソーアはスイキに見せるように自分の繋がれている鎖に目を落とす。
うわぁ手こんなことになってたんだ……。でもこれくらいのものなら切れるよ。
良かった。なら前の監視が交代の時に鎖を切って、監視の服を奪う。
いいと思うけど。あれはなんだ。
スイキが言っていることがすぐに理解できた。
短い円筒形の形をし、真ん中で赤色の点がひっきりなしに点滅している。監視カメラだ。
あれは監視カメラだ。遠くから見れる目みたいなもんだ。
じゃあ、監視の服を奪ったって意味ないだろ。
ないよりはましだ。少しのカモフラージュくらいにはなるだろ。
まあそう、うまいこと行けばいいが。
監視が外に出て行った。
グッドタイミングというべきかそろそろ交代の時間だろう。
こいつらは安心しきっているのか結構自由に行動しているのが多い。
その中で一番監視を外れる時間が長いのは交代の時だ。
長いといっても三十秒ぐらいだが、それで十分だ。
部屋の扉を閉めた瞬間。
左手で四肢に取り付けられている鎖を全て切り落とす。
ジャラジャランと大きめの音が響いたこともあり、別の監視はすぐに帰ってきた。
焦った様子で、扉を開けるとそこにはもぬけの殻――では無かった。
「んん…………」
いつかの時と同じように壁に張り付き、待ち伏せしていたのだ。
監視のゴーストの口と鼻を押さえ気絶させた。
ゴーストの身につけているものを漁っていると。
――フォンフォンフォンフォンフォンフォン。脱走。脱走。




