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#037 異能

「ねぇほんとにここであってるの?」


 イグニスが目の前の草原に目配せする。


 「ああ。ここで間違いない」


 シュリ達は、ソーアが囚われた平原を見渡せる岩の陰に身を隠していた。


 「昔も今もあまり変わらないが、ゴースト達は基本、剣でしか戦ってこなかったが、最近は、カラとは違う変な特殊能力を持っているものが少数だが確実に存在している」

 

 さすがというわけか、専門に追っているものだけあってかライは他の騎士団の人も知らないようなことを知っている。

 

 「ん? 異能ってこと?」

 「まあファンタジーチックだがそんなところだ」

 

 「あっ」とシュリが思い出したように声を上げた。

 全員の視線が集まる中、臆すことなく言う。


 「そういえば、さっき試合した。対戦相手……」

 「ミロワールとミュールだろ? それくらい覚えとけよ」

 

 忘れかけていた名前をシエルが呆れた顔で付け足した。

 シュリ自身全体的に頭が良くないことを知っているので突っ込みを入れずに続ける。


 「そうそいつら。戦っている時に『異能展開』だとかなんとか言ってた」


 流石に印象的すぎる謎のあの幻覚は忘れてはいない。

 「まさか」と何かひらめいたのかずっと平原を凝視していたライは急に振り向いた。


 「なぁ確か、そのコンビが現れたのは……九年前だったよな」

 「そうやけど……何で?」

 「そして、ロボットだっけか……そいつらが現れたのは確か十年前。国が襲われてから、一年後に現れた謎のコンビ。こんな偶然があると思うか?」

 

 一つの考えを共有したかのように、シュリ以外が口に出さずともその考えが読み取れた。

 

 「でも、メリットがないやん」

 「って、おいライじゃあそのロボットが入ってきたワープ口はまだ開いたままなのかよ」

 

 アマランスとシエルが同時に喋ったせいでライがせわしなく両者の顔を眺めていると、シエルがアゴで『お前の方からでいい』と言いたそうな感じで合図した。

 ライは、「じゃあ」と話し出した。


 「メリットは大いにあると思うよ」

 「な、何で?」


 速攻否定されたのがしゃくに触ったのか、少し不服そうな顔をした。


 「大会の優勝者には公式ではないが絶対といっていいほどカラフル騎士団の勧誘が来る。だから、少しでも強者を大会という公式試合で殺していたんだと思う」


 アマランス自身納得がいったのか何度もうなずいていた。


 「で、シエル。それもない。その時のワープ口は完全に消滅している」

 「じゃあ、その時の混乱に乗じてってことか?」

 「いやアマ、それはないんじゃないか? 確かリーラがそこの街ごと破滅させたんじゃなかったか? だからそんな時間――」


 「ない」と言う言葉を言い終わる前にライが口を挟んだ。


 「シエル。断定させるのは危険だ。リーラが駆けつけるまでに時間が、かかっている。その間に街から出てていれば問題ない話だ。これは完全に俺の予想だがもしも本当に奴らが、ワープ口をどこかに作れているのなら異能の持ち主が大勢いてもおかしくない」


 ライが「そして」と眼前に見える暗闇の向こう。平原を指差す。


 「ダーリャ。あの子もなんらかの異能によって操られている可能性が高い」

 

 

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