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#032 嫌な予感、的中

 †数時間前†


 少女が(さや)に刀をおさめる姿をみて時が止まったかのように、世界は沈黙した。

 カチンと音が鳴った時を境に、観客は興奮の嵐を作った。


 「「「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」」」


 その中でひとり涙ぐんでいる人を見つけた。

 紫の髪をゆらすアマランスである。


 「良かった……死ななくて……」

 「俺の教えに問題なかった」

 「んん〜最高だね」


 皆口々に感想を言うなか、今まで見入っていて自分の仕事をしていなかった実況者が立ち上がった。

 

 「なっ、何ということだ〜! あの最強と(うた)われた絶対王者を破るとはいったい何者なんだ〜!!」


 人々の興奮をさらに()き立てる。

 

 「良かったアマさんの嫌な予感が当たらなくて」


 ホッとソーアは胸をなで下ろす。

 

 「ソーアく〜ん。シュリちゃ〜ん」


 アマランスが手を大きく振る。

 二人も大きく振り返す。

 英雄のがいせんはこんな気分なのだろうかと思いつつ、シュリに目配せする。

 ニコッと笑い『おわったな』と今にもきこえてきそうな笑みでこたえる。

 だがまだ完全には終わっていなかった。


 『任務失敗――――第ゼロ任務に移行せよ』

 

 キュィィィィィィィ――


 「はっ?」


 シュリは恐るおそる振り返る。

 そこには腹を切られた二人の男が立っていた。


 「シュリーー!」

 「おいっ……嘘だろ……」

 

 刹那――

 つむじ風が起こり死んだ男の首を切り取った。

 瞬間、ミロワールとミュールの身体は跡形もなく砂となった。

 

 「命令に背くな」


 何だこの声は⁉︎


 周りを確認するが声の主は見当たらない。

 

 「ソーア……上だ……」


 ぼうぜんとシュリは上を向きながら告げる。

 

 「上っ……」


 シュリと同じように、固まってしまった。

 観客もみなあっけに取られている。

 そこには、銀色の髪をなびかせ狐の面をつけた背の低い少女が空中に浮いていた。

 

 僕よりも年下か?


 「ソーア、シュリ、こっちに来い。選択の余地なんてないが、イェスかイェスで答えろ」

 「嫌だ」


 シュリが即答すると、何が面白いのか突然、笑い出した。

 

 「ハハハハッ。選択の余地なんてないと言っただろ!」


 瞬間、ソーアに狙いをつけたのか地面から風が吹き出した。


 「わっわっわーー!」


 この時ソーアは思ったこれがアマさんが予想していた『嫌な予感』なのだと。

 必死に耐えていたが限界がきてしまい、少女の手の届く範囲まで飛ばされた。

 

 「うわっ鬼化してる。一応、これを持ってきといて正解だったな」

 「おい! やめ――」


 背負っていたリュックから、黄色の液体が入った注射器を取り出すと、ソーアの首にぶっ刺した。

 その瞬間、ソーアの意識は無くなった。


 「ソーア! カラたちよ行くぞ」


 (つか)に手をかけシュリは素早く抜刀。

 紅蓮に彩られた火のカラを一文字型で飛ばす。

 命中したと思われる派手な爆発が(とどろ)く。


 「やったっ!」


 初心者のシュリにとって一番カラを使う技を打ったことと、達成感が重なり、ヘナヘナ座り込んだ。

 

 「戦場で座り込むとはいい度胸だな」


 聞こえるはずのない、聞こえてはいいはずのない声が上空からきこえた。

 

 「人質がいるのに技を放つとは、君はバカだね。次はこっちの番だ」


 言うや否やシュリの下に風が吹く。

 

 「やめろー!」


 赤と青と紫の髪の大人が、眼前に降り立った。

 偶然、三人とも席を外していたので緊急事態に気付けなかったのだった。


 「ん? あなたまさか……」

 

 信じられないといった目でアマランスは首を振る。


 「チッ状況が変わった」


 ソーアの腰を持ち、男として恥ずかしい格好にされた状態で少女はさらに高く飛び上がり、雲の上まで来ると疾風となり飛んで行った。


 

 


 

 


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