#026 大会
僕たちは先に来ていた敵チーム。ミロワール、ミュール、チームと対面する。
ソーアはアマランスの言葉を思い出す。
「ミロワール、ミュール、ペアは毎年連勝してる最強ペアや。彼らの髪色を見たらわかると思うけど奴らはカラを保有していない。やけど、ミロワールは殴る、ミュールは蹴るスピード。んで走るスピードといいその全てがピカイチや。それで置いて、連携力も引けを取らへん」
「そんな奴にどうやって勝つんだ」
シュリが、拳を壁に一発、力強く殴る。
鈍い音が部屋中に広がり、心の奥底に不安となって響く。
「でも大丈夫や二人の訓練に比べれば、あんなの蹴散らせるよ」
ただ、その後に続いた言葉が妙に心に響いた。
「能ある鷹は爪を隠す。能ある戦士は切り札を隠す」
「それでは、はじめ!」
またも、けたたましい音と同時に右頬に衝撃が走った。
「ソーア!」
シュリの叫び声が段々と遠ざかっていく。
少し遅れて、自分が投げ飛ばされた事を理解する。
受け身の体制をとり起き上がる。
額から流れ出た鮮血を服の袖で拭い、ソーアを殴ったミロワールへと銃口を向ける。が、
「遅いねえ」
熊のような体格の割にネズミのような軽い脚さばきで射程外へ移動。そのまま距離を詰めてくる。
照準を合わせようにも早すぎて合わせられない。
「あたれ! あたれ!」
まるで当て物のようにネット弾をミロワールへと発砲。
その中の一発が、見事に命中。
水のカラのネットが彼の体を中心に展開。
あっという間に四肢を拘束し、がんじがらめになる。
「よし」
嬉しさにグッドポーズをする。
シュリの方はうまくいったのかな?
そう思ったのも束の間。
「騎士団のおもちゃか」
そういうやいなや、全身の筋肉を使ってネットをはじき飛ばした。
なんのダメージも与えられた様子もなく、すました顔で首をポキポキとならす。
「……っまじかよ……」
照準を合わせ、またネット弾を放つ――前にみぞおちに拳がのめり込んだ。
「……っがは」
思わず口から鮮血が流れ出る。
すかさずソーアの頭をわしづかみにし、地面へと激しく叩きつける。
「子供は殺したくはなかったね」
片方の拳を強く握り、振り上げる。
「さような――」
「ソーアに触れるなぁぁぁぁぁ!!」
鬼のような形相で叫びながらミロワールに斬りかかる。
腕に仕込んだ鉄板とシュリの刀身が激しく迫り合い、間を焼かんとばかりに火花が激しく散る。
「んん〜」
そんな何ごともないようにシュリの素早い剣術を回避する。
両者共々、形成を立て直すべくして、後方へ飛び退く。
シュリはなんとか起き上がったソーアのもとに、ミロワールはミュールのもとへ、さがる。
「ソーア。シェアタイズが発動しないんだけど、何故かわかる?」
敵を見据えながら、今更わかり切ったことを聞いてきた。
「僕とシュリの考えていることが違うからだろ」
「わかってるんだったら、さっさと時間切れなんてこと捨てて殺すことだけを考えろ!」
髪を無造作に結び前傾姿勢を取る。
「血が騒ぐねぇ」
地面をえぐりとり、弾かれたように駆け出す。
「アハハハハハハハハハハハハ!」
狂気の色をまといながら突進。
ミロワールとミュールに一対二の状況で華麗に捌く。
「速さが上がったねぇ、でも……」
「ミロワールいくよ。はい、ワン!」
ミロワールがシュリの右脚を蹴りバランスを崩す。
「はい、ツウ!」
ミュールが一歩下がり、絶妙なタイミングでミロワールの拳がシュリの頬に炸裂。
「はい、スリー!」
言うや否や、刀で第三撃を必死に防ぐ。が、
同時にシュリの右頬と右脚に打撃。
体を突き抜けるような痛みが迸る。
「シュリーーーーッ!」




