#024 決戦前
ついにむかえた大会当日、ソーアとシュリは順調に試合を勝ち進んでいった。
「おつかれ〜アマが弁当広げて待ってるよ〜」
イグニスがいつものようにのんびりと手を挙げて、並んで来た二人を出迎えた。
「ああ……ありがとうございます」
ソーアは流れる汗をタオルで拭った。
イグニスに連れられて、アマランスがいる所へと来た。
パーティー用なのか、かなり大きなお弁当箱におにぎりをカツカツに詰め込んでいた。
ここは日本の地下であるという事を再認識させられた。
「お疲れ様! 訓練の成果が出でるやん」
「俺の教えに間違いはなかったな」
シエルは気を良くしたのか、威張って見せた。
が、皆に白い目で見られ、助けを求める子犬のような目でアマランスに助け舟を求めるがお手上げといったふうに肩の高さで両手を上げた。
助けて貰えないと瞬時に判断したのか次はソーアに目をより一層細めて「自分の師、先生を助けろ」と今にも聞こえて来そうな目でこちらを睨んだ。
ソーアは全く気乗りしなかったが、ここまで勝ち進んで来たのはシエルのおかげであるのは事実なので仕方なく助け舟を出そうとした矢先。
「もう無理っ」
シュリは待ちきれずにおにぎりを手に取り、かぶりついた。
ピンク色のきれいな梅干しが顔をのぞかせていた。
「あ〜ちゃんと手を洗ったの?」
「あんたには一番言われたくないよ。米粒ついてるし」
頬に米粒をつけたマイペース男、イグニスに非難の声を上げる。
意表をつかれたような顔をした後、「あ、ほんとだ」と呟き、舌で器用にペロリ。
そんなたわいもない会話をしているうちにお弁当は空っぽになった。
「ほえ〜お腹いっぱいだよ」
「もう無理」
口々につぶやくと、アマランスは子供を見るリーラの顔にそっくりな顔で微笑んだ。姉妹なのだと、またも再認識させられた。
「それはよかった。絶対に優勝してくるんやで」
アマランスは両手を左右へ、イグニス、シエルに両手を突き出した。
その手をがっしり掴むと、今度は赤と青の師が弟子に片手ずつ手を突き出す。
ソーアとシュリは目で示し合わせ、ゆっくりとうなずく。
差し出された手をがっしりと掴み、円陣を組む。
これには、『皆の気持ちをひとつにする』簡易的な儀式なのだと、幼少期から、つまりはリーラから教わった。
「絶対勝つんやで!」
「応援してるからね〜」
「負けことは許されないぞ」
鼓舞と応援と注意が入り交じる声援の中で裁判所の一件が頭をよぎる。
死ぬかもしれない。負けたら死ぬ。
そんな覚悟を気め込んだ。
「「了解‼︎」」




