#022 波紋
「ど、ど、ど、どうゆうこと⁉︎」
「どうもこうも、そういうことだ。あの少女は僕たちから『シェアタイズ』という単語を引き出す為に接触したんだ」
日が沈み出した夕暮れ時。二人は大声を出してしまい、図書館にいると周りの目が氷のように冷たかったので、訓練所に帰る道すがらソーアの考えをシュリに話していた。
「あと、『シェアタイズ』。この単語はあまり口に出さない方がいいだろう」
「なんで?」
「僕たちにしか聞こえない声なんかおかしいだろ」
「え、どうしてそう言い切れるの?」
「あの場にいたみんなの反応だよ。シエルさんを気絶させてから、一回も声のことについて話さなかった」
「でも、シエルを私たちが倒したことで、印象が薄れたんじゃない?」
シュリが小石を蹴が横に流れる川にポチョリと落ちた。
水の波紋が広がるように、ソーアも考えを広げていく。
「そうかもしれない。ただ、いくら印象が薄れたといっても、かなり印象的なはずだ。話に一切出ないのは、あまりにもおかしいんじゃないか? 僕は、あの声を僕ら二人にしか聞こえていなかったと思うよ」
「なるほどねー」
シュリは全くもって理解していないが、解ってるふうに相づちを打った。
空を見ながら、返事をするシュリを見て理解していない事を悟ったソーアはため息をつきながら話をまとめた。
「まあ、つまり、『シェアタイズ』という単語は出さない方がいいってことだよ。あの少女のこともあるし。でも……誰かに話して意見交換した方がいい。誰か、信用できる人は……」
「アマとかどう?」
「あーアマさんが一番信用できるね」
頭の中の波紋が収まった時、気付くと訓練所の門の前まで来ていた。




