#010 地獄だ
暗雲が垂れ込めている。
この世界の心そのものみたいだ。
直後、とても大きな羽音がアマランスの上を通過した。
「はぁーあっ!」
目を開けると紫色の球に飲み込まれて行く。
プルプレウスを殺した忌々しい男が追い詰められてジタバタしている。
「お、おい! なんだこれっ!」
「ぼくちんにもわからないでやんす――」
言い切る前に銀色の生物と共に飲み込まれていった。
バッサバッサと大きな羽音をたてて降りてきたのは、真っ黒い漆黒の毛並み。
たかの翼と上半身、ししの下半身を持つ獣。
リーラが乗っているグリフォンだった。
リーラはカラフル騎士団の黒い軍服を着用している。
「だいじょ……」
リーラの目は大きく見開かれた。
顔が二人の血で血まみれになったアマランスの胸の中に眠る男の子に言葉を失った。
「くっそぉぉぉ‼︎ 『人を、家族を守る』ことがカラフル騎士団の意義とかほざいといて! 弟一人守れないなんて! あの時と一緒じゃねぇかぁぁぁっ!」
リーラは涙で顔がぐしゃぐしゃになった顔で泣き叫んだ。
弱目にたたり目、同じ銀色の生物が次々と空から隕石のように降ってきた。
振り向くとアマランスに勢いのまま怒鳴った。
「逃げてぇぇ!」
リーラの漆黒のグリフォン、セイブルにアマランスは死んだプルプレウスと共に乗った。
リーラは二人を乗せたセイブルが、暗雲の中に遠ざかって行くのを確認した。
右手に持っていた杖を地面に突き刺した。
「全身に宿りしカラ達よ、私に力を貸してっ!」
すると、リーラの杖を中心に紫色の半円球
が急速に町を飲み込んでいった。
町が飲み込まれて行く姿を見て誰もが思っただろう。
『地獄』だと。




