表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

 4月の始めの、とある朝、イフ中学校の校門前の道に、アルムの姿があった。大勢の中学生の中で、高校の制服を着たアルムの姿は、周りに少し違和感を感じさせたが、アルムはしっかりとした足取りで学校へと向かう。行き先は通常の教室ではなく、別棟の特別校舎だった。

「おい、お前、アルムじゃないか」

 中学校の校門を入ってすぐに、誰かがアルムの声をかけた。アルムが立ち止り、後ろを見ると、そこにいたのは、ロビンだった.

「お、お前・・・」

 ロビンの顔を見ると、アルムの顔がみるみる怒りに変わり、反射的に両手は拳を握った。

「何だ、アルム。殴りたいのか。まだ、あいつ、クレーベのことを気にしてるのか」

 周りの中学生が驚いて2人から離れた。

「殴りたいなら殴れ。アルム、殴ってくれ」

 そう言われ、アルムは一瞬、拳に力を入れたが、そこでロビンの変化に気が付いた。以前は、アルムを見据えるようにしていた目が、今は小刻みに震えているように見える。

「おいロビン、どうしたんだ?あれ?お前、1人か?」

 よく見ると、常にロビンとつるんでいたリュート、フォルスの姿が見えない。

「ああ、あいつらなら、最後の最後で検定に受かったよ。俺も、もう少しで合格だったけど、結局はダメだった」

 アルムの動きは、そこで止まってしまった。目の前にいたのは、以前より一回り小さくなったロビンだった。

「クレーベのことは悪いと思っているよ。でも、まさか死ぬなんて思わなかったんだ。奴が生意気な口をきくから、少し懲らしめてやろうって思っただけなんだ」

 ロビンは、そう言うと目頭を押さえた。泣いていた。アルムは一瞬、ためらったが、言葉を続けた。

「僕はとにかくクレーベの無実を証明したかった。お前らに本当はカンニングなど見ていないと言ってほしかった。それだけだ」

 するとロビンは、

「そんなことしたら、逆に俺ら処罰されると思ったんだ。だから、リュートとフォルスの3人で決めた。でも悪かったと思ってる」

 小さくなったロビンを見ながら、アルムは思い出した。

「僕はやってない。みんな、信じてくれ」

 教室でクレーベが発した、必死の声だ。アルムが抱いていたロビンへの憎しみは、あの時、クレーベに声を掛けられなかった自分への憎しみでもあった。でも、さらに思い至った。クレーベが死を選んだことは、アルムの、そしてアルムだけではない、ロビンの、リュートの、フォルスの、心に傷を作るだけに終わる行為ではなかったのか、と。

「高校レベルを全部落第なんて、君も相当だね」

 少しして、アルムがロビンに投げかけたのは、そんな言葉だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ