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 クレーベの死を知った翌日、アルムは学校に行く気になれず、1日、部屋に閉じこもっていた。自らを責め、ロビンを責め、死んだクレーベまでを責めた挙句、アルムは自分の知ってる限りのことを担任のパイソンに話すことを決意した。教室で最後に見たクレーベの顔を、アルムは、どうしても頭から消すことができなかったのだ。

 アルムが、やり切れない思いのまま、学校に戻ると、教室ではクレーベの自殺は、カンニングがバレたことで衝動的に死を選んだといった話が、他の生徒や先生の間から、聞くともなしに伝わって来た。さらに、ロビンの名を口にする生徒もいたが、ロビンとつるんでクレーベを殴った生徒の1人・リュートが学校の役員の息子だそうで、それでクレーベの自殺についての話が、これ以上、拡大しないように学校からの圧力がかかっている、といった話も耳にした。

 最初少し躊躇していたアルムだったが、だんだんとロビンも、そして周りの生徒たちの存在も、許せないものに思えて来て、その日、授業が終わると即、彼は職員室へ飛び込んだ。

「君の訴えは分からないでもないが、クレーベ君がカンニングをしてないという証拠もなければ、それをロビン君が見ていないという証拠もない。そして、一番肝心なのは、クレーベ君が何も語らず死を選んでしまった、ということだ。彼が例え無実にしろ、彼は自らの無実を証明する機会を放棄してしまった」

 バイソン先生の言葉に、アルムは言い返すことができなかった。唯一思ったのは、ロビンがカンニングを見たと嘘をついているのなら、それを直接、ロビンに問いただすことしか、この問題の解決策はない、と言うことだ。結局、リュートの噂などの話は口に出せないまま、アルムは職員室を後にした。

 アルムがロビンと相対したのは、翌日だった。授業が終わり、教室を出て行こうとするロビンの前に、アルムは立ちふさがった。

「正直に言え。お前、カンニングなんか見てないだろ」

 アルムが言うと、ロビンは訝しそうな顔をして、小声で何か言ったが、そのままアルムを避けて通り過ぎようとした。そんなロビンを見て、アルムは咄嗟に殴りかかった。

 アルムの拳は、ロビンの肩の辺りに届いたが、するとすぐ、ロビンの近くにいたリュート、フォルスの2人がアルムに罵声を浴びせ、そのままアルムの両腕を抱えて校庭へと連れ出した。そこでアルムは3人に、殴る蹴るの暴行を受けたが、反撃はできなかった。

 しばらくして、3人を止めに入ったのは、先生たちだった。周りには数十人の生徒がこっちを見ていた。

「最初に殴りかかって来たのは、こいつなんです」

 ロビンが先生にそう言うと、

「僕らは止めに入ったのですが、抵抗して来るので、つい反撃していまいました」

 リュートが、付け加える。アルムは、「それはロビンが」と言いかけたが、

「もういい加減にしなさい」

 と無理矢理、先生に引き離され、その日はそれで終わった。

 翌日、アルムは学校から「1カ月の自宅謹慎」の通知があったと、母親から聞かされた。その日、アルムは母親と念のために病院に行ったが、体の傷は大したものではなかった。

 アルムは、その日から、ネットやゲームで1日の大半を過ごすようになった。学校に戻る気力は、だんだんと消えて行った。

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