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クレーベが本当に親友だったのか、と問われると、アルムには自信が持てなかった。ただ、人見知りで、なかなかクラスの中に馴染めないという点では、似た所があるな、とは入学当初から感じていた。アルムがクレーベと初めて話したのは、学校の校舎の裏で、うずくまっている彼を見つけた時だった。
昨年4月の終わり、授業の後、担任のパイソンに職員室に呼ばれ、少し帰りが遅くなった、ある日、アルムは校舎の裏手から、ロビンとリュート、フォルスの3人が歩いて来るのを目にした。
ロビンはアルムと同じ中学の出身、他の2人は異なるが、高校に入ってから、この3人がつるむようになり、特にロビンの服装や態度がその頃、急に悪ぶるようになったことにアルムは気づいていたが、その時、目にしたロビンの顔の顔の険しさに、アルムはただならぬものを感じた。
そこで彼らの出て来た方へと気になって歩を進めたら、校舎裏の影で見つけたのが、クレーベだった。
「おい、大丈夫か?」
木陰の日の当たらない地面に、座ったまま上半身を曲げ、うつ伏せのまま身動きもしない姿を見て、アルムは思わず声をかけた。
「大変だ。誰か呼ばなきゃ」
返事がないので、アルムがそう言うと、
「だ、大丈夫。何でもないから」
と顔を上げたのが、同じクラスのクレーベだった。
「頼むから、先生には言わないでくれ」
クレーベは、そう言うと、両手で自らの体を支え、ゆっくりと立ち上がった。泥まみれで少し破れた制服がアルムの目に入った。
アルムがロビンのことを尋ねると、クレーベは、
「僕の最初の態度がいけなかったかもしれない」
と言って、その時はそれ以上、語らなかったが、その翌日から、アルムとクレーベは不思議と言葉を交わすようになった。
よく見れば、ロビンたちはクレーベを完全にイジメの標的にして、ことあるごとに、クレーベに突っかかっていたが、アルムを含めて、クラスの誰もそれを止めなかった。
クレーべと2人の時、アルムが、
「悪いのはロビンたちさ。君は悪くない」
と言うと、クレーベは何も言わず笑顔だけを浮かべていた。
アルムは一度だけ、クレーベの家を訪ねたことがある。クレーベの父親は警察官をしているそうで、クレーベは、
「僕も警察に入り、父さんとより出世するのが夢なんだ」
と話してくれた。
ところが1学期も終わりに近づいた頃、事件が起こった。テストでクレーベがカンニングをしたというのだ。それを目撃し先生に報告をしたのはロビンで、クラスは大騒ぎになった。
「僕はやってない。みんな、信じてくれ」
クレーベは無実を訴えたが、アルムも含め、みんな、それを黙殺した。その時はロビンに逆らえない空気が、クラスにあったのだ。
実はアルムはクレーベからメールを受け取っていた。それは、彼のことを家族にも信じてもらえないという訴えだった。
「ごめん。ホントは僕、君を信じてるよ」
とメールを返した2日後、クレーベが自分の部屋で自殺したことを、アルムが学校で聞かされて、目の前が真っ暗になった。




