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~序章~ 夢の始まり
とても、とても静かな空間の中…。
一面ゆらめくオレンジの光に包まれたその場所で…。
一人の少女が青年を抱きかかえたまま涙を流している…。
光の反射なのか、その金色の瞳がゆらゆらと揺れている様は、息を吞むほど美しく…。
「…主様……」
こらえきれなかったのか、思わずといった感じで青年を呼んでいるであろうその言葉は悲しみに震えて…。
「……必ず、必ずお迎えいたします…」
そこに含まれるのは決意と愛しさの響きで…。
「うん……待ってるよ…」
掠れるような小さな呟きが青年の口からこぼれ、そして、脱力する。
「…はい……おやすみなさいませ…」
『ゴオオオォォ!!』
世界が急に音を取り戻す。
そこには、まるで最初からいなかったかのように、少女の姿が消えていて…。
オレンジに輝く光の奔流が、残された青年を包み込み…。
ただただ、全てを飲み込む炎だけが揺らめいていた…。
初投稿です。
見切り発車b
続けて第一話も投稿します