菅原元春という男
4年前-------
岩手県の花巻ファイターズに一人の天才が現れた。その名を菅原元春
4番キャッチャーとしてキャプテンとしてチームを引っ張り、県大会まで勝ち上がる。
自身もその大会で打率10割を記録し最優秀賞を受賞。そしてその年のU-12に選ばれ、そこでも輝かしい成績を収めた。
「元春くんなら甲子園にいくだろうなー」
「いやいや、彼はメジャーリーガーになるよ」
近所の人からも多大な期待を寄せられていた。12歳の元春少年は、その小さな背中に、大人たちの大きな期待を背負っていた
事件はその翌年に起きた
彼は、花巻シニアに入団すると、春の大会でさっそく3年生を押しのけ4番キャッチャーとなる。
春の大会の背番号をもらう日、彼は交通事故にあい、両足を骨折し1年を棒にふることになる。
交通事故の犯人は、元春の活躍をねたんだ、花巻シニアの先輩が頼んだことだとうわさされた
2年生となり、リハビリも終わりいよいよ復帰というところで、本人、チームメイト、首脳陣(監督、コーチ陣のこと)が愕然とする。バッティングは1年の時の見る影もなく、守備や走塁も、小学生レベルにまで落ちてしまっていた。
彼が何よりも悔しかったのは、近所の人の失望だった
「元春くんは交通事故にあってだめになったね」
「彼には悪いが地元の小学生の方がうまいよ」
元春は耐えられなくなり、そのまま生まれ故郷、花巻を離れ、遠い九州の鹿児島へと引っ越していった
引っ越しをしても、野球が楽しくなくなったと、クラブチームにも、転入した中学校の部活にも入らず、ただ、ひたすらに時が流れていった
彼も野球とは離れ受験勉強をしようとしたその時
運命を変える音が聞こえてくる
プルルルル プルルルル
知らない番号からだ
「はい、菅原です」
「どうも、私東京の、大河原高校の奈良原というものですが」
「はぁ」
彼は、大河原高校は野球の名門校ということしか知らなかった
「単刀直入に言わせていただくと、うちの野球部に入ってくれない?」
「はあ?」
「君の実力に惚れこんだんだ来てくれるね?」
もちろん彼は、高校で野球をやる気はなかったし、野球に興味はなかった。最初は断ろうと思ったが次の一言で彼の気持ちを変えさせた
「君とバッテリーをくんでほしいピッチャーがいるんだ。君となら世界一のバッテリーになるだろう」
「僕、入ります」
ほんの一瞬の会話でも、彼もほれ込んでしまった
一方成川大地は、
「そういえば、菅原元春って誰だったんだろう」
こんな、ふたりが後に、とんでもないことをしでかしてしまう
地名や、チーム名は適当です。チーム名がかぶっていても、許してください
次回は「最初の会話と最初の試練」をお送りします