すごく危ない人じゃん!
ばんっ!
勢いよく開けられた扉に少なからずクロウは驚く
「くーちゃん!どうしてすぐ助けてくれなかったの!!本当に死んじゃうところだったんだよ!」
「すまんすまん、ちょっと他ごとに夢中になってしまってな...それにしても...ぷっ」
学内を散歩すると出ていったのが数時間前、だというのに髪は乱れ、身体中は砂まみれ、服は所々焦げている。どうすればこの短時間でそんなにボロボロになれるのか...と、クロウは吹き出してしまった。
「あっ!笑ったな!!」
ナナはクロウに飛びかかった。
「悪かった悪かった、つい、な。こら、そんな汚い格好でくっつくな。ってあはは、ひひひひ、や、やめんか!」
ナナは怒りに任せてクロウを思いっきりくすぐった。
※ ※ ※ ※ ※
「ふぅ、すっきり。今回はこれで許してあげる。」ひとしきりくすぐり倒したナナは満足そうだ。とはいえ、オイルまみれのクロウにくっついて、更に汚れたのはナナの方だった。
「ぜぇ、ぜぇ...まったく...と、とりあえずお前はシャワーを浴びてこい!汚すぎる!」
そういってクロウはシャワールームを指差す。
「シャワー、やった!...くーちゃんも一緒に入る?」
「私は後からでいい!早く行け!」
「はーい」
※ ※ ※ ※ ※
2人ともシャワーを浴び終え、お茶を飲みつつ一段落
「それにしても脱いだ服、洗ってすぐ乾くなんてすごいねっ!」とナナは感心する。
「そのくらいは魔石を利用した乾燥機があるからすぐだな。」
「魔石?」
「魔力を秘めた石のことだ。まぁ、説明はそのうちな。どうせ、今日は覚えきれんだろう?」
「そんなことっ...あるかな」
確かに今日1日で色んな事が起こり、ナナの脳みそはとっくに容量オーバーしていた。
「でもでも一個だけ説明して!あの『パリッ』として『どーん』ってなるグローブのこと!」
「剛腕くんのことか?」
「そうそうそれそれ」
「いや、お前が名付けたんじゃないか...あれは電気刺激を筋肉に与えることによって一時的に筋力を上げるのだ。」
「へぇ~、それで『パリッ』となるのね!電気を身体に流すだけで壁とか地面とか壊しちゃうくらい力が出るなんて知らなかったよ!すごいね!」
「ん?いや?電気を流すだけでそんな力が出るわけなかろう?電気刺激は"ついで"みたいなものだ。あの威力は...爆発させておるのだ!」
「え?...爆発?」
「そう、このグローブにはこれが内臓できるようになっておる。」
といってクロウは金属の板をヒラヒラと見せる。
大きさはそれこそグローブの正面に差し込めるくらいの大きさだ。
「このカートリッジには爆裂石が入っておる。この爆裂石は電気を溜め込む性質を持っておるのだ。そして、一定量の電気を溜めるとスイッチが入る。スイッチが入った状態でこの爆裂石に物理的な衝撃を与えると...ドカンッと爆発するのだ!」
「へ、へぇ~」
ナナは動揺する。なんだこの気持ち...
「電気を瞬間的に流し、爆裂石にスイッチを入れ、殴った衝撃で爆発させるまでは簡単なのだが拳を守りつつ、衝撃を前方に伝えるのに苦労したよ、本当に。とはいえ、自分が試しに使ってみるわけにはいかないし、ぶっつけで成功して良かった。この大きさであの威力!すばらしい!」
こ、このちびっこ発明家、そんなあぶない発明をぶっつけで私に...
「...えっと、じゃ、じゃあもしかして...さっき地面を殴った後に紅い人を殴ってもそんなに威力がなかったのは...」
「ふむ、それはカートリッジを替えなかったからだな。そうだ!加えて、電気刺激で腕を痺れされることによって多少ではいるが、殴った衝撃を感じなくしているのも考えられているとは思わんか!」
ナナはぷるぷると震え始め...叫んだ
「私!じゃあ、爆弾を手にぶら下げて校内を歩き回ってたってこと!?しかもその爆弾で相手を殴っていたってこと!?すごく危ない人じゃん!!しかも、いざってときには1回使ったからダメですぅ~なんてっ聞いてないじゃん!!むっきーーー!!」
「す、すま....うわっ」
ナナは再び、クロウに襲いかかる
「ひっ、や、やめ、えひゃあひゃひゃひゃっ...」
さっきよりも念入りにくすぐった。
それはもう全力で
「許さないんだからーーー」