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ぱんつ ・ パンツ ・ パンティ

パンツです。

中庭に集められたベルヴィアたちは、アレックスが何を言い出すのか楽しみにしていた。


「では、お集まりの皆様、これから僕たち全員が友人になる為の交流会を開きたいと思います。ですが、不満を持っている人がいるため、まずは先にそれを解消しようと思っています」


アレックスは何故か木刀を二振り手にしていた。

ここに来るまでの間に、公爵家の敏腕執事に用意させたのだ。


「ジェフリーは、王太子殿下の友人に彼らが相応しくないと思っているんだろう?

 でもね、君が知らないだけで、彼らにはそれぞれ君が認めざるを得ないような特技があるんだよ」


アレックスはニコリと笑い、それを見て、お兄様ったら意地悪な顔をしてるとベルヴィアは思う。


「まずは、ジークかな? ジーク、これでジェフリーと試合してくれる?」


「おう! 俺の出番かよ!! いいぜ、まかせろ!!」


ジークは木刀を受け取ると、楽しそうに振り回し始めた。物凄い勢いとキレを見せていて、それだけでもジークの腕前が尋常ではない事が見て取れる。


それを見たベルヴィアは、ちょっと引く。

ジークに木刀持たせるとかって、お兄様鬼畜すぎる!! と。


「何で俺がこんなやつと!!」


ジェフリーは文句を言ったが、アレックスは無視して木刀を押し付けた。


「レイノルド様、二人の対戦見てみたいですよね?」


「え、それは」


王太子がどうしよう、でもちょっと見たいな…という顔をしたため、ジェフリーは戦わない訳にはいかなくなってしまった。



「なっ!!」

「うりゃーーーー!!」

「とりゃーーーーーーー!!」

「こんちくしょうーーーー!!」

「よけんじゃねーーよ!!」


そして試合の結果は当然のようにジークの圧勝だった。


相手に怪我をさせないようにというルールだったが、諦めずに何度もジークに挑んだジェフリーは沢山転んでしまい、最後はボロボロになってしまった。


「畜生!! なんでこんな馬鹿そうな顔してんのに、コイツこんなに強いんだよ!!」


ジェフリーの声にジークの双子の兄のエミリオが回答を与える。


「え、だってコイツ剣術に関しては異常なくらい鍛錬してますし、僕の弟だから頭もそんなに悪くないですよ? 剣術だけとったら、アレックスさんより強いんじゃないでしょうか」


それにアレックスは頷く。


「剣術だけで言えば、ジークは僕より強いよ。ジェフリーもかなり筋がいいし、将来は騎士を目指すなら一流になれる素質はあると思う。だけど、ジークの才能は別格だから」


ベルヴィアは、ジークは『ハルソラ』の騎士枠だものね、と思う。

彼はエンディングではラベンディーア王国最強どころか、大陸最強の冒険者になるという設定だった。


通常ルートではジークは父親の後を継いで王国の騎士団長となる。

しかし、フィーナと結ばれる場合は、最後まで侯爵家での居場所を見つけられなかったジークは、平民のフィーナと手と手を取り合い、駆け落ちしてしまうのだ。

そして、愛するフィーナとペアを組み、暗黒竜を倒して伝説のSSランクの冒険者になる。


「ジーク君、すごく強いんだね!!」


そう言ったのはキャロルだった。

ジークの強さを間近で見た上、アレックスの解説まで聞いてしまったキャロルは興奮しきっていた。


「そうでもねーよ。まだまだ親父には勝てねーし」


ジークの父親は王国の騎士団長だ。七歳の子供が勝てていい相手ではない。


「そんな事ないって!! ねえ、わたしも剣で戦うの好きなの!!

 ジーク君、わたしも君と戦いたい!!」


「はぁ!? おまえ何言ってんの!? ありえねーだろ!!」


オレンジ色のドレスを着たキャロルはお嬢様仕様の可愛らしい女の子で、とても剣を握れるようには見えなかった。


「わたし、女騎士を目指しているの!! ねえ、お願い、相手して!!」


二人のやりとりを見ていたベルヴィアは、キャロルがこうして食いつく相手は兄じゃないのかと首を傾げる。

そしてアレックスの方を見たのだが、兄はジェフリーや王太子と話をしていて、こちらの様子には気づいていないようだった。





「ジェフリー、次はケビンの魔法を見て」


ジークと戦いたがるキャロルを何とか宥めて話が一段落付くと、アレックスはケビンを呼んだ。


「ケビン、前に僕たちにしてくれた、『ふわふわ』をやって貰えるかな?」


ベルヴィアはそれを聞いて興奮する。


えええ!! 『ふわふわ』!! 『ふわふわ』やって貰えるの!?


記憶を取り戻す前のベルヴィアは、ケビンのやってくれる『ふわふわ』が大好きだった。


「ケビン、『ふわふわ』やって!! 『ふわふわ』大好き!!」


物凄い勢いでベルヴィアはケビンにせがむが、ケビンは断る。


「おまえは、ダメ!!」


「え、なんで!?」


「え、だって…そりゃ…」


ケビンは顔を赤くしてもごもごしだした。

そしてアレックスがその理由を言う。


「パンツが見えるからね。女の子には今日は『ふわふわ』禁止だから」


『ふわふわ』とは、風魔法で子供の体をふわふわと持ち上げる事だった。


ケビンが「浮かべ、ふわふわ!!」と唱えると、ベルヴィアとキャロルを残して少年たちの体がふわりと持ち上がった。その高さは大体1.5メートルぐらいだ。


「ヤベー、何だコレ!! マジ面白いし!!」

「風魔法の応用ですか。これは魔力制御がしっかりしていないと無理な高度な技術ですね」


ジークは浮きながら木刀を振り出し、エミリオは魔法の分析を始めようとする。


「な、な、なんなんだよ!! レイ、大丈夫か!!」

「え、うん。すごいね、これ。楽しいよ! 本当にふわふわしてる」


ジェフリーはひたすらレイノルドを心配し、レイノルドは目を見開いて感動していた。


「ずるい!! わたしも飛びたい!!」

「子供のパンツなんて見せても減らないから、わたしも『ふわふわ』やって欲しい!!」


楽しそうに宙に浮かぶ少年たちを見て、キャロルとベルヴィアは文句を言う。


「いや、子供でも女の子はパンツみせちゃ駄目だから」

「ベルのぱ、ぱんつ!! ダメ!! こいつらに見せたら減る!!」


アレックスとケビンもふわふわ飛びながら、ベルヴィアの問題発言にツッコミを入れる。


「だったら、パンツが見えないように、低く浮かせてくれたらいいじゃない!!」


キャロルはふわふわ浮いているケビンの足をジャンプしてベシン!!と叩いた。


「痛いよ!! このねーちゃんヤバイ!! キョウボウ!!」


ケビンは足を引っ込めて、抱える。


「やってくれなかったら、次は木刀いくからね!! 男女差別反対!!」


キャロルはしつこかった。

ベルヴィアはケビンにやって貰ったことがある上に、後で着替えたら幾らでもお願いができる。

しかしキャロルはそうはいかないし、今すぐ浮かんでみたいのだ。


「わ、分かったよ!! これ、後から人増やすのむずかしいから! 全員下に降ろすから、気をつけて!」


ケビンは全員をそっと下に降ろした後、文句を言う。


「低い『ふわふわ』はやるの難しいから、ベルとこの木刀ねーちゃんの二人だけな!」


キャロルはいつの間にかちゃっかりと木刀を握りしめていたので、ケビンの中では木刀ねーちゃんになってしまった。


「パンツくらい別にいいのにねー」

「そうだよねー、子供のパンツなんて男も女も一緒なのにね!」


キャロルとベルヴィアは口々にいったが、ケビンは顔を真っ赤にしている。

最早アレックスは、女子としての恥じらいを全く身に着けていないこの二人に掛ける言葉を失っていた。


そしてキャロルとベルヴィアは二人だけ、50センチ程ふわふわ浮かせて貰った。


「スゴイ!! ケビン君天才じゃない!?」

「うん、さすがケビン!!『ふわふわ』大好き!!」


少女二人は大はしゃぎだった。


しかし、そこに良からぬ事を企むものがいた。


「おおっと! 痛ってーすべっちまったぜ!!」


ジークが、キャロルの足元までズザザザザ!とスライディングをして、キャロルのドレスの中を覗いたのだ!


「「な!!」」


ケビンとジェフリーが反応する。


見られてしまった当のキャロルは、男の子ってバカだよねー。くらいの薄い反応だったのだが、アレックスは無言で素早くキャロルの足元に近寄ると、倒れたままだったジークの頭を踏んづけた。


「何だよ!! 痛てェじゃねーか!!」


「ジーク、そういうのは痴漢行為と言って、大人だったら通報されて牢屋行きだからね?」


「こいつらパンツ見ていいって言ったじゃねーか! 男なら普通見んだろ!?」


ジークからしてみれば、ここでパンツにチャレンジしない男は男じゃないとまで思っていた。


そしてその双子の兄もまた、男だった。


「ジークは自分の欲望に正直ですからね。

 僕だって、ベルヴィア嬢のドレスの中身は気になりますよ?

 ですが、僕は見たい時はしっかりと女性の許可を貰ってからにしますから」


エミリオはハハハと笑う。


「え、いやそれは…何というか…」


隣にいたレイノルドは顔を引きつらせる。


「おや? 殿下は女性のパンティに興味がないとでも?」


エミリオは真顔で王太子であるレイノルドにコメントを求めて来た。


しかも微妙にパンツの表現が、パンティになっている。


「え…それは…まぁ、僕たちにはまだ早い問題であってだね、だから」


「つまり、あるって解釈して良いという事ですね。ふう、安心しましたよ」


「な! おまえレイは、ぱ、ぱん…いや、そんな事に興味はねーよ!!」


パンツと口に出来ないジェフリー。


ジークの行動に動揺していたジェフリーが我に返り、エミリオにかみつく。


「そんな訳ないでしょう。あなただって、キャロル嬢のパンティを見たジークを羨ましく思ったからこそ、そうやって動揺しているのです。どうして王太子殿下が違うと言えるのですか?」


「レイは王太子なんだ!! おまえたちと違って上品なんだよ!!」


「どんなに上品に振舞っていても、男は男です。あなたも先ほどから彼女たちがパンティ、パンティという度に胸を熱い何かが満たしませんでしたか?」


「俺はおまえとは違う!!」


ジェフリーは耳を塞ぎたくなる。彼は健全な男の子なのだ。当然女の子のパンツは見たい。

だが、それを堂々と口にしてしまったら、レイノルドに軽蔑されてしまうかもしれないのだ。


「そうですか。ですが王太子殿下はパンティという言葉を聞く度に、口の端がピクリと反応していましたよ」


「な、おまえ、嘘つくな!! レイはそんな事は!!」


「ジェフリー、もういい止めるんだ。僕たちが何を言ってももう無駄なんだ」


レイノルドは覚悟を決め、エミリオに語り始めた。


「だがエミリオ、最後にこれだけは言わせて貰おう。女性のドレスの中身は神聖なもの。例えどんなにそれに心惹かれようとも、僕はまだ想像だけに留めておきたい。いつか巡り合えるであろう、本当に愛し合える女性に出会えるまで」


レイノルドは淡々とした口調で語ったが、そこには女性のパンツ…いや、更に通り越してその中身に対する、言葉に出来ない熱い想いが込められていた。


「あれ、殿下キャラ変わってない?」


エミリオは首を傾げる。


「気のせいだよ。僕はいつもと同じだよ? ね、ジェフ?」


「あ、ああ。そうだ。その通りだ!! 俺は何も聞いていないからな!!」


ジェフリーはレイノルドたちからそっと身を引くと、『ふわふわ』を続けているケビンの隣に並んだ。


ジェフリーの中ではもうこのパンツ事件は無かった事になっていた。

被害者であるキャロルが何とも思っていないのだから、これでいいのだ。




しかし、何故かこの話題はまだ続く。


「殿下、僕驚いちゃいましたよ。殿下はもうパンティを通り越して、女体の神秘にまで想いが行っちゃってるんですね! さすが王族です!! この意識の高さで、王族は着実に子孫を残して行くんですね!!」


エミリオは本気でレイノルドを尊敬の眼差しで見つめていた。


「良く分かっているじゃないか、エミリオ。そうだな、近いうちに君を僕の部屋に特別に招待させて貰おう」


「本当ですか! 光栄です!! 殿下!!」


エミリオは妖精のように可愛らしい少年で、レイノルドも天使のように美しい姿をしている。

しかし、その会話の内容は全く持って可愛くない。


のちにこの二人はこっち方向でその絆を深めて行くのだが、その話はまた後日という事で。





そして、ケビンの魔力がかなり減った所で、少年達の『ふわふわ』は終わった。


「ジェフリー、ケビンは生まれながら魔力が高くて、魔法センスも非常に優れている。

 僕の得意な魔法属性は光と炎で、ケビンは風と闇。扱える属性が違うからね、将来は僕と一緒に魔法研究の方面に進んで貰えないかと思って、今から勧誘している所なんだよ」


そう言った後、ね? と、ケビンに微笑んで見せた。


ベルヴィアは、お兄様いつの間に!! と驚いた。

兄が光魔法の開発をしている事はこの間初めて知った。

しかし、将来魔法研究の道に進みたいとまで考えているとは思っていなかった。


ゲームでのアレックスは、やれば何でも出来るが、その分熱中できる物もないという無気力系で、フィーナに救われた後は、これから自分がしたい事を一緒に探して欲しいと、そう彼女に頼んでエンディングを迎えていた。


「魔法かぁ。どうしようかなぁ」


ケビンはゲームでは闇魔法にのめり込んでしまっていたが、今の時点では風魔法の方を好んで使っていた。

ベルヴィアが『ふわふわ』が大好きで、もっと喜ばせてやりたいと思っていたからだ。


「ケビンの風魔法、カッコイイと思う!! 闇とか怖いけど、風ならケビンにピッタリ!!」


ベルヴィアのこの言葉で、ケビンは将来風魔法の魔道士になってもいいかもしれないと考えてしまった。

その為これから先アレックスにとんでもなく振り回されてしまう事になるのだが、この時のケビンは自分が罠にハマったとのだとは気付いていなかった。




『ふわふわ』が終わった後は、エミリオの番だった。


「それじゃあ、今度は僕が殿下にいい所を見せる番ですよね。アレックスさん、僕は何をすればいいんでしょうか」


エミリオは微笑んだ。


「エミリオは特に何もしなくていいよ。君の特技は対人能力と洞察力にあると思っているからね」


その洞察力は、パンツ事件ですでに証明されている。


アレックスはジェフリーの方を見た。


「ジェフリーはエミリオの事が苦手かもしれないけれど、エミリオは君より遥かに他人の良し悪しを見分けるのが上手い」


ジェフリーの最大の欠点を、アレックスは容赦なく指摘した。


ベルヴィアはお兄様って、ホントヒドイよね、と自分が最初にジェフリーに文句を言った事をケロリと忘れてそう思った。


「例えばね、殿下が誰かに命を狙われていたとする。不審者が側にいたとしたら、僕とエミリオなら他の人間より早く気付けるはずだよ。人をよくみているから」


実際、王太子は命を狙われる事がある。

その為にゲームではジェフリーは命を落とす事になったのだから。


「君がレイノルド様の事を守りたくて一生懸命な事は分かる。だけどね、一人で出来る事には限界があるんだよ。たとえ君が大人になったとしても」


ベルヴィアは、ジェフリーが大人になった未来を知らない。

だからこそ、アレックスの言葉が胸に響く。

この世界でのジェフリーは大人になるのだ。

これから訪れる未来を変えて見せるのだから。


「レイノルド様には、君だけではなく他にも親しい友人が必要だ」


アレックスが視線を向けると、レイノルドは頷いた。


「レイノルド様が王太子だから支えたいと思うのではなく、レイノルド様だからこそ力になりたいと、そう思える友人が必要なんだ」


アレックスは暖かい眼差しで微笑んだ。


「僕たちは、まだレイノルド様の事を良く知らない。だけど、知りたいという気持ちを持っているんだ。だからね、どうかその機会を彼らに与えて欲しい」


ジェフリーは俯いた。

ジェフリーの心を折る為に、アレックスは容赦がなかった。

憧れていたアレックスにこんな風にして迫られて、拒絶する事は無理だった。


そして何より、レイノルドが楽しそうだったのだ。


ジェフリーは、『ふわふわ』で浮かんだ時の、子供らしくはしゃいでいたレイノルドの顔が忘れられない。

ちなみに、ジェフリーの中ではパンツ事件は無かった事になっている。


「それは、俺が決める事じゃない……」


心細げな眼差しで、ジェフリーはレイノルドを見た。


「ジェフ、僕の一番の親友は君だよ。それは一生変わらない。

 だけどこの子たちの事を、僕ももっと知りたいと思うんだ」


レイノルドはそっと手を伸ばすと、ジェフリーが知らない内に流していた涙をそっと指でぬぐった。


「それにね、ジェフにも友達が必要だよ。君は僕の事で一生懸命になり過ぎだから」


ベルヴィアはその言葉にうんうんと頷く。

男同士でべたべた依存するのはダメ!


前世でジェフリー×レイノルドのショタBL同人の表紙を見て、発狂しそうになった事をベルヴィアは思い出す。


「ジェフリー、俺はおまえと友達になりたいって、思ってるぜ!!」


ジークがジェフリーの背中をドンと叩いた。


「ジーク…なんで?」


「お前、根性あるから!! どんなに攻撃躱されても、転んでも、アレックスが負けって言うまで、食いついてきたじゃねーか!! 俺はそーいう奴が好きだ!!」


実にいい笑顔で、ジークは情けない顔をしたジェフリーの背中を叩いた。


「ジークが認めるなら、僕も友達になってあげますよ。僕は可哀想な生き物には優しいんです」


妖精のように可愛らしい姿をしているのに、エミリオは毒舌だ。


「可哀想な生き物って、なんなんだよ!!」


「君の事です。可哀想ですよね、皆にいじめられちゃって、泣いちゃって!!」


そう言って、エミリオはジェフリーの頬っぺたを両手でぐいーーっと引っ張った。


「痛ってぇ! おまえ鬼だろ!! いや悪魔か!!」


ジェフリーが掴みかかろうとするが、エミリオはひらりと躱す。


「僕は逃げ足が早いんです。これでもジークの兄ですからね、体力もあるんですよ!」


そして、ジェフリーとエミリオは追いかけっ子を始めてしまった。


それをレイノルドとケビンはポカンとした様子で見送る。


「殿下、ジェフリーの奴、スゲーかわいそうに見えるんだけど、いいわけ?」

「そうかな? あんなに楽しそうなジェフリー、あんまり見たことないんだけど」


ケビンの問いにレイノルドは笑って返した。


「ねえ、あれ楽しそうじゃない? ジーク、わたしたちも行かない?」

「よし、あいつらとっ捕まえてやろーぜ!」


キャロルは笑顔でジークに声をかけると、二人して追いかけっこに参加してしまった。


「お兄様、これ、何だかわたしの思ってた展開と違う!!」


ベルヴィアは自分が主役となって、皆に感謝される気満々だったのだが、すっかり脇役になってしまって兄に文句を言う。


「皆が仲良くなったんだ、いいじゃないか」


アレックスは笑いながら、ベルヴィアの頭をなでる。


「そうなんだけど!!」


「ほら、僕は殿下とあの子たちの面倒を見てるから、おまえは会場に戻ってケビンとダンスを踊っておいで」


そうだ!!

今日は絶対ケビンと踊ると決めていたのだ!!


「ケビン、ダンスに行きましょう!!」


ベルヴィアは、レイノルドと仲良く会話していたケビンの腕をぐいっと引っ張った。


「ベル!! そうだ、ダンス!! 俺いっぱい練習してきたんだぜ!!」


今日は、ベルヴィアの誕生会。

この日の為に、二人はそれぞれダンスの猛特訓を耐え抜いたのだ。


二人は仲良く手を繋ぐと、パーティー会場へと走り出した。



こうして、ゲームに登場する仲間たちが集ったベルヴィアの六歳の誕生会は、何とか無事に終わりを迎える事になったのだった。

王太子様は、全てのパンティは尊いものだと思っています。木綿もシルクも差別しません。この話が気になる方は、番外編までお待ち下さい。


次は、誕生会の反省会のような感じになるはずです。

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