はじまり
こんにちは、白鷺と申します!
1話目はとりあえずこのお話での吸血鬼についての設定と、本編の最初となります。
主人公の名前は「アレン」です!
*吸血鬼について…
…太陽を長時間浴びることを好まない。生き物の血を吸う。特に人間と人狼の血を好む。力が強い吸血鬼は、目が赤くなる。また、治癒能力が高いものは傷ついてもすぐに治ることが多い。(ただし〝銀〟で付けられた傷は致命傷となる)
また、吸血鬼は階位に分けられており、力の強い順にX、A、O、N、Zとされている。
黒の村で10000年に1度生まれる吸血鬼は、この中の階位のどれが生まれるかは分からない。
第一章
「ついたぞ、ここだ」
「……言われなくても分かってるよ、昔居たんだから」
車をとめた義父は、顎に手を置いて窓の外を見つめる僕を見て小さくため息をついた。
この村に来るのは、もう7年ぶりくらいだろうか。
生まれてから6年間、母さんと一緒に過ごしていたこの村。
母さんの体調不良から、僕は仕方なく義父の元に預けられることになったのだ。
父親は、いない。
いや、正式には行方不明……といった感じだろうか。
母さんは、僕が生まれてからすぐ何処かへいってしまった、と言っていたな。
今の義父に好かれ、半ば流される感じで再婚した母さんだけど、あの村から義父の家に来ることは月に1回程度だった。
その、理由は。
……母さんが、ダンピールの一族であったからだ。
ダンピールは、人間の血の他に吸血鬼の血も混ざった存在であり、吸血鬼を倒す唯一の手立てと言われているものだ。
中でもその力が強いとされていた母さんの一族は、代々吸血鬼を追い払うための儀式に参加させられていた。
儀式の終盤には、その血を抜き神へ捧げるのが仕来り。
最近はそれが頻繁に行われたらしく、母さんは衰弱し、この世を去ったらしい。
「……馬鹿らしい」
そんな祈りやらなんやらで吸血鬼が追い払えるなら、世の中既に平和だっていうのに。
人間は、身勝手だ。
勝手な理論で母さんを殺し、挙句次はその血を受け継ぐ僕を生贄に捧げるつもりでいる。
僕は生まれつき一族の人からしても比較的治癒能力が高く、しかし一方で貧血も起こしやすかった。
ダンピールの中でも、吸血鬼らしい1面がでているのだろうと親戚からは言われたが。
……この村の人間がすべて悪いとは言わない。
だけど、方法を考えるという頭が、彼らに働いていないのも確かだ。
僕が死ねば、次の犠牲がまた出ることだろう。
……そんな馬鹿げたこと、させるわけにはいかない。
……呪われた村、黒の村。
傍から見てみれば、人も賑わい、農業も栄えるこの村は、明るく……そして賑やかな…、とても呪われた村だなんて思えない所だ。
何故、「黒の村」と呼ばれるようになったのかはまだ分からない。
だけど、この村は呪われている。
外見じゃない。
これは、内面の呪い。
呪いを解かなければ、この悪夢はきっと繰り返される。
誰かが、やらなければいけないことだ。
「…………にゃ…」
「……あれ?」
ふと振り返ると、木の横に横たわる、小さな灰色の猫がいた。
怪我をしているのだろうか、少し怯えているようにも見える。
近寄ると、小さく震えた。
……あぁ、やっぱり。右の前足が切れている。
これは痛いだろうに。
「……大丈夫だよ、僕は何もしないから。…傷、治してあげるよ」
子猫を抱き抱える。
たしか、新しい家は村の東の方……だったか。
とりあえず、家に連れていこう。
そう思って立ち上がったその時。
「…………アレン、君……?」
閲覧ありがとうございました!
まだよくわからないかと思いますがこれから頑張って書いていきたいと思います……!!
未熟者ですが、どうぞ宜しくお願いします!
白鷺