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第41話 特攻

修学旅行の4日目、この旅行が延期されることが決まった。


理由は詳しくは話されていないが、教師陣がテレビを見ることを禁止したことと、朝から弾と鳳くんが居ないことで、大体の予想はつく。


「また何かあったのかな?」


萌が私に聞いてくる。


「分からない……。」


いや、いつも弾と居たから分かる。


絶対、何かあった。


鳳くんも連れて行くほど、大きな何かが。


ふと、後ろで気配を感じて振り返る。


そこには、真っ青の顔をした九条さんが居た。


弾もそうだけど、九条さんは弾のことが好きなのだろうか。


「…九条さん、大丈夫?体調が悪いなら…。」


声をかけたが、九条さんは震えた声で


「大丈夫、大丈夫、うん、大丈夫。」


と答えるだけだった。


様子はおかしい。


だけど、理由もわからないし、本人が大丈夫と言う以上、どうすることも出来ない。


おせっかいは焼きたくない。


そう感じる自分は、小さい女だ。








「…先生、校長と連絡取れますか。」


厳しい目をした俺を見て、担任の教師は諦めたような顔をした。


「…連絡を取る必要はない。黒間、鳳。お前らは明日の朝一で帰阪だ。いいな?」


「…なぜ、連絡を取る必要はないのですか?」


鳳が食い下がる。


「お前らに余計な心配をかけず、後数日の間だけでも、修学旅行を楽しんでもらうためだ。知らせたくない、と。」


自己中心的だ。


優しさのある、その邪魔に俺は笑みがこぼれた。


「先生、他のみんなは大阪には帰さないでください。出来ますね?」


巻き込む人数は最小に。


それと、校長に明日から数日間、休校にし、駆け込む不良の校内への立ち入りを許可することを伝えるように頼んだ。


翌朝、俺たちは朝一の飛行機に乗り、大阪へ帰った。


俺たちはすぐに明王院学園へ向かった。


誰1人いないので、支度をするため脇目もふらずに明王室に入ると、そこには校長と波止場総理が居た。


「…今回は本当にすまないな。同じ国家権力に敵を出してしまって。申し訳ないと思っている。」


驚くことに、国のトップが俺に頭を下げた。


「頭を上げてください。気にしていませんよ、あまり。ただ、被害は相当になると覚悟していてください。」


できるだけ出さないようにはしたい。


俺はどちらの味方でもない。


だから、頭を殺してさっさと終わらせる。


不良連中にも、機動隊連中にも、大切な人はいるはずだ。


その人たちのことを考えれば、無駄な殺生は避けたい。


「…校長、逃げ込んだ不良たちはどこですか?」


校内にいなかったので、聞いてみた。


開戦前に、統率を取り、作戦を伝えておきたかった。


「大ホールにいるよ。ざっと1000人ほど。あの数は、体育館には入らなかったからね。」


そんなにいるのか、と少し圧倒された。


だが、予想範囲内だ。


問題は、特にはない。


「では。」


俺は話しながら明王専用の、特攻服のようなものを着て、その服の中に大量にあるポケットに武器を入れ、部屋を出ようとした。


ちょうど、鳳も準備は終わっているようだった。


「黒間くん!」


扉を開けた時、総理に呼ばれ、俺は振り向いた。


「……一応だが、警視庁のトップの…、長官の名前は知っているかね?」


「いえ。」


焦る俺は早く向かいたかったので、そんなどうでもいい話はするな、と思ってしまっていた。


「…彼の名前は、……。」


!!!


成る程ね…。


その名前を聞き、一気に察した。


成る程、の一言しかなかった。


「…意外でしたが、特に問題はありません。では。」


俺はやっと、ホールへ向かった。


ホールの中は、異様な雰囲気に包まれており、俺でなければ、また鳳でなければ焦りが出ていたはずだ。


「…諸君。初めてのやつもいるかもしれないが、俺は4代目明王の、黒間弾だ。横にいるのは、明王補佐の、鳳大輝。これからお前らの指揮は俺が取る。」


マイクを取り、大衆に話す。


流石にこの人数相手に話すのは、初めてだった。


「まず、お前らは俺の元へ逃げてきたわけだが、俺はお前らを全力で守る。誰1人殺す気は無い。」


ざわめきすらない。


彼らの顔に映っているのは、覚悟だった。


彼らは故郷を捨て、プライドを捨て、ここへきた。


俺はそのことを尊敬しつつ、話を続けた。


「だからと言って、警官隊、機動隊を無駄に殺す気もない。だから、これから言う作戦に、お前らは一切逆らうな。危機的状況になれば、俺がまた違う令を出す。余計なことは考えるな。」


自信はない。


ただ、これだけ色んな事を起こしてきて学んだ事だが、虚勢は張っておくものだ。


「……ではその作戦だが、まずはお前ら約1000人を、四つに分ける。それぞれ300、300、200、200だ。」


俺は伝え続ける。


まず、最初の300を第1班、続いて第2班、第3班、第4班と呼ぶ。


第1班は俺と共に特攻。


俺は第1班の最後尾に立ち、姿を隠す。


第2班は第1班が相手の前線を突破した時点で出発、第1班の援護。


第3班は指示が出るまで待機。


基本的にバックアップの隊とする。


第4班は校門警備。


ここを破られたら、終わりだ。


第1班は、前線に着いたら、突撃はせず、まずは俺が一気に奇眼を呼応状態まで高め、一気にトップがいるであろう敵の本拠地である、王駅まで特攻し、威嚇射撃を行う。


それを確認次第、第1班は突撃。


あとは予定通りに。


一応、班の隊長全員と、俺と鳳は無線を持ち、連絡をとれる状態にしておく。


俺は撹乱を敵本陣前で撹乱を続け、校門前で鳳が指示。


「……以上が作戦の全てだ。もう敵は校門前1キロまでは来ている。早速、実行にかかるぞ!」


オオオォォォォォォォォ!!


ここで雄叫びが上がる。


以降は早いものだった。


隊の編成、位置に着く、第1班の出発準備。


全てが俺の予想を超えて来た。


俺も一班の後方に紛れた。


準備は出来た。


「……さぁ、行くぞ。」


異様な緊張感が漂う。


警察による、地域の人たちの避難も完了しており、シンとした、いつもの、知らない場所。


「……開戦だ!!!」


俺の大きな叫び声で、第1班は駆け出した。


始まった。


本当に…開戦だ。

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