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第19話 開戦と影

黒間は、何かと集会の好きな一族だった。


だから、俺の両親が死んだ…いや、殺された時も奴らは大勢で葬式に現れた。


その時に初めて見たのが、五歌だった。


黒間五歌。


俺の親父の兄、黒間四歌の息子で、和歌山を本拠地とする暴力団の組長だ。


だった15歳で親父から組長を受け継いだ才能は、俺から見てもやはり凄い。


葬式の時、俺もまだ子供だったが、俺より2つ上の五歌もまた子供だった。


両親を一気に亡くし、それでも平然として義務をこなす俺を褒める大人たち、泣き崩れる真希をなだめる大人たち。


奴からすれば、まぁ面白い話ではない。


だから、自然と俺と奴は仲も悪かった。


奴は俺に


「親を一気に2人も亡くした気分はどうだ?」


とか、


「黒間から抜けたからこうなる。」


など、いろいろ中傷することを言ってきたが、俺は完全に無視していた。


だからか、真希に同じような事を言い出した。


真希はさらに泣き崩れた。


俺はそれが許せなかったが、面子もあるので、騒ぎには出来なかった。


まだ許してはいなかったし、いつか殺してやるとは思っていたが、いい好機がきたものだ、と思った。






官邸に襲撃を予告した。


明王軍団ではなく、黒間弾として、だ。


そして、その襲撃の日になった。


家に帰らないようになってから、もう1ヶ月が経った。


真希は、明王学園の一室で完全に保護している。


真中は、マスコミに俺の予告文を流し、徹底的に応戦する事を報道した。


俺は高層ビルの屋上から、官邸を眺めていた。


官邸は異様な量の自衛隊で埋め尽くされていたし、真中の居る部屋は強化ガラスを何重にもして、まさに厳戒態勢をとっていた。


鳳や真希、一果に会えば止められるのは目に見えて分かっていたので、俺は巻くように1人でここへ来た。


誰も気付いてないみたいだったし、諦めたのか、一果と真希が大勢の観衆の中にいるのは確認した。


鳳が何処にいるのかは気掛かりだったが、流石の奴でも呪眼の俺を止められる筈もない。


「そろそろ行くか…。」


そう呟いて俺は、呪眼を発動し、高層ビルから飛び降り、大量の自衛隊の前に降り立った。


突然現れた俺に対し、自衛隊たちは咄嗟に攻撃態勢をとった。


「初めから飛ばしていくよ…」


俺は全身に黒いオーラを纏い、全力で地面を蹴り、官邸を目指した。


大量の銃が俺を襲う。


俺は


「火丸!」


と叫び、体中から火を噴いた。


火は俺を包む防御壁になり、銃弾を全て弾いた。


それでも抵抗してくる攻撃を全て弾いていてはキリがないので、スピードで振り切ることにした。


俺は自衛隊が居るところに足に火を纏いながら、蹴るように降り立った。


自衛隊の何人かは避けることもしなかった為、その足で蹴ってどかせた。


空いたスペースでまた地面を蹴り、今度はジェット機並みのスピードで官邸へ飛んだ。


今の俺が耐えられる、最高速度だ。


真中に近づいた時、手に渾身の力を入れ、


「火拳、改!」


と叫び、強化ガラスを叩いた。


何枚かの強化ガラスは割れ、真中は余裕の顔から蒼白した顔に変わった。


俺はニヤリと顔を歪め、


「これからだぜ、まぁ〜なかぁ〜…」


と言うと、また後方へ飛んだ。


呪眼の本気の火拳、改ですら強化ガラスは何枚かしか破れなかった。


俺に向かい、自衛隊は襲いかかってくるので、さすがにこの場に長居は出来ない。


なので、一度後ろへ戻り、態勢を整えてまたガラスを破り、これを繰り返して真中を直接を叩くしかない。


それに…自衛隊の方々にも少々の犠牲は覚悟してもらいたい。


向こうも俺を殺すつもりなのだから、俺が殺す気で行くのも、許して欲しい。


大きな歓声や罵声、自衛隊の迫力でさえも分からなくなってきた。


さぁ、行くぞ…戦争だ…。


「グフッ!」


口から血を吐いてしまった。


やはり呪眼は身体にダメージがあるようだ。


長い時間はかけられない。


一気に…畳み掛ける!


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