秘伝の技を習得、するぜっ!
まだまだ人間になりたいのは諦めねぇ!
どこまでいっても主人公は主人公だぁ!
諦めないのが主人公!
泣かないのが主人公!
馬鹿でアホなのが主人公だぁ!
緑龍の里は俺が住んでるとこからやや南にあるみてえなんで、家出してきたぜっ!
心躍るっ!
「お主が、あの伝説の龍の子であるか。よう来たよう来た」
なぜか長のとこに案内されて、流石の俺もたじたじだってぇ!
なんでか囲まれてるけど気にしねぇぞ?
とにかくデカくて迫力ヤベェんだよこのオッサン。
さっさと用件済まさなきゃあなぁ!
「とりあえずあれだっ! この種に伝わる秘伝を教えやがれ!」
「……どこでそれを?」
「夢の中だぜ」
正直に話してんのに、なんか反応薄いしよぉ。
こりゃあ本気出してもイイってことっスよねぇ?
「とっとと教えやがれぇ! 俺ぁ一刻も早く人間にならなくちゃいけねぇんだ!」
この幼さにして、半端じゃない性欲抱えてんのよ。
早く習得しないと股間が爆発しちまうぜ。
「お、おう……まあいいか」
よしきたぁ!
「では実際に見せて、自ら観察して習得してくれい。付きっ切りで面倒は見られんのでな」
「おっ、それって『見て覚えろっ!』ってやつかぁ! イイねぇイイねぇ!」
「ほれっ!」
一瞬でオッサンが煙に包まれ、煙が晴れるとそこには一人の人間が!
「どうだ。わかったか?」
「OKOK! NICEメタモルフォーゼ!」
「そうじゃろうそうじゃろう! 龍の気を最大限まで高めなければ習得できぬこの技の異名は『龍極限界突破突然変異唐突変身仮面之搭乗者』と呼ばれて老若男女幅広く愛されベストセラーを誇りハリウッド映画化も夢ではないしなんと言っても最大の特徴は瞬間的に変身できてしかも煙が出るというオマケ付きじゃからなぁまあそれでも実際は龍の奥義では二十三番目に難しいという秘伝の技じゃから他言は無用じゃわかったか?」
「OKOK!」
「良い返事じゃ! それでは変身してみてくれい!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 突然ですが、これは『気合の雄叫び』ですッ!」
「なんじゃこの声は! とてつもなく、『うるさい!』」
俺の体を光がまとわりつく!
次第に光は内側に収束し、一気に爆発させる!
「爆発したぁ!? この小僧何者じゃ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 変身!」
ピカピカピカピカ!
なんか凄い高い音が、具体的にはキル○キルの主人公の変身効果音が鳴り響く!
大地は割れ、天が裂け、空間に穴を穿ち、天地無双の王者が今ここに降臨――しなかった。
「どあほう! 気を暴走させる龍がおるか!」
「ここにいる!」
ドヤ顔でキメポーズ。
感動したのか口をパクパクさせながら突っ立ったままの長。
いやぁ、俺ってば技を改変しちゃったみたい。
すげえ威力だったな。うん。