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まもる者~promise~  作者: ユガミウ(旧名 立花 優)
高校生活は波乱の予感?
7/28

部活動勧誘期間~天使と悪魔~

一度全部消えてしまうという、トラブルもありましたが、何とか立ち直ることができて、投稿です。

俺は翌日の放課後、一人図書館へ向かっていた。


日本でも一二を争う大きさを誇っているので当然、校舎内にはなく別館という形で、敷地内に建ててある。

また、その蔵書数もすごく、その数を知るものはいないとも言われている。



しばらくすると見えてきた。

俺は自動ドアをくぐると目を見張る。


噂には聞いていたが、その広さは圧巻で、中央の吹き抜けは開放感を与え、三階まで繋がっている。

一階から三階までは、閲覧可能な本で、禁書は地下に厳重に警備されているらしい。

俺は気にならないわけではないが、いずれ見ることになるだろう…いや、必ず見てみせる。

もし、部活に入れなかったときは……力づくにでも…。



そうして、館内をうろついていると、「STAFF ONLY」と書かれた扉を見つける。

俺はノックするが返事はない。

扉を開け、中に入ると…


目の前には拳が迫っていたが。


「…やるな~、海原(・・)。やっぱ今年の一年はハンパじゃねーわ。」


俺は、冷静に一歩下がると迫り来る拳を受け止めていた。


(でも今、この人…。)


「どうして俺の名前を知ってるんだ。だろ?」


俺は心を読まれたことに、驚いて相手を見る。


「ハッハッハ!おめー面白い奴だな。顔に出やすいんだな。」


「妹尾くん。それくらいにしたらどうだい?」


そう言って奥から出てきた男は、


「やあ、緑くん。久しぶりだね。元気そうで 何よりだよ。」


この爽やかな男は、七大名家、剛力家長男、剛力隼斗(ごうりきはやと)だ。

隼斗さんは、俺たちの世代、つまり、次期七大名家当主の中で現在、最も当主に近い男だ。

あと四~五年、大学卒業後には当主になるだろうと噂されている。


「それより、悪かったね。うちの部員いきなり襲いかかって。」


「いえ…それより…。」


「あぁ、そうだったね。この男は妹尾司(せのおつかさ)くんといって、僕と同じ三年生だ。」


「妹尾先輩…ですか。いえ…そうではなくて…どうして俺の名前を知ってたんですか?」


妹尾先輩は、待ってましたと言わんばかりに、腰を上げる。


「よくぞ聞いてくれた!それはな…」


「妹尾くんが一人で勝手にデータベースにハッキングしたからじゃないかな。」


妹尾先輩はちょっと残念そうだ。


「まっ、そりゃそうだけどよ…相変わらずお前は俺の話の腰を折るよな…。でも、つまりはそういうことだ。だから、俺は当然お前のこと(・・・・・)を知ってるぜ。…って、おいおい、別に俺はこれで何をしようってわけじゃない。心配するな誰にも言うつもりはないぜ。とにかく、よろしくな!」


俺は危うく飛びかかるところだったが、何とか堪えることができた。


「てか、今日は図書部の入部に来たんだろ?なら、戦闘に関してはなかなかできるようだな。あの攻撃を防いだんだ。十分だろう。」


「…はい。今日は入部しに来ました。」


俺は釈然としないが目的を告げる。


「やっぱりそうだったかぁ~、うーん…確かに僕は緑くんの実力を知っているけど…このまま入れるのは、部としては面目が立たないしなぁ…」


隼斗さんは、考える人のポーズをとる。

隼斗さんは、こういう天然なところがあり、そのギャップにやられる女子も少なくないとか…。


「うーん…そうだなぁ…ん?そうだ!それにしよう!」


何か納得したように頷くと


「いいかい、緑くん。君には今からこの図書館にある本の中から、一冊選んで来て欲しい。」


隼斗さんは、楽しそうに俺に言う。

妹尾先輩はやれやれといった様子で、俺は驚いていた。


「本を選んでくればいいんですか…?一冊…。」


「そうだよ。もちろん、何でもいいってわけじゃないよ!こう…ビビっときたやつを持ってきてね!」


俺はとりあえず、探しにいくことにした。




(うーん…ビビっときたやつって言ってもなぁ…)


俺は“本”というものに興味がない。

じいちゃんが昔、本を読むように言っていたが、俺は、そんな暇があるなら身体を鍛えた方がマシだと思っていて、今もその気持ちは変わらない。



俺は今、三階にいる。

このフロアは、主に歴史書と児童向けの絵本が置いてあるところで、とりあえず俺は、目に留まったものを片っ端から見ていくことにした。



……一時間後。


(やばい!どれを持っていけばいいんだ…。さすがに、適当に持って行くってわけにもいかないしなぁ…。)


俺は途方に暮れていた。

机の上には様々な本が散乱している。

どの本も、難しい言葉ばかりで、読む気すら起きなかった。

そんなことをしているうちに時間だけが過ぎていった。


俺は息抜きに児童向けの絵本が置いてあるコーナーで、ある本を見つける。


それは、とても古く、背表紙は破れ、日焼けもしていて、所々汚れていた。

それは、もう役目を終えたように、本と本との間に挟まっていた。


『七人のそうぞうしゅとてんしとあくま』


この絵本には思い出がたくさんある。

俺が小さな頃から好きで、昔は姉さんによく読んでもらっていた。俺と姉さんにとってお気に入りの一冊だった。



この物語は、七人の創造主、つまり地球に生まれた最初の七人に仕えた、天使と悪魔にスポットを当てたものだ。



七人の闘争に興味を抱いた、七体の天使と悪魔は、各々が気に入ったあるじの元へ行き、力を貸していく話だが、時間と共にその関係は大きく変わり。


五大創造主たちのそれらは、忠実にあるじに従い。


光のものは、ひたすらにあるじを守り続け。


闇のそれは、その力を振るい続け、己の力を示し続けた。


そうして、誰の手にも負えなくなったため、その他の天使たちは、共闘し、やつを封印した。

そうして、世界は平和を手に入れた。というハッピーエンドだ。


ーーチガウーー


一瞬声が聞こえた気する。


ーーワレデハナイーー


あたりを見渡すが、誰もいない。


ーーナノニアイツラハーー


さらにはっきりと聞こえた。


ーーユルサナイ、ニクイニクイゾーー


不意に耳鳴りがして、頭痛がする。


ーーコロスコロスコロス!ーー


頭痛は止むことがなく、強まる一方だったが、

思わぬ感情が流れ込んで来る。


ーータスケテ、クレーー


ついに、立っていられなくなった俺は、膝をつく。腕から本が滑り落ちた。


次第に頭痛は止み辺りの音が蘇る。


(今のは…何だったんだ……昔、何処かで聞いたことあるような声だったな…。)


ふと、時計を見ると閉館まで三十分を切っていた。


(寝不足…かな?)


俺は、この本に決め。

立ち上がり、床に落ちている本を拾うと、部室へと急いだ。




「失礼します。」


「おう、海原か。遅かったな、その様子だと見つかったようだな…ん?おめー顔色悪いぞ。大丈夫か?」


「ええ、大丈夫です。見た目よりは遥かに元気なんで。」


そう言って、アピールする。

実際、俺も調子が悪いというわけでもないので、問題はないだろう。


「本当だね。無理しなくてもいいんだよ。でも、せっかく持ってきてくれたし…で、一体何なんだい?」


俺は、隼斗さんに本を渡す。


「……へぇー。七人のそうぞうしゅとてんしとあくま。か、いいね。僕も小さい頃好きだったなぁ~。懐かしいね。うん、本当にいい本を選んだきたね。よし、合格だよ!おめでとう!これで、君も今日から図書部だ!改めて、部長の剛力だ。よろしくね。」


「よかったな、海原。これからよろしく頼むぜ!」


「はい!よろしくお願いします。」


俺は純粋に嬉しかった。


「じゃあ、緑くん。今日は帰っていいよ。早速だけど明日から警備にもついてもらうよ。あと、明日顔合わせもするからね。」


「えっ?でも、まだ勧誘期間は続くんじゃ…?」


「その心配はいらねぇーよ。これ以上、この部屋に入れるやつはいねぇーし、合格できる(・・・・・)やつなんていないからな。」


「それは…どういう…。」


隼斗さんは、奥から大きな本を抱えている。


「もう、決まってるんだよ。今年は三人だって。これ以上もこれ以下もない。三人。それが、この図書部に伝わる、国宝にして、禁書…この本に刻まれてるんだ。この本は、図書部の過去を刻み、未来を刻む。僕たちがこの場で出会うのも必然だったんだ。まあ、あまり詳しくは話せないからこれくらいにして、さあ、今日は解散だ。」


俺は少し気になったが、教えてもらえそうもないので、諦めて帰ることにした。




「必然…か。ならどうして、今回のことは刻まれてなかったんだろう…。」


「そんなの知るかよ。ただ単に、そいつにも語れないことはあった。ってだけだろ?」


俺たちは、禁書に目をやる。


「あれを偶然と言うのかい?三人とも、同じ本を選ぶ(・・・・・・)なんて。」


「俺はでもなかったけどな。」


ニヤリと笑う。


「ハッキングもほどほどにしてよ。プライバシーってのがあるんだから。」


「大丈夫だ。これは俺だけの秘密だからな。誰にも言うつもりはない。」


「……彼は、彼らは一体何者なんだい?」


「さあな。プライバシーだろ?」


そうして、俺は部屋から出て行った。




実をいうと、あいつらは、情報バンクになかった(・・・・)。つまり、あいつらは裏の社会の人間なんだ。

さらに、海原に関しては、あまりに情報ができすぎている。

普通の人がみれば違和感がないだろうが…俺は違和感を感じた。

作り上げられた情報のように…特に、養子になる前の情報は、恐らくガセだろう。


俺は、あいつらに今まで感じたこともないような、期待と恐怖を感じていた。




草木も眠る丑三つ時、緑は、ふと目が覚める。


緑は、立ち上がると、闇に紛れ、客人を待った。

が、その意識は彼のものではなかった(・・・・・・・・・・)



海原家の庭に潜む俺達は、海原緑の命を狙いにきていた。

海原家のセキュリティは、俺達のハイディングスキルからすれば、余裕なものだった。


なぜ、直系の人間ではなく、養子の人間を殺らなければならないのか、よくわからなかったが、上司の命令とあっては無視するわけにもいかず、時を待っていた。ターゲットは寝ているようで、部屋から存在を感じる。異常はなかった。



午前三時、いよいよ行動を始めた奴らは、素早く室内へと忍び込むと、俺に刃を向け喉を裂いた。が、そこに血はなく、姿もなかった。


(しまった!でも、どうして!!)

気づいた時にはすでに遅く、俺達は、声を出すことはおろか、動くことさえできなかった。

そいつは闇から現れた。目は紅く、楽しそうに口元は緩み、まるで、悪魔。

そして、俺たちは“死”を悟った。




【象悪(Evil Command )】緑の使える二つめの魔法。一定距離内の、空間に干渉することができる。男たちを捉えると、つい笑みがこぼれる。男たちは何もできない恐怖に怯えていた。

()は、右手を構えると、最後の魔法を使う。


【黒渦(Collapsar)】

「キエウセロ…」男たちの足元から、大きな黒い渦が生まれる。


「ーーーーーーーー。」


男たちは叫ぶことも出来ず、痛みを感じず、血を流すことなく、跡形もなく呑み込まれて行った。



紅い目をした悪魔は、部屋を見渡し異変がないことを確認すると、再び眠りについた。

ベットの上には、いつもの少年が寝息をたてていた。






戦闘…をちょこっといれてみました。そろそろ本格的に戦闘開始⁈


感想お待ちしています。

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