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まもる者~promise~  作者: ユガミウ(旧名 立花 優)
高校生活は波乱の予感?
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暗躍の影、師匠の言葉

今まで最高の長さ!疲れた…。

暗く、春にもかかわらず僅かに湿気のある部屋は、窓ガラスは割れ、コンクリートがむき出しになっている。

不況の波に呑まれ、倒産し廃れたオフィス街にあるこの建物もまた、廃ビルなのだろう。

雲の切れ間から漏れる月明かりに照らされ、二人の女が現れる。


「で、どうかしらあの子(・・・)は?」


十八になるその少女は、年齢以上に大人びていた。



「ええ、とても可愛かったわ。それはもう、食べちゃいたいくらいに。」


艶めかしく舌を回すその顔は捕食者のものだった。


「あら、フフフッ、でも貴女にはやらないわよ。それに、貴女にあの子(・・・)が狩れるかしら?」


「どういう意味かしら、あの少年(・・・・)が本気を出しても、私を抑えるほどの力があるとは思えないのだけど。」


そう言って、相手を睨む。


「まあ、いいわ。能ある鷹は爪を隠す。せいぜい気をつけることねーーー生徒会長さん。」


そう言うと、少女は闇の中へと消えて行ったーーーーまるで、溶け込むように。


残された少女は、拳を握ると小さく呟く。


「黒崎………紫……!」






翌日、俺はいつもより早く起きていた。昨日のことが気になってい

たからだ。



(あの生徒会長……一体何者なんだ…?)



俺は、十年前のローブの男たちの姿が頭をチラついていた。

そんなはずないと、何度言い聞かせても不安を拭えなかった。



「みーどーりー君!朝だよー……って、どうしたのみどり君⁉」


「どうしたって…何がだ?」


「どうしたもないよ!みどり君がわたしが起こしにくる前に起きてるなんて……昨日から様子が変だよ…?大丈夫?」


「大丈夫だよ。偶々目が覚めただけさ。」


そう言ってはにかむと、雨美は顔を僅かに赤らめ「ご飯できてるよ!」そう言って出て行ってしまった。

……よくわからないやつだ。




下へ降りると、いつものように皆は待っていた。

そして、朝食を終え雨美と学校へ行こうとすると。


「緑、今日はすぐに帰ってくるんじゃぞ。」


いつにないその真剣な表情は師匠の顔だ。こういうとき決まって、 十年前に関係している。

俺は短く返事すると、雨美と一緒に家を出た。






わたしのお兄ちゃん…と言っても義理の兄であるみどり君は、わたしが六歳の時におじいちゃんが助けて養子にした。


みどり君は全然笑わない子だった。

いつも、悲しそうで…不安そうで…。


でも、おじいちゃんの稽古に混ざるようになると、段々笑うようになったんだ。


初めは、わたしの方が強かったんだけど、魔法の修行もしてたから、そのうちに抜かれて敵わなくなっちゃった。


でも…わたし知ってるんだ。


みどり君が、おじいちゃんと二人でこっそり魔法の稽古をしてるの。


わたしの魔法…水の派生、波を使う探索魔法で、空気中の魔法の波を感じ取ったんだよ…。

初めは、びっくりしたんだ。

だって、あの魔法属性(・・・・・・)だったから……でも…恐くて聞けないよ…



「みどり君は…もしかして、黒崎家の子なの…?」なんて…。



閑話休題


とにかく、みどり君が昨日から変だ。

昔みたいに不安そうに笑ってる。


それを見てると、胸が苦しくなるよ…


だから、早く元気だしてね!



ーーーお兄ちゃん!





登校した俺は、席に着くと不安から周りを警戒していた。


すると、前の席である聡は


「おはよっ!……って、なにしかめっ面してんだ!昨日から変だぞ、お前。」


そう言って、俺に喝を入れようと腕を振り下ろした。が…。


パシッ…!


「えっ…?…イテッ…」


「わ…悪い…。」


「い、いや…。俺も悪かった…。…スマン。」


俺は聡の手首を掴むと、反射的に力を加えてしまった。


周りが見えず、友達にさえ手を出してしまった自分に俺は嫌悪し恐怖した。




入学したてで、早く帰ることのできた俺は、一人で帰宅していた。

あの後、聡は俺に気を遣ったのか、俺に愛想を尽かしたのか話しかけてこなかった。

どちらにしても、俺はどこか安心していた…ホントに最低なやつだ。俺は。



家に帰るとすぐに、道場へと向かった。



道場は、全面板張りで柱が何本かみられる。

ここは、魔法によって全体がコーティングされているため、余程の魔法でない限り傷つくことはない。


その中央に、年齢を疑うほどの、覇気を纏った人物がいた…勿論、師匠だ。



俺は師匠の元へと向かう。

近づくに連れて、覇気は強くなっていった、常人ならば気絶していただろう。

すると…


ドンッ!!


俺は見えない(・・・・)波動のような何か(・・・・・・・・)によって、壁へ飛ばされる。


「ほう。」

師匠はニヤリと笑む。

なぜなら、飛ばされたはずの、俺がそこにいなかったからだ。


「幻惑か…いつからじゃ?」


「…入った時からですよ。」


そう言うと、俺は柱の影、否、闇から現れる(・・・・・・)


「ふぉっほっほ、ワシも歳かのう?」


「いえ。まだ死なれては困ります。俺が貴方を超える前に…。」


俺は無機質に応える。



「ん?……そうじゃの…。ワシも弟子の誓いを見届けるまでは死ねぬわな。…まあ、座れ。」


師匠の覇気は何時の間にか消え、俺は警戒を解いた。

だからかもしれない、師匠が俺の様子がおかしな事に気付いていた事に、気づかなかった。


「昨日で、おぬしがこの海原家に来てから十年が経った。あの日、おぬししか助けられなかったことを、申し訳なく感じていた。しかし、おぬしが弟子にしてくれと言いに来た時、どこか救われた気がしたんじゃ。だから、ワシはワシの持てるすべての技術をおぬしに教えた…。」


突然の告白に俺は驚く。

「で、でも、俺はまだ、師匠一度も勝っていません!!」


「…初めにワシが言ったのを覚えておるか?強さは力ではなく、心の強さだと。おぬしもう十分、心は強くなった。もう、ワシの役目はここまでじゃ…。あとは、おぬしのやることじゃ!いつまでも、ウジウジしておるなよーー緑坊や!」


「……はいっ!」


十年前のように呼ばれた俺は、十年前とは異なり、ハッキリと力強く応え、十年前のあの日の事を思い出していた。

次は、十年前のあの日の話!

三日以内には書きあげたいです。


感想お待ちしてます。

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