勝つために。
お久しぶりです!遅れてすみません!
これからも応援していただけると嬉しいです!
相手はデュオ。二人で一人と公認されていようとも、相手が二人であることに変わりない。つまり二対一、接近戦はこちらが圧倒的に不利だ、当然四天王を相手出来る自信はない。
「どうしたのー?来ないの?じゃあ、こっちからいくね!」
そう言うと、飛び出してきた萌先輩は大鎌を振るってくる。俺の目測で身長は比較的長身の夏と雨美にはもちろん、平均的な菜瑠よりも小さいように思われる。それに相反するように大きなその鎌は刃の部分も長く大きいが、持ち手の部分も長く攻撃範囲は広い。だが、それよりも驚くべきはその鎌を自由自在に操るその技術だ。地面に大鎌が触れることはなく、大鎌に振り回されることもなく、自分の手脚のように滑らかで自然な動きだ。
「ほらほらー。どうしたのー?避けてばっかじゃつまんないよ?」
一歩引き僅かな時間を作り、黒渦で装甲された左の手のひらを上へ向け開く。
「来い。」
黒渦を通して時空蔵へと繋ぐ。原理は同じであるこの二つは相性がいい、もっと言うならば、時空蔵は空間という概念であればありとあらゆるものと直結することができる。左手から現れたのは愛銃《S&W M500》、それに素早く魔力を込めると発砲し魔弾は萌先輩目掛けて向かって行く。ここまで一秒強、対して先輩との距離は僅か数メートル。時間と距離をみれば命中するように思われるが上手くいくとは思っていない、むしろこれで当たるなら拍子抜けも甚だしい。
しかし予想は外れた。しかし確かに萌先輩は避けれなかったが当たった訳ではなかった。俺と先輩との間に現れたのは桜先輩だった。桜先輩は一瞬で大鎌に魔力を流すと刃は黄緑色が包み込み、振るうと魔弾と相殺し合う。
「ふーっ…危なかったー。当たったかと思ったよ。ありがとねお姉ちゃん!」
「……………怪我…ない?」
「大丈夫だよ〜。」
「よかった……。」
「今のが当たらないとちょっときついですね…。」
「萌に攻撃を絶対当てさせない……。」
「優しいんですね、桜先輩は。でも…」
そう言って俺は再び銃を構えると二人へと向ける。
「この距離で避けれますか?」
しかし桜先輩は顔色一つ変えず真っ直俺を見たまま告げた。
「……君……遅い。」
次の瞬間、持っていた銃は黒渦の時と同じように細切りになった。
「なっ!!!」
俺だけでなく、会場全体がどよめく。
「出たぁぁぁぁーー!!風雅桜選手の【疾風無風】。魔法の発動はおろか、起こったことすら気づかない。全世界最速の魔法だーー!!」
「…まだそんなものを隠していましたか…。結構気に入ってたんですけどね…この銃。まあいいです、銃の恨みは怖いですよ?」
ー装甲 解除ー
「あまり先輩方とこれは相性がよくないようですね…でも、次のはちょっと危ないですよ。」
剣を構えると魔力を纏わせて行くと、俺の周りの空間はその魔力の濃さに歪む。
「今日の彗星は一味違いますよ?」
ー【漆黒の彗星】ー
剣から放たれるそれはいつものように地を抉り、巻き込んでゆくがその行き先には【黒渦】があり、そのまま黒い彗星は呑み込まれるように思われたがそのようなことはなく、限界まで伸びたあと包み込むようにして覆ったまま彗星は姉妹の元へ向かっていった。
そして、大きな音と激しい衝撃が会場を支配する。地面は大きく抉られている、姉妹の居た側の観客席には緊急時保護シールドが張られ、今の攻撃がどれほど強力だったかを物語る。しかし突如姉妹の側から砂煙を巻くように風が吹く。
「いやぁー驚いた!やっぱり隼人君が言う通りだなー。まさか一年生相手にこれ使うなんてね」
「…同意。この子を出すのも久しぶり。」
風が止み現れたのは無傷の風雅姉妹、そして二人を守るようにして前に立つ小さな妖精。
「妖精……?」
「そう!この子は風の妖精、シルフィ。君の黒いのと同じカテゴリーに入る子…つまり召喚獣だよ。」
「この子は召喚獣の中でもトップクラスの力を持つ……。」
「んじゃあーいくよー!シルフィ!」
妖精が光始めると魔力の揺らぎを感じる。
「「神秘ー鎌鼬ー」」
姉妹が大鎌を振ると風が俺を襲うが、さっきよりも威力が増している。
(あの妖精…魔法強化してるのか…?)
すぐに横へ避けたが、そこには萌先輩が先回りしていた。
「ふふふっ!残念でしたー、お姉ちゃんっ!」
萌先輩は鎌の持ち手で俺の腹を打ち空中へと投げ上げると自分もその後を追って飛び上がった。その反対側からは桜先輩が来ていた。
「シルフィ!」
そう叫ぶと姉妹の鎌の刃には風が渦巻いていくき、俺へと斬りかかった。
「ぐはっ!!!」
鎌の刃と、それに纏う鋭い風がおれの皮膚を傷つける。そしてそのまま俺は地上へと落ちていく。
「ぐっ!!!」
身体から血が流れ地面を染めていく。その血の量から傷が浅くないことを示していた。
「どう?もう降参したら?君、このままじゃ死ぬよ?せんせー、もうあたしたちの勝ちだよねー?」
「ん…そうだな…」
「待ってください!!まだ…俺は…。」
歯を食いしばり必死に立ち上がろうとするが力が入らず、おまけに口からも血が出る。
「くっ……。」
ー力を貸してやろうか、小僧ー
(また…お前か。引っ込んでろよ!)
ー久しぶりに出て来たらそれか?さみしいのうー
(うるさい!お前の力は借りない!絶対にな。)
ーそれを聞いたら余計に出たくなったのうー
「どうしたのー?やっぱり無理でしょ?ほら!降参しよ。」
(お前は黙って見てろ、これは俺の戦いなんだ。お前の殺しとは違う。)
ー殺し。か、また酷い言われようじゃー
俺はゆっくりと顔を上げる
「まだだ……まだやれる!」
すると萌先輩は驚いた顔をして腰が抜けたように尻餅をついた。
「ぇっ!……。」
「……っ!!!危険!」
すぐに桜先輩が鎌で襲いかかってくる、どうやら【疾風無風】のようだが、今の俺にははっきりと見えた。一挙手一投足間違いなく。
「遅い!」
軽く躱し、蹴りを腹にいれる。
「っ!!」
「お、お姉ちゃん!」
慌てて妖精と萌先輩が寄っていき、心配そうな顔をした萌先輩を桜先輩は「大丈夫。」と答え立ち上がる。
「…本来、私たちは戦闘には向いてない。」
「あたしたちがデュオとして認められた理由の一つはこれ。」
そう言って手を繋いだ先輩たちは、途端に魔力の質が変わった…正確には二人の魔力が同調し一つとなった。
「そしてもう一つはこれ…この力があったからあたしたちは四天王であり、公認のデュオ。」
二人が瞬時に唱え始める。
「まさか……」
「そう…。」
先輩たちの周りから次々と現れる生物たち…つまり先輩たちの必殺技は…。
「…召喚獣。私たちは同時に何体もの召喚が出来る。そして皆、私たちに従順。」
現れたのはフェンリルやドラゴンなど動物ではなく、神話に出て来そうなものばかり。そして大きさもフィールドが狭く感じるほど大きい。
「じゃあ…いくね!」
*
それから十分後、会場は息を飲んでいた。圧倒的な力の差。巨大で強力な召喚獣を前に人間は弱い生き物だった。
中央に横たわるのは緑、それを囲むようにして召喚獣たちは立っていた。
「審判!もう終わり!これ以上やっても意味ないよ」
ー哀れじゃの。自分の無力さを知ったか?ー
(……)
ーフン、我に戦わせろ。お前の身体を貸せとは言わんー
(…どうする気だ?)
ーそうじゃの…お前の血を借りるとしよう。もう一度その目でしっかりと見ていろー
「では…この勝負…風雅姉妹の…」
「待て。」
「なにー?まだやるの?もう勝てないよ。」
俺は痛む身体に鞭をうち立ち上がる。
「…萌…下がって。」
桜先輩は萌先輩を守るように立つ。
俺はゆっくり剣を拾いに行くとしっかりと掴む。そして、迷うことなく自分の心臓を刺した。
「なっ!!」
「き、君!何をしてるんだ!」
会場、姉妹、審判の先生すら驚き理解できないといった様子だ。
しかし俺は冷静だった。痛みはあるが、勝つために残された希望にすがる他なかった。
口から、傷から血が流れ出る。ゆっくりと剣を抜くと凄まじい勢いで血が噴き出す。同時にどこからともなく声がする。
ー血を糧に我、器から出でるー
血が一つにまとまると人の形を作る、出来上がったのは髪の赤い俺だった。
そいつは軽く首を捻り骨を鳴らす。
いつの間にかおれの血は止まっていた…否、血はなくなっていた。
「久しぶりじゃの。外の空気は…たが、そうゆっくりもしておられんの。」
「…誰…。」「そうだよー誰ー?」
「お前らかこの珍獣たちの飼い主は。」
「…珍獣。珍獣言うなー!!やっちゃえ!!」
召喚獣たちは一斉に襲いかかるが赤髪のそいつはゆっくりと手を上へ上げると静かに唱えた。
「【空間破壊(Space Breake)】」
手より上の空間は音を立てて、ガラスのように砕けて行った。当然召喚獣たちも砕けていく。
「そんな……。」
赤髪は俺のそばへ来ると
「見たか?これが空間を操るということだ。さて…お前らまだやるか?次はお前らにこの技を使うが?」
先輩たちは俯いた。
次回の投稿は新作を出したいと考えてます。あっ!決してこれを書くの飽きたとか…ちょっと違うの書きたいとか。そんなんじゃないですよ!
なろうコン参加したのでよかったら評価と今後のためにアドバイスお願いします!




