校内戦予選~過去・一回戦~
今回は早いです。ついに始まりますよー!
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読者の皆様に感謝。
ーーチュンチュンチュンーー
八月一日。ついに校内戦当日がやってきた、俺は興奮と緊張からよく眠れず寝不足。となることなく、しっかりと睡眠を取ることもできて身体は絶好調だ。大きく背伸びをして立ち上がると着替えて部屋を出る。ここ最近では昔のように起こされることがだいぶ減ってきていて自分で起きるようになっているので、雨美は部屋にはやって来ない。一階に降りるともう朝食の用意はできていて丁度いいタイミングだったようだ。「おはよう。」と挨拶して席に着くと食事を始める。ふと父さんに話し出す。
「そういえば、お前たちは今日から校内戦だったな。雨美も緑も頑張れよ。俺も来賓として見ることになっている。七大名家のことは気にせず、お前たちはお前たちらしい戦いをするんだぞ。」
「「うん。」」
「ワシも見に行くとするかの…この数ヶ月緑がどのように成長したか気になるしな…。雨美はいつものようにやればいいからの。」
そんな他愛ない話をしながら朝食を済ませると一度部屋に戻って準備して、机の上の写真に目をやる。
「姉さん。頑張ってくるね…必ず本戦に出て見せるから。」
*
学園に向かう生徒 (主に一年)は緊張と興奮した様子で俺と同じような感じらしい。逆に二年は一度経験しただけに少し余裕があり、お祭り気分だ。三年は進路にも大きく関係してくるため一年とはまた違った緊張感がある。
そして学園内に入ると正面の電子掲示板に各学年のブロック分けが発表されている。組み合わせを見て一喜一憂する姿が学生らしい。
ちなみにこの組み合わせはランダムに行われある時は一ブロックにA組ばかり集まったということもあったそうで、運も味方につけよ。いわゆる運も実力のうち。といったスタンスらしい。
俺は雨美や夏、菜瑠と同じブロックにならないことを祈りながな掲示板を見るとAブロックに菜瑠、Bブロックに夏、Dブロックには雨美とみんなバラバラでとりあえず安心はしたが俺の名前がまだ見つからない。そして最後のFブロックを見るとそこに俺の名前があった。今回のブロック分けではどのブロックにも殆ど均等にクラスが分けられていた。FブロックにはA組の王子様と呼ばれ海原家のガラードの水戸家長男である水戸流星、B組の黒崎家のガラードだった暗殺者の一族の長女、鬼道雅。この二人が要注意だろう。ちなみにガラードというのは有名な騎士ガラハッドから取って、七大名家に仕えることのできる名誉ある一族、騎士。というわけだ。
そして聡はというと…どうやらCブロックのようで、どうやら戦うのは本戦までお預けのようだ。
その後俺は聡と合流して開会式へと向かう。学園長の話、来賓、そして蛇野生徒会長に代わって就任した臨時生徒会長、二年A組ノエル=イルザーク。彼女は黒崎・イルザーク・黒の世界三大闇魔法の名家、イルザーク家の次女だ。なぜ彼女がここ日本にいるかと言うとイルザークの実権は姉が持っているが彼女の意向で妹のノエル先輩を日本のこの学園に入れることで七大名家とのパイプを作ろうとしていると聞く。そういう政略があってこの学園に通っているが日本が好きな先輩は結構楽しんでいるそうだ。と、以上のことを勝手に話し始めた聡の話に耳を傾けながら開会式を終えるとついに予選が始まった。
俺の出番はまだ先なので観客席に雨美と一緒に座っていた。
「そういえばね、さっき夏ちゃんと会ってね。雰囲気が変わっててびっくりしたよ。ちょっとメッシュいれただけなんだけど、みどり君も会ったらびっくりすると思うよ。」
「ああ、実は昨日会ったんだが確かに変わってたな。でもあいつはあいつのままだったしな…。」
「そうだね、わたしも話してみたら元気そうで安心したなぁ。」
「おっと、ほら始まったぞ。菜瑠の応援してやろうぜ。」
「うん♪」
俺 に向けられた周りの男の目が痛いのは言うまでもない。
予選の仕組みは初めAブロックの一回戦から予選を三つの演習場に学年別で分けて行い、本戦の二回戦からは一つの演習場で行っていくそうだ。
Aブロックから始まったこの一回戦では大きな番狂わせもなく菜瑠、雨美、夏、聡は危な気なく二回戦進出を決めていた。そしてついに俺の出番がやってきた。先生から貰ったコートを羽織って腰にはあらかじめ《ダーインスレイヴ》を装備して控え室を出た。
*
現れた黒のロングコートを羽織った緑に周りの生徒からは奇異の目が向けられ、中には野次を飛ばす者までいる。しかし俺、石川聡はこの上なく嬉しかった。きっと何か理由があってコートを羽織っているんだと…それがきっと俺に応えてくれたんじゃないかと思わずにはいられなかった。
俺と緑との出会い小学校にまで遡る。自分で言うのもなんだが、当時の俺と今の俺は対して変わってないと思う。クラスのムードメーカー的な位置で盛り上げ役だったと思う。その時同じクラスに全く周りと関わりを持とうとせず、小学生のくせに小学生らしくない、いつもどこか遠くを見ている奴がクラスにいた。それが海原緑だった。初めはみんなあいつにも声をかけていたが、反応がよくないしつまらないといった理由から段々クラスから浮いて行った。その時の俺はガキだったから自分もハブられるのが怖くて話しかけることができなかった。
そして小学校中学年になるとまたあいつと同じクラスになった。その頃のあいつは海原の汚点だとか色々と陰口を言われたり、変な噂も立っていた。
ある日俺が一人で帰っていると公園に緑がいたが珍しく一人ではないようなので興味からこそっと覗き見ると、そこには同じ学年のあの火野夏がいた。
(どうしてあいつらが…?)
七大名家の人間同士だからと考えれば納得いくかもしれないがそれにしては雰囲気がそれ以上に親しげだった。
「ねえ、緑!また変な噂が立ってるよ!いい加減みんなにビシッと言いなさいよ!」
「…別に……どうでもいいし…。」
「良くない!!あたしが良くないの!」
「ちょ……夏……。苦しい…離せって…。」
「はっ!…ごめん…。」
「別にいいよ、近くで夏の綺麗な顔も見れたしね。」
そういって海原緑がニヤッと笑った。俺は電撃が奔ったような気分だった、あの海原緑が笑ったところを初めて見たからだ。
そして海原緑は公園を去ろうとするが火野夏が顔を真っ赤に染めてプルプル震えている。
「き、き、きれ……。み、緑!待ちなさい!【火炎玉】!」
あっ!そう思った時には既に魔法は放たれていて小学生が…しかも五大魔法が使えない海原緑にとってはただでは済まないはずだ。そしてそのまま火の玉は海原緑に当たった……はずだった。
「ったく…。危ないなぁ…気がつくのが遅れたら火傷だったよ。」
「……また当たらない!…って、待ちなさいよ!!」
海原緑は初めて出ようとしていた出口とは反対側の出口から出て行き、後を追って火野夏も出て行った。
(何だったんだ…今の…。確かにあいつに当たったはずだ。なのにあいつは別のところから現れて…無傷で…。)
この時俺のあいつに対する興味は一気に高まった。きっとあいつこそ俺のあるじに相応しいんじゃないのかと。
その日から俺は積極的に海原緑に話しかけて行った。初めは無愛想だったが次第に打ち解けて行き今では親友だ。あの時のあの光景が今でも鮮明に浮かび、それが知りたくて仕方がなくなった俺はついに今回の校内戦を契機にあいつに本当の強さ知りたいと伝えた。そしてあいつは応えてくれるはずだ。それが海原緑という男だから。
*
俺に向けられる視線は奇異のものがほとんどだ、こんなのは慣れているただ一回戦に集中するだけだ。相手はB組の奴だ、誰だかよくわからないのでおそらく有名な一族の人間ではないだろう。
初撃は雷。撃ってくる魔法を躱して一気に距離を詰めて剣を抜くと一閃。しかしさすがはB組、上手く躱すと空中で再び撃ってくる、俺は咄嗟にバックステップで躱すともう一度距離を詰める。相手も日本刀を抜き抗戦してくるが剣術は俺が一枚上手のようで俺の舞う剣舞に防戦一方だ。鍔迫り合いから距離を取り瞬時に【魔力武装】を発動し相手の懐へ先ほどよりも更に速く距離を詰めて掌底突きを打つと相手は意識を失った。
*
「相変わらずあいつは速いわね。あんなのなかなか反応できないわよ。」
「うーん…わたしもみどり君のスピードにはついていけないなぁ~。菜瑠ちゃんの本気とどっちの方が速いんだろうね?」
「わ、わたしは緑さんほど速くないよ。」
「またまた~菜瑠ちゃんは本当謙虚だよね。」
「雨美が言うな。」
「あいたっ!もう何するの夏ちゃん~。」
「雨美ほど謙虚な人はいないわよ。ねっ、菜瑠?」
「うん。わたしもそう思うよ雨美ちゃん。」
「そうかな…?えっ!」
思わずわたしは目を疑った。それは菜瑠ちゃんも同じようで呆然とみどり君の試合を見ていた。最後の攻撃をする時のスピードが格段に上がったからだ。夏ちゃんは少し考え込むと何か納得したように頷いていた。
「夏ちゃんはさっきの速さの理由がわかったの?」
「ええ、わかったわ。でももうあいつがそれを使いこなせていたなんてね……さすがは黒崎家かしら…。」
「最後の何て言ったの?」
「何でもないわ。それよりさっきのだけど…聞いたことあるでしょうけどおそらく【魔力武装】ね。」
「えっ!魔力武装って…あの…?」
「ええ、自らの魔力を力として扱う上位魔法、そして変質属性魔法とも呼ばれている応用性に優れたあの魔法じゃないかしらね。それだったらあの格好も納得がいくわね、魔力武装では自分の得意な魔法がわかってしまうからそれをカモフラージュするためにあのコートを羽織ってるんじゃないかしら。」
「…でも…緑さんは何時の間にそんな大技を?いや…それよりも緑さんは一体何者なんでしょうか…。」
「家では全然そんな練習してるとこ見たことないよ…。」
多分見せないようにしてるんだよねみどり君は…。やっぱり凄いねみどり君は…やっぱり黒崎家の人間なの…?
「ほらっ!二人とも。あいつに拍手を送りましょ。」
*
会場に拍手は起こらない、皆信じられない光景を見たように呆然としていた。次第に小さな…俺にとっては大きな拍手をくれる奴らがいた。俺にとって大切なあいつらに感謝し応えると控え室へと戻る。するとそこには卓がいた。
「さすがだな。闇魔法を使わずに勝ったか…。しかし何時の間に魔力武装を覚えたんだ?」
「ちょっとな…。」
「そうか…まあ詳しくは聞かねぇよ。じゃあまたな、お互い頑張ろうぜ。」
そう言って行ってしまったように思われたので俺も背を向けてコートを脱ぐが
「……胸の聖痕…暴走には気をつけろよ。」
「はっ!お前この刻印のこと……!!」
慌てて後ろを振り向くがそこに卓はいなかった。
「お前は…何を知っている……?」
蛇口から滴る水の音がポチャンとはっきり聞こえた。
感想、アドバイス等お待ちしています。




