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まもる者~promise~  作者: ユガミウ(旧名 立花 優)
高校生活は波乱の予感?
13/28

彼女たちの休日

時系列的には少し戻ります。

時間は少し遡る。


わたし、海原雨美は暇だった。みどり君のようにゴールデンウイークに部活はないし、勉強だってまだする必要もないと思う。お父さんに言ったら跡取りなんだから…とか言ってなんか色々させられそうだなぁ~。うーん…遊びに行こうかな…。


「もしもし、菜瑠ちゃん?今日何か予定ある?」


「ごめんね雨美ちゃん。昨日わたし休んだから学園に行かなきゃいけないんだ。だから今日は無理かも…。」


「そっかー。残念。ううん、気にしないで急に誘ったんだし仕方ないよ。じゃあまた今度遊びに行こうね。」


「本当にごめんね。うん。また今度遊ぼう。じゃあ行くからまたね。」


「またね~。」


(残念、菜瑠ちゃんは予定があったか…なら次は…。)


「もしもし、夏ちゃん?今日は部活?」


「いや、今日は休みだけど?どうかしたの雨美?」


「本当⁉よかったらさ、今から遊びに行かない?」


「ええ、いいけど…。珍しいわね雨美から誘うなんて。」


「みどり君は部活でいないし…家に居てもやることがなくてさ。夏ちゃんと久々に出掛けたいなーって、本当は菜瑠ちゃんも居たら良かったんだけどね。」


「何?あいつ今日も部活なの?大変ね。まあわかったわ、十一時に駅でいいかしら?」


「うん♪じゃあまた後でね。」


(よかった…。)


こうしてわたしの休日の予定は決まったのだった。この時はまだあんなことが起こるなんで思ってなかった。




「ごめん!遅れた…よね。」


「いいよ全然。わたしが急に誘ったんだし。じゃあ行こっか!」


予定より十分ほど遅れ、わたしたちは電車に乗って五つ先の駅に向かう。


わたしたちの住むこの街は七大名家のうちの五つの名家の本家があり歴史の深い街だ。

それだけにスーパーや家電量販店、お土産屋しかないこの街はわたしたちのような若者にはつまらないもので、こうやって都心の方に行かなければ遊ぶことはできない。



「着いた~!!」


「相変わらず不便よねあの街は。」


電車で十分ちょっと。近いといえば近いのだが街並みはガラッと変わる。

高いビルが並び、大型商業施設やおしゃれな雑貨屋、ブティック…etc若者向けの店がたくさんある。

わたしたちも受験や入学準備に追われていたから随分久しぶりにここに来たことになる。


「じゃあ行きましょ。」



ゴールデンウイークということもあって、周りにはおしゃれな若い女の子やカップルがたくさんいた。

しかしその中に埋もれることなく彼女らは輝いていた。


誰もが目が惹かれてしまう、艶のある黒い髪をなびかせる学園のアイドルである雨美。

モデルのようなスタイルで皆の注目を惹く美少女、夏。

彼女らは自分が注目を集めてるなんて思ってないのだろう…。




(はあ…やっちゃった…。)


わたし雷豪菜瑠は後悔していた…まあいつものことなんだけどね…。

どうしても緑さんに優しく声をかけられると頭の中がぐちゃぐちゃになって逃げだしてしまう…。本当はありがとう、とか色々言いたいし、この敬語だってやめてもっと親しく話したい!でもわたしには難しいことだった…。


わたしは家に帰ると、今日もらったプリント類を整理し、宿題とそれ以外とに分ける。


(あれっ?ない…。)


先生に特に重要だと言われて渡されたプリントが見当たらなかった。

落とす要因があるとすれば、さっき走ったとき以外には考えられない。


(はあ…買い物のついでに探しに行こう…。)


この肝心なとこが抜けてるこの性分もどうにかしたい。実は悩みだ。



(はあ~よかった…。)


結局プリントは見つからず諦めて先生に謝りに行こうと職員室に行くとプリントはあった。親切な人が拾ってくれて学園に届けてくれたらしい。


ちょっと気分の良いまま買い物を済ませて帰っていると夕方で十八時を回っていた。


(ちょっと遅くなっちゃったな…。)


そう思いながら歩いていると前に怪しげな男が立っていた。

そしてその男は右手を前にかざし…魔法を撃って来た。


わたしは咄嗟に迎撃する。


(な、なにが起こったの?)


「へぇーやるね。流石は雷豪のお嬢さんだな!」


再び黒い風がわたしを襲う。


(【鎌鼬】…にしては少し違うね…。)


わたしは切り替える…弱いわたしと強いわたし。戦いは戦いだけを考えていれば良い。だから感情はいらない。むしろ邪魔なだけ。


「【麒麟(Giraffe)】!」


わたしの特製…高電圧の麒麟は風を打ち払い相手へと向かって行き直撃した。


「相手が悪かったね。わたしは()に認めてもらうためにも負けられないの。」


気絶しているであろうその男に近づいて行く。しかしわたしは信じられないものを見る。


「痛っ…てぇ…なぁ…。驚いたじゃねぇーか。」


無傷…というわけでは無いが気絶していなかった。それどころか全身から黒い何か…まるで闇の魔力のようなものが溢れていて右手には十字架が刻まれて血が流れていた。


「どういうこと…?【麒麟】!」


再度発動させるが次は黒い風に相殺される。


「そんなもんじゃ俺は倒せないぜ!」


黒い風は男の右手に槍の形に収束する。


「本当に大した力だぜこいつはよ。どんなやつにも負ける気がしないぜ!」


すごいスピードでわたしに迫ると槍を振り回してくる。わたしは接近タイプではないから一刻も早く距離を取りたいところだったが、男は距離を取らせてくれない。


次第に切り傷が増え血が流れる、このままでは押される一方だった。


「【放電(Discharge)】!」


わたしは距離を取るために身体から電気を放つ。が、


「甘いな!解き放て!!」


持っていた槍を中心に風が起こり、収束が解かれていく。


「きゃああーー。」


横腹に暴風を受け吹き飛ばされるとそのまま民家の塀にぶつかる。


「うっ………。」


「七大名家もこんなもんか?拍子抜けだったな。殺しはご法度らしいからな、暫く寝ててもらうぜ。」


「うっ!」


首を突かれるとわたしはそのまま闇に意識を沈めて行った…。



「いや~楽しかった~!こんなに買っちゃった!」


辺りはすっかり夕方になっていた。


「雨美…あなたって相変わらずね。」


「んー?どうしたの?」


「いや、何でもないわ。」


雨美は誰が見ても美少女だ。その黒い髪もあって彼女を見た人は必ず、物静かで気品高いイメージを持つだろう。でも実際の雨美はもしかしたらあたしよりもアクティブかもしれない。

人は見かけによらないものだ。




「どう?君たち俺たちとお話し…。」


「結構です。行こ、雨美。」


はぁ…今ので何人目だろうか…。今日一日で呆れるほど多くの男がナンパしてきた。中学に上がったくらいからこうして二人…いや、菜瑠と三人で歩いてるときでさえも声をかけてくる男が多くなった。こちらとしては迷惑な話しだった。

そしてまた…


「ねぇ…。」


「すみません、いそぐ…⁉」


「きゃっ!何?」


「フフッ、少し話を聞いてくれないかな?」


あたしたちの身体は何らかの力で動けなかった。顔を確認することが出来ず、口調も違うのだがこの声に聞き覚えがあった。


「あんた…三年の…。」


「へぇ…よくわかったね。今日は君たちに用があってきたんだけど。一緒に来てくれるかな?」


「あたしたちが行くと思ってるの?」


「よくこの状況でそんなことが言えるね…まあ元々素直に来てくれるとは思ってなかったけどな!!」


口調が変わった…戻ったと思うとあたしたちを縛る何かも解け、あたしたちに黒い火炎が襲う。


「雨美!」 「うん!」


「【水門(Sluice Gate)】!」


あたしたちの前に水の壁ができると火炎は鎮火していく。


「流石ね雨美。あたしが本当の火焔(・・)を見せてあげる…【地獄の業火(Hell Fire)】!」


地獄絵図。さっきまで男がいた場所はアスファルトごと焼けていた。


「な、夏ちゃん!ここ街中だよ!大丈夫なの!?」


「あっ…。って、誰もいないじゃない…違うわね…これは……結界…?」


「フフフッ、流石は火野のお嬢さん。でも感謝して欲しいわね。わたしのお陰で死人が出なかったんだから。」


「…どういうことですか…?蛇野生徒会長。」


「どうして会長が?」



あたしも雨美も驚いていた。華奢な身体でさっきの男を抱えていた。

結界を貼ってくれたことには感謝しているが…この状況ではまるで敵のようではないか。


「まったく…ほら起きなさい、あなたにあげた力はそんなものじゃないわよ。」


「…っ…。すみません…。油断してました…。」


するともう一人やって来た。


「ったく、だらしねぇーなしっかりしろよ!こいつらはあいつへの手土産だからな。」


「あぁ…すまん…。」


「さあ、行きなさい!危なくなったらわたしが手を貸してあげる。」


「黙って聞いてりゃいい気になって…あたしたちを舐めないで!雨美、あたしをサポートして。」


「うん!」


「いくわよ!【地獄の業火】」


再び辺り一面火の海となり生存はまず考えられない。


「はぁ…はぁ…はぁ…。」


「夏ちゃん大丈夫?」


「ええ…でもだいぶ消費したわ…。」


しかし業火のなか異質な黒い塊が佇んでいた。


「【黒之要塞(Black Fortress)】」


黒い塊は三人を守るように包み込んでいてまるでダメージはない。


「あなたたちじゃこの魔法は防げないわね。」


「さすが会長さんだ。俺らも負けてらんねぇーな。」


二人同時に発動された魔法は、先ほどと同じ黒炎であたしたちを襲う。


「任せて夏ちゃん…。終わらせるよ…【絶対零度(Absolute Bero)】」


海原家の魔法のなかでも上位…使用制限がかかる程のこれは、海原が得意とする水属性を極めその上で風と二重詠唱することによってこの魔法は発動する。


放たれた魔法はあらゆるものを凍らせていく…黒炎は凍り、男たちも驚く間もなく凍りつく。しかしまたしても会長には防がれる。


「やっぱり七大名家にはかなわないわね…。ここで戦うのはあまり得策とは言えないけど…仕方ないわね。」


会長は人差し指を立て腕をあげると指先から紫色の光がでる。


「【投写幻影(Reflect illusion)】」


何かが起こった…しかし何も起こっていなかった。


「何だかわからないけど行かせてもらうよ!」


雨美の右手に氷の刀ができて会長に斬りかかると会長は素早い身のこなしで次々と躱す。


「なかなかやるのね。」


「………。」


「あら…つまらない。」


雨美は攻撃を緩めることなく刀を振るうが躱されてしまう。


あたしは腰に隠していた銃を抜くと会長を狙う。


「雨美!離れて!!」


魔力を撃ち放つと一直線に会長の元へと向かう。


「フフフッ。」


そして…。




わたしは夏ちゃんの指示で弾の軌道上から離れるとすぐに発砲音がすると会長へと向かって行き直撃したように見えるが、崩れ落ちたのは夏ちゃんだった。


「夏ちゃん⁉」


わたしが駆け寄ると夏ちゃんは下を向いたまま震えていた。


「夏ちゃんどうしたの⁉」


「そんな……あたし…そんなはず…いやぁぁぁぁぁ!」


「大丈夫⁉どうしたの!ねえ!夏ちゃん!!」


「いや…違う…違うの…どうし…て……。」


夏ちゃんはついに気絶してしまった。


「夏ちゃん!…何があったの…?」


「フフフッ、彼女はよっぽど彼のことが大切みたいね。」


振り返ると無傷の会長が立っていた。


「どうして…。」


「あの程度の不意打ちが通じる程わたしは甘くないわよ。」


「…っ。夏ちゃんに何をしたの!」


「別に彼女だけにしただけじゃないわ…フフッすぐにわかるわよ。」


彼女が指を鳴らすと男たちの氷に黒炎がつき徐々に溶け始める。


「さすがは海原最高の魔法。少し時間がかかりそうね。でもいいわ、ねぇ…彼女に何があったか知りたくない?フフッ、攻撃して来なさいよ。」


「言われなくてもそのつもり!」


わたしは刀を振り上げるが彼女は抵抗する気配はなく、むしろ笑っていた。そして刀が触れる直前、わたしは刀を止めた。


「……っ!……どうして…。」


今わたしが斬りかかろうとしていたのは…みどり君だった。


「あれっ…わたし…。夢でも…」


みどり君は優しく微笑むとわたしのお腹を蹴った。


「ぐっ…。どうして…みどり…く…⁉」


しかしそこにいたのはみどり君ではなく会長だった。


「…そうだわたし…会長と…。でもどういうこと…?」


「フフフッ、火野さんが苦しんだ理由がわかったかしら?わたしの【投写幻影】は直接相手の脳に幻術をかけるの。そしてその見る幻術に違和感を持たない。どんな状況であっても納得してしまうの。さらに幻影とわかっていても決して回避することは出来ない。できるとしたら脳に干渉出来る人か…あの女(・・・)くらいね…。」


「そんな…。」


「さて…そろそろね。彼らにあなたを処理してもらうわ。」


「うっ…さっぶ!」


「まったくだ…」


「あなたたち!この娘を倒しなさい。もう攻撃はしてこないわ。もちろん殺しはだめよ。」


「フハハッ。いいね、どんな悲鳴をあげるんだろな。」


「さっきはよくもやってくれたな…ガキが!」







ーーーーーーわたしは反撃することが出来ないまま意識を失った。




次回再び戻ります。

ちなみに前にでてきた【紅蓮】と【地獄の業火】だったら、【地獄の業火】は秘術で【紅蓮】が単純に上位魔法って感じです。


感想、誤字脱字指摘等お待ちしています。

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