俺の朝は夢見るシチュエーションで
とりあえず、時間があるうちに。予想以上に時間かかりますね。
「……お……ど…お…て。……起きて!みどり君!」
「うーん……」
「おはよう、みどり君。ほら、はやく!入学式遅れちゃうよ!朝ごはんできてるから、はやく降りてきてね!」
「んー…わかったよ…。」
そう言って俺は、背伸びする。
俺、海原緑こと、旧姓黒崎緑の朝は、全男子が羨ましむだろうシチュエーション、つまり、義妹が起こしにくるのだ。
兄である俺がいうのもなんだが、義妹…いや、海原雨美は可愛い。歳は俺と同じで、頭脳明晰、容姿端麗。
特に、黒い艶のある髪は腰あり、多くの男子の目を引き、女子からはどうしたらこうなるのかと、いつも聞かれている。
察しているだろうが、男女問わず人気がある。
いわゆる、学園のアイドルというわけだ。
俺は着替え終わると、机の上の写真に目をやる。
そこには、二人の幼い男女が写っていた。
「今日で、もう十年か……。はやいな…。必ず助けるから、待っててねーーー。姉さん。」
そして、朝食を食べるために一階へ降りる。いつものように、みんな揃っていて、俺を待っているようだ。
「おはよう。はやく顔を洗ってらっしゃい。」と、母さん。
「おはよう。」と、新聞を読みながら言うのは、この7大名家の一つである海原家の現当主、海原大河の父だ。
「おう、おはよう。相変わらず雨美に起こされとるんじゃな。その、調子じゃあ、ワシに勝つのはまだ先のようじゃな。」これは、俺の師匠でもある、海原大和、じいちゃんだ。ちなみに、前当主だ。とにかく強い。
顔を洗って、食事を済ますと、俺と雨美は、用意をして家を出る。
入学式といっても、俺たちが通う高校は中高一貫のため、そう変わりない。
「お、おい…。雨美。ちょ、ちょっと離れろよ。」
「どうして?いいじゃん、みどり君。」そう言って、右腕に絡ませた腕を強くした。そう、雨美の唯一の欠点…ブラコンなのである。
「なんというか…その……腕に柔らかい…アレが…。」
「んー?どうしたの、みどり君?」そういうと、雨美は心配そうに顔を近づける。
「いや。な、何でもないから、大丈夫。」そういうと、安心して顔を離す、腕に柔らかい感触を残したままに。
しばらくすると、前方に見覚えのある、栗色の髪をサイドテールに結っている少女を見つける。すると、雨美は駆け出し。
「あっ、おーい!菜瑠ちゃーん!」
「おはよう、雨美ちゃん。お、おはようございます、緑さん」
「おはよう、菜瑠。」
雷豪菜瑠、7大名家の一つ雷豪家の、次代当主だ。こいつもまた、美少女で、雨美とまではいかないものの、そこそこ人気がある。
しかし、なぜか、俺と話すときは敬語なのである。
そうして、俺は右腕には雨美、左側には羨ましそうな菜瑠の三人で登校した。
多くの視線(主に男子の嫉妬)を感じながら。
7大名家に関しては、いずれ詳しく説明します。まだ、日常パート。