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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第八章 to be torn asunder
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第94話 ク・ホリンはゲイボルグを多用しない

ヘラクレスの弓は和弓と同じく、シンプルな構造になっている。だから、アーチェリーより和弓を学んだ方がいいのは確かなので、私は涼介君と弓道部にやって来た。


『ヴィクトリア(先輩)が、彼氏連れでやって来た!?』


「違うから!!」


私は顧問の先生に事情を話すと、すでに話は行っているようですぐに了承してくれた。

私は準備運動をし、先輩方に先に射ることの伺いを立ててから四方に礼をし、弓に矢をつがえる。

先ずは足踏み。姿勢を正さずして、的を射られる道理はない。背筋を伸ばし、自然な形を保つ。

胴作りで重心を腰に置いて丹田に心気をこめ、弓構えで呼吸を整え、物見を定める。


打起しで弓を引き分ける前に、弓矢を持った両拳を上にあげてから引分け、「会」を作るのみ。

離れ。すなわち射出。技術や力を凌駕する気力の充実によってそれはなされる。そして残心。


「ヴィクトリアちゃんが、女の子にもてる理由が分かるわねえ。その辺の男とは、比べ物にならないぐらいかっこいいんだもの」


「ほっといて」


四方に一礼し、戻ったところで同級生の女子にそうつっこんだ。涼介も、思いっきり目を見開いて拍手してるけど君もやるの。今のはただの見本なんだから。

涼介に射法八節を一から教え、四方に礼をさせてから射らせると的のすぐ横の盛り土に中った。


「筋がいいわね。正直、びっくりしたわ。どこかで習った?」


「いやあ。初めてっすよ」


多分、ヘーラクレースの記憶なんだろうな。取りあえず、彼にはゴム弓で練習してもらう方がよさそうね。そう考えていると、フィーア先生がやって来た。


「失礼。ヴィクトリア・フォン・ヤマモトと高千穂涼介はいるか」


「どうしたんですか?フィーア先生」


彼女によると、魔王が北アメリク大陸に現れたそうだ。私は顧問の先生に頭を下げ、涼介にゴム弓を渡して使い方を説明しながら集合場所に向かった。でも変ね。どうして今回は、フィオナが邪魔しに来ないのかしら。嫌な予感がしつつも、騎士団の航空機に乗り空に浮かんだ辺りでのこと。兄さんが運転手さんのシートベルトを外し、床に引き倒した。


「兄さん!?」


次の瞬間、運転席を破壊し尽くしたのはゲイボルグ。まさか、騎士団の航空機ごと破壊する気で来るとは。

運転席が完全に破壊されたことで、これは空中分解するだろう。


「騎士の皆さんは逃げてください!奴らの狙いは私達だけです」


「空の上では、我々は歯が立たない。遺憾ながら脱出する。勝手ではあるが、君達の武運を祈らせてもらう。それと、助けてくれてありがとう」


「完全に運だがな。窓の向こうに槍を弓につがえている女が見えたんだよ」


騎士さん達は落下傘で脱出。私達は神聖波動で滞空し、機体の残骸は海へと落ちて行った。


「さあ、お姉さま。一緒に踊りましょう」


フィオナ。あんた、自分が何をやったか分かってるの?


「私はお姉さまと殺し合えればそれでいいんです」


私の何がこいつをここまでさせてるのかはさっぱり分からないけど、売られた喧嘩は買う!

敵はフィオナにディルムッド。ク・ホリンに徹。それに十萌とステファニーか。

数はこちらの方が上だけど、英雄に変性していないメンバーを人質に取られたら……。


「離せ!!」


礼志君が貴悦法眼に捕まってる。やられた。


「チェックメイトだな。アーサー王」


まさか、マーリン一味も絡んでるとは。どうすればいい。


「黒川十萌!お前が変性したのは何の英雄だ!!」


「はい?言ってませんでしたか。私は源九郎義経です」


久保GJ!

貴悦法眼は、義経に恨みを持っているはず。実際彼は顔を赤くすると、十萌に切りかかった。


「な、何ですかあ!?」


「これは、人選を誤ったようだ。まさか、貴悦法眼と遮那王の戦いを内輪もめと言う形で見ることになろうとはな」


「なあ!?よりにもよってえ!!」


「うわあ!!」


礼志君が落ちていくのを拾おうと、変態ペンギンが滑空する。させるか。

私はそれを追いかけようとするも、ステファニーに阻まれ、戦闘モードのク・ホリンがクルージーン・カサド・ヒャンという光の剣を振るう。


「くけー!」


だが、変態ペンギンが同時に礼志君のところに向かい、実質楯となって血を流しながら海に落ちたけど、彼女のことだ。そのうちひょっこりと、何食わぬ顔で礼志君に抱きつきに来るだろう。


「くっ、使えない方達ですね。フランソワは邪魔なだけだし、助っ人の貴悦法眼は使い物にならないどころか、足を引っ張る始末」


「そこで私の出番だ。課外授業と行こうじゃないか」


そう言ったのは存在をすっかり忘れていたマーリン。彼は懐から虹色に輝く水晶玉を取り出した。


「ランダムクリスタル。四方10kmにいる者を、無作為な場所に弾き飛ばす錬金術アイテムだ。オリジナルだがね。海に落ちて、魚のエサにならんようにな」


それは強い光を発し、目の前が光で覆われ気が付くと水の中に落ちた。

これは塩水じゃなくて、淡水。一体ここは……ごぼ……。


ゲイボルグは奥の手で、普段は光の剣や普通の投擲武器を使って戦うそうです。

知らなかった。orz

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