第7話 超合金になったボク
今回は新キャラ視点です。
ニッカウで行われる武闘大会は夜に行われる。
様々な猛者が力を振るい技を競い心を磨く。
ボクには心があると言う
ならボクが祭りに出てもいいんじゃないか。
でもそれは間違いだった。
ボクの対戦相手は大きなカプセルに手足を生やしたような機械を動かすマスター。
マスターの最高傑作にしてマスターの命令に従う忠実な兵器はボクを捕まえると全身を破壊し、頭をゴミ箱に捨てた。
ボクはやっぱりポンコツなんだ。
不意に視界が白く明るくなっていく。
ああ。ボクにも死後の世界はあるんだろうか。
視界がクリアになるとあの人達が映った。
「・・・おお、起きたか!ブレーカーを上げても目を覚まさないからあせったぞ」
「ブレーカー・・・」
どうやらあれは夢だったようだ。いや正夢だろう。
マスターがイーヴニットに乗って降臨祭の武闘大会に参加することは決定済みだ。
何しろ賞金は100万ラスク。それに大勢の人が観覧する。
自分の頭脳と技術を宣伝するチャンスなんだ。
「お前のボディーは鉄で出来てたんだ。道理でエルが油圧式のアームをへし折れれるはずだ。・・・いや、それでも充分化物の域なんだけどな。それはともかくお前のボディーを超合金に変えたよ。アルミニウムとマグネシウムとタングステンを主成分とし、表面にキズを作らないように練成することで鋼鉄の10倍以上の金属強度を・・・」
猫ちゃんは何か小難しいことを言ってるけどそれよりも確かめておかなきゃいけないことがあるんだ。
「ボク、ロボットだから子供作れないよ?」
「・・・お前は何を言ってるんだ?」
「多分子供を作るために自分を直したと思ってるんじゃないか?」
女の子みたいな顔をした猿人の男の子にそう言われると猫ちゃんは頭を抱えた。
「濡れ衣すぎる!!」
「違うの?」
「違うわあ!!俺がしゃべれるのは瘴気じゃなくて神の・・・いや。やっぱりいい」
そう言ってフォルテと呼ばれた猫ちゃんは不機嫌そうに顔を洗った。
この猫ちゃん仕草がなんとなく人間臭い気がするんだけど。
ボクは起き上がり体の具合を確かめると確かに前よりも軽い気がする。
何ていうかジョイントが凄く動かしやすい。
「君は猫なのに考古学者なの?」
ボクのボディーを再構築するなんてこの猫も考古学者に違いない。
古に存在した機械文明。
それを調査し、現代に活かすことを目的とした考古学者でもない限りボクを直すのは不可能だ。
「いや。俺にあるのは知識だけさ」
「そうですか・・・あの!お代は武闘大会で稼ぎますから!」
考えるより先に口が動いていた。今のボクならイーヴニットに勝てるかもしれない。
「いや、金は気にするな。アンタの修理はボトルシップ作ってるみたいでちょっと楽しかったしな」
「フォルテ!?君は金属を創ってその加工方法を教えただけで作業したの僕なんだけど!!」
そう言ったのは猿人の男の娘。
「アーサー。フォルテ君を責めちゃ駄目」
「・・・解ったよ」
ツインテールの兎人にそうたしなめられると彼はしゅんと気勢を殺がれたようだ。
尻に敷かれているのだろうか。
「メグミ!さっき武闘大会がどうとか言ってなかったか?」
メグミって誰のことだろう。兎人さんかな?
「まだ言ってないのに解るわけないでしょ。脳筋」
そう口をはさんできたのは背中に赤い翼を生やしたキレイな女の人。
「ああ。それもそうか。お前の名前をメグミにしたぞ。フォルテの妹の名前だそうだ」
筋肉さんがこっちを見てそう告げた。念のため後ろを見るとツインテールをドリルにした狼人の女の子がこっちを見てた。
この人かな?
「ロボっ娘。お前のことだ」
ロボっ娘ってボク?そう言うとみんなボクに自己紹介してくれた。ツインテールの兎人さんは御厨初音さん。赤い翼を生やしているのがカーミラ・アインシュテルンさん。猿人の男の娘がアーサー・ラックスウェル君。ドリルツインテさんは東雲明日香さん。筋肉さんはエルキュール・イスカンダルさんで猫ちゃんはフォルテ君だと言う。
「そしてお前はメグミに決定したというわけだ」
ああ、成程。
「で、メグミよ。武闘大会って何だ」
言っていいのかなあ。でも生身でイーヴニットに勝てるとは思えないけど。
メグミに使われた合金はフォルテの剣と同じものです。




