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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第六章 New class
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第67話 酷いステファニーとエロいカーミラ

「私がこの新設クラスで担任を務るフィーア・アリオンだ。よろしく頼む」


銀髪紅眼の魔女はそう言ってにやりと笑みを浮かべた。

神聖波動を抑えなきゃいけないのは分かるけど年齢バラバラでどうやって同じ教室で勉強するのよ。


「では窓際の一番前から自己紹介。名前と年齢と得意科目を言って行くように。それ以外を言うか言わないかは各々の裁量に任せる」


え?得意科目は必須なの?それなんて罰ゲーム?

どんどん自己紹介は進んでいく。皆何かしらの得意科目持ってるんだなあ。


「イヴォンヌ・カスタニエです。今年で16歳になります。得意科目は家庭科です」


家庭科!その手があったか。裁縫・炊事・洗濯・掃除全部得意よ。

独立しても一人でやれるようにとお母様に仕込まれてますから。

お父様には内緒だけど嫁に行ったとしても何もできない箱入り娘と陰口叩かれないように済むでしょとかも言われたなあ。


「ヴィンセント・クラプトンだ。齢は12。得意科目はない。よろしく」


12歳にしては背も高いし筋肉もすごいんですけどあの神獣人の特徴なのかなあ。

上半身はわしだよね?鷹かな?でも獣人はほ乳類しかいないはずだから下半身は獣だよね。

でもそれを言ったら義姉さんの立場がないか。なんて言う神獣人なんだろう?


いや、そうじゃなくて「得意科目がない」なんて断言するとかある意味清々しすぎるでしょ。


時雨沢優華しぐれざわゆうか。14歳。得意科目は理数系」


目の前のウェアパンダがそういって座った。何かアンニョイな感じの人だな。

あ、私の番だ。


「ヴィクトリア・フォン・ヤマモト。15歳。得意科目は家庭科よ。よろしく~」


他の人もどんどん自己紹介をしていく。


「御厨礼志。明日で11歳になる。得意科目は全部だ。よろしくな」


……全部……!?同じ年なら勉強教わりたかったよ。


【ステファニー視点】


ヴィクトリアが久保君と一緒に新設クラスに入ったらしい。彼はともかくバカのヴィクトリアが入るとか何なのよあの棒は。

いらいらしながら廊下を歩いていると新設クラスの授業が終わったようでいろんな獣人たちが教室から出てくる中、一羽の兎が出てきた。

私はそいつの両耳をわしづかんで持ち上げると目の高さまで持ち上げた。うわっ、こいつ体は完全に兎のくせに顔は獣人みたいで少しキモい。


「ねえ。何なのよ新設クラスって。何で私が入れないところにヴィクトリアが入れるの?」


「痛い、痛い、痛いですう!」


「答えなさいよ!」


「ちぎれるう!!」


すると何者かに首をつかまれそのまま持ち上げられた。


「体の一部を握られて持ち上げられる気分はどうだ」


首を握られたら苦しいわよ。

見るとそいつは鷲の様だった。鷲の獣人なんているわけないからこいつは恐らくウェアグリフォンだろう。

そんなことより首にかかる力が徐々に強くなっていく。思わず私が兎を手放したとき、「何をやってるの!?」と声がした。

見ると蘭華とリンダだ。助かった。こいつを何とか……。


「こいつがこの兎のはちゅの耳をつかんで持ち上げたから身をもってその気分を体験させている」


「「それはかばえないね」」


あんたら、見捨てないって言ったじゃない。

するといつかの猿人の男が現れてまた私の股間を蹴りあげた。


「こいつの調教はこれでいい」


「了解した」


了解するなあ。私の意識はそこまでしかもたなかった。文句くらい言わせてよ。


【ステファニー視点 了】


廊下の方が少しがやがやしてるので廊下に出てみるとステファニーが倒れていた。


「何やってるの?あなた」


「ステフが兎ちゃんの耳をつかんで持ち上げたからヴィンセント君に首を持ち上げられてモイセスさんに股間を蹴り飛ばされたのよ」


「はちゅちゃんだっけ?その子はトイレに行ったよ」


ああ、なるほど。通常営業ね。


「兎人の久保に思いを寄せてるのに兎の耳をわしづかみにするとか何考えてるのよ?」


「うっさい!何であんたが新設クラスに入れて私は入れないのよ!」


「そりゃあ……適性があったからよ」


同じ学院生とは言え外部の人にどのくらい話していいのか分からない。

何しろ新設クラスの目的は神聖波動を持つものを集めて魔王に対抗するためだけどそんなこと言ったら魔王が復活すると言うことを公表しなければならない。なんて言えばいいのか。


「頭脳じゃないわよね?何の適性?」


「しん……心がきれいなメンバー……よ?」


「担任があの時の魔女でクラスの中にセクハラの女王・カーミラがいるのに?」


こいつ。ステファニーのくせになんて鋭い指摘をするのよ。反論できないじゃない。


「魔法を使えないと言う資質よ」


そう言って現れたのは時雨沢さんだ。


「それが資質?」


「そう。魔法って言うのは魔の属性にあたるの。だから魔王復活を引き金にして聖の属性に切り替わった一部の獣人は新設クラスで聖の属性を持つ力をコントロールするために集められた。年齢が違うのはそのためよ」


ああ、そう言えばよかったのか。私は掌をポンとたたきたかったがステファニーの手前自重した。


「……そうならそうといいなさいよ」


「ひう!?」


はちゅがトイレから戻って来たらしい。ステファニーを見て耳を押さえている。


「と言うわけで彼女に謝って」


するとステファニーはふんと鼻を鳴らして「悪かったわよ」と言って去ろうとした。


「誠意が足りん!!」


兄さんがステファニーにハリセンを食らわせ、いつの間にか彼女の後ろにいた義姉さんが「秘技……」とぽつりと呟いた。

待って。いくらなんでもアイアンメイデンは……。


「ブラジャー、テイクオフ!!」


ステファニーの体を触ってブラを外しただけか。びっくりさせないでよ。

義姉さんは翼でふわりと空を飛んでステファニーから離れると高らかに宣言した。


「ステファニー、はちゅに本気で謝りな。さもなきゃあたしはこのブラをなめる!ぺろぺろと!!」


義姉さん、R-15でもやばいことしないで!

だけどステファニーはスカートの折り目を正すとはちゅに向かって深々と頭を下げた。


「先ほどは酷いことをしてすみませんでした。もうしないので赦して下さい」


「うん。分かってくれたらいいんだよ。もう酷いことしないでね」


これで一件落着かな。


「カーミラ。はちゅも赦したことだしそのブラはステファニーに返せ」


「はいはい」


ステファニーがあまりにもあっさりと受け入れたからかちょっとしょんぼりしてるように見えるのは気のせいだよね?義姉さん。

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