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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第五章 New generation?
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第64話 Lapis philosophorum 覚醒

夢を見ている。

私を含めた10人の獣人や人間が円卓を囲んで座っていた。中には礼志君の姿が見える。

その礼志君が口火を切った。


「俺は王冠ケテル。数字は1、色は白、宝石はダイヤモンド、惑星は海王星を象徴する。神名はエヘイエー。守護天使はメタトロンである」


次は久保。


「僕は知恵コクマー。数字は2、色は灰色、宝石はトルコ石、惑星は天王星を象徴する。神名はヨッド。守護天使はラツィエルである」


今度はイヴォンヌ。


「私は理解ビナー。数字は3、色は黒、宝石は真珠、金属は鉛、惑星は土星を象徴する。神名はエロヒム。守護天使はザフキエルである」


後は顔も名前も知らない人たちが口々に名乗りを挙げていく。


「私は慈悲ケセド。数字は4、色は青、宝石はサファイア、金属は錫、惑星は木星を象徴する。神名はエル。守護天使はザドキエルである」


「僕は峻厳ゲブラー。数字は5、色は赤、宝石はルビー、金属は鉄、惑星は火星を象徴する。神名はエロヒム・ギボール。守護天使はカマエルである」


「私はティファレト。数字は6、色は黄、金属は金、惑星は太陽(太陽も惑星と見なす)を象徴する。神名はエロハ。守護天使はミカエルである」


「私は勝利ネツァク。数字は7、色は緑、宝石はエメラルド、金属は銅、惑星は金星を象徴する。神名はアドナイ・ツァオバト。守護天使はハニエルである」


「僕は栄光ホド。数字は8、色は橙色、金属は水銀、惑星は水星を象徴する。神名はエロヒム・ツァオバト。守護天使はラファエルである」


「俺は基礎イェソド。数字は9、色は紫、金属は銀、惑星は月(月も惑星と見なす)を象徴する。神名はシャダイ・エル・カイ。守護天使はガブリエルである」


そして最後が私の番。


「私は王国マルクト。数字は10、色はレモン色・オリーブ色・小豆色・黒の四色、宝石は水晶、惑星は地球を象徴する。神名はアドナイ・メレク。守護天使はサンダルフォンである」


儀式は終わった。私達は同時に聖杯を天に掲げ、私達は同時に乾杯の音頭を取った。


『我らはセフィラ。神の子の御名に於いて告げる!Lapis philosophorum!!』


視界が光に包まれ、それが晴れるとそこは病室のベッドの上だった。

女性の看護師がまた患者が意識を取り戻したと報告している。

ここはどこの病院で今は一体いつなんだろう。

彼女に水差しで水をもらいながらゆっくりと飲み下す。


「ここは……」


「キオルト皇立病院よ。あなたは一週間眠り続けていたの」


一週間。どこまでが夢でどこまでがうつつなんだろう。

看護師に頼んでラジオを聴くとそれは第3皇太子の裁判中継だった。


「第3皇太子と言う尊き身分でありながら死亡したブルギット・ザルートと供託し、成人になって間もない女性をかどわかしたばかりか魔王の肉の一部として利用して国家に危急存亡のときを迎えさせようとしたことを認めますか」


「はい。異議はありません」


魔王が復活したのは事実だったらしい。でも魔王の中に残ったのってステファニーの意志のはず。

まったく。悪党が最後の最後で良心を出すなんてずるくない?


【ステファニー視点】


私は育ての親に絶縁された。家名に傷をつけたなんて言ってるけど本音は必要がなくなった私をいつ切れるか手ぐすねを引いていただけだと言うことは分かっている。そんな私はほんの少しの手荷物を手に路頭に迷うだけかと思っていたら捨てる神あれば拾う神あり。鳳凰亭の主人がメグミと言う機械獣人ガイノイドを養女縁組しようとしたら当の彼女が私も一緒に養女にすることを条件にそれを受け入れたのだ。


「何よ。同情のつもり?」


「つもりではありません。100%同情です。あなたのことは話でしか聞いたことありませんから」


「ばかにしてっ!」


でもメグミが言うにはこれからだと言う。これから二人で頑張って仲良くなればいいんですと微笑まれた。

全く調子が狂うやつね。でもお陰で学院に通い続けられるようになったからいいのかな。


「「おはよう。ステファニー」」


学院に登校するといつもの二人が私を待っていた。魔王の肉に取り込まれた私相手に今まで通り仲良くしようなんて言うつもりなの?


「私はあなたを絶対見捨てないわ」


王・蘭華わん・らんふぁは皇国に来たばかりの頃はまだニフォン語あまり得意ではなかったので孤立していることが多かった。

そんな彼女に優しくしてやれば彼女は私を見てくれるだろうか。

そんな下心を持って接した相手だったが彼女にとって私は絶対見捨てたくない相手なんだとか。


「あなたを放っておいたら何するか解らないもの」


リンダ・トゥルーメンはそんな私たち二人のそばにいつの間にかいた。

私と一緒にいると退屈しないとか。


「途中からさっさと逃げたあんたらが何言ってるのよ」


「それは悪かったわ。でも一番悪いのはあんたよね」


それはまあ。やりすぎたとは思ってるわ。


「ごめんね。なんだか怖くなっちゃって。でももう逃げない。だからずっと友達でいよ?ね?」


「ヴィクトリアには正々堂々勝負しよう。デマとか器物破損とかはなしでさ」


「分かってるわ」


何しろ相手は神の子だものね。

さっさと退院しなさいよヴィクトリア。今度は正々堂々と叩きつぶしてあげるから。


【ステファニー視点 了】


「神の子?私が?」


何でも文献を調べたフィーアによると私達は魔王が復活した時のためのシステムとして神々に前もって用意されていた駒なんだそうだ。

うん。さっぱり解らない。なんでも両腕を水平にしながら光を放って飛び、9人の子供達とセフィロトの樹を描いてそう言ったらしいけど全く記憶にないんだよね。


しかもその中に久保とイヴォンヌ、それに礼志君もいたというのならあれは正夢なのかもしれない。

……あれ?私どんな夢見てたんだっけ。


退院後、抜き打ちの小テストが行われステファニーは私より高い点数をはじき出しそれを威張られたことで一つだけ分かったことがある。

こいつは敵だと言うことだ。

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