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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第五章 New generation?
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第62話 決戦開始

【初音視点】


アイリーンが大人しくなったと思ったら次はブルギットか。

私はため息をついた。礼志はすずなネットワークですでにキオルトに着いているそうだ。

ならば私たちは魔王の肉を少しでも削るのみ。

Dr北条が造った1人用のジェット機イーヴニット2に乗り、私は呪文を唱えて魔力を高める。


「天上に王冠、天下に王国を配し、知恵と理解を手に、慈悲と峻厳を両立し、美しき勝利と栄光を我が手に、基礎たる知識を暁に変えんことを……」


「させん。きさまら、あの鉄の鳥を叩き落とせ」


魔王は魔力が高まったことでこちらに気付いたようでこちらに飛行型のエビルジュールを襲わせてきた。


「爆裂放射撃!!」


陽翔がさらに上から爆裂波動のシャワーを放ちそれらを撃ち落とす。


「まだカトンボがいたか」


「……願わくば悪しきものを打ち払う大いなる槌として。ダイアモンドメルト!!」


魔王の頭部に直撃し、首から上がなくなるもまた生えた。


「まるで不定形生物ね」


ならば今度は上半身を吹き飛ばすのみ。


「マダム。不意打ち以外で朕に勝てると思っているのですか?」


「まさか。思ってないわ」


「何ですって……しまった!?」


もう遅い。私たちはただのおとり。本命は……。


「クラッシュハンマー!ウェイクアップ!!」


イーヴニット2で下から飛んできたエルキュールが魔王の足にそれを叩きつけた。


「灰燼に帰すがいい!!」


だが魔王は自らの下半身を切り捨て雄たけびを上げると飛行型のエビルジュールがこちらに全方位から向かってきた。


「ぬ!?まずい」


「Dr北条。あいつの身長はどれぐらいになった?」


「目測だが10m弱だな。これ以上は限界だ」


試作品と言うだけありエネルギー切れを起こしたのだ。

しかもこれは機密保持のためにエネルギー切れを起こした30秒後に自爆するらしい。


私とDr北条はそれから飛び降り、彼の合図に合わせてリュックのひもを引くと背負っていたそれから布が飛び出し一瞬の浮遊の後、ゆっくりと降下する。落下傘と言うらしい。


上空で2機のイーヴニット2が自爆し、かなりのエビルジュールが吹っ飛んだがあれらが死ぬということは宝石に変わるってことで……それが落下傘に降り注ぐんじゃ。


でも陽翔やエルのサポートもあって何とか地面に降り立った。地上にもエビルジュールはいるはずなのにその姿はなく、あるのは大砲を一本前面に付けた要塞のような車両があるだけだ。


「久しぶりね、初音。それにエル」


そう言って顔を出したのは明日香。彼女の何でもありは未だに健在らしい。


【初音視点 了】


私は騎士団と共にセキガファラにいる。魔王に通過された地方都市からの情報を集計した結果、魔王はここを通るだろうという予測が立てられたためだ。

呼ばれたのはお父様だが私はその付き添い。もっともお父様から言わせれば私がメインだそうだけど。


「第3皇太子は第2皇太子、ステファニーはトリア、ブルギットはカーミラに語りかけてもらう」


関係者が語りかけることで人形に魂を組み込みやすくするためらしい。

本来なら賢者の石を作ってそれを核にして組み込むという形をとるのだがそれが完成するのを待ってたら魔王がキオルトに到着してしまうとのこと。

フィーアの時を制御する能力で早回しで作ってみたものの産業廃棄物になってしまった。

余計な魔力が組み込まれた結果だとか。


そこで代用品として用意したのが小袋にダイアモンド・トルコ石・真珠・サファイア・ルビー・金・エメラルド・水銀・銀・水晶を入れた人形というわけ。

これを一つにまとめることで略式的なセフィロトの樹ができるんだとか。

ちょっと分からないけど私はまだ知らなくていいんだそうだ。


それはいいんだけどあいつが私の説得に応じるかなあ。

義姉さんに私にしかできないステファニーへの説得の方法を教えてもらったけどうまくいくことを願うしかない。


「本当はステファニーの両親に協力を願ったのだが……」


断られたってことか。実子が生まれた以上養女のステファニーは必要ないと言うところだろう。

無責任な。むしろ騎士団が動く事態になったことで勘当させられる可能性が高い。

来たぞ!!と騎士の一声があがり、騎士団長が空飛ぶ何かに向け弓を矢につがえるよう命じた。


「爆裂波動を矢じりに込めよ!斉射!!」


爆裂波動はキオルト襲撃事件以来騎士団の間で広まっている技術であり、それを教えているのがうちのおじいちゃんだと言うから驚きだ。

人にものを教えられる人には全く見えないんだけどなあ。


義姉さんには「トリアはあの人の厳しさを知らないからねえ」と遠い目をされたし、ヤマモト家に入った嫁としていろいろあるんだろう。お母様も遠い目をしてたし。


それはさておき爆裂波動がこめられた矢は一斉に放たれ、それに中った腐肉が弾け飛ぶ。

でも魔王の瘴気に充てられた矢は腐り果てもう使えそうにない。


「ヴィク……トリアあああ」


ステファニーの顔はそう叫び一本の腕が私の頭上に振り下ろされた。

今だ!私は爆裂波動を足に込めてそれを蹴るようにして上に登り、ステファニーの顔の正面まで来ると彼女に向かって宣言する。


「ステファニー。あなたは私には勝てないわ。絶対に!」

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