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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第五章 New generation?
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第50話 ヴィクトリアの弟はマテオ

【オルテガ視点】


「オルテガ!大変だよ!」


カーミラ。お前、仮にも俺の義理の娘になったんだから少しは口のきき方に……。


「トリアが腹を刺されて病院に運ばれたんだ!」


正真正銘の一大事じゃねえか!!

メイドの一人が病院から通信が入った旨を知らせてきた。

医者の話によるとナイフが刺さったままなので絶望するレベルではないが手術をすることになったとのこと。

これは行くべきだろうか。ひょっとするとブルギットの罠である可能性も……。


「それで刺した少年は東雲さんが取り押さえたのですが彼によると自分はヤマモト卿の隠し子だと言っているようなんです」


断言するが全く心当たりはない。

今の日常で充分満足しているのに何で一時の快楽のためにご破算にしなきゃならんのか。

刺した少年も病院にいる以上俺も向こうに行って話を聞くべきだろう。


「父様。今の……」


「未曽有の誤解を解いてくる」


「誤解……だといいわね」


バムア。怖い笑顔で冷凍胡桃を出さないでくれるか。


【オルテガ視点 了/モイセス視点】


父さんと母さんは魔力自動車に乗り病院へと向かったが、マテオは家に残ることにしたようだ。

一緒に行かないのか聞くと俺まで病院に行ったら悪党が家に侵入するかもしれないときた。

男の子がそう言うのに憧れるのはなんとなく解るけど考えすぎじゃないのか?

でも考えすぎじゃないことはすぐ解った。


「モイセス様!マテオ様!侵入者です!」


窓の外を見ると動く木の人形が家を包囲している。


「マテオ!あんたは部屋に戻ってな!私とモイセスは防衛に移る」


カーミラはモーニングスターを取り出し、僕も超合金の爪を装備して家の外に出ると案の定そこにいたのはブルギット。


「何の用だブルギット。不法侵入なら訴えるぞ」


「誰だお前は。それより久しぶりだな鬼子」


「こっちは討論裁判で決着はついたと思ってたんだけどねえ。亀の子」


「あんな茶番はどうでもいい。甲羅はすでに直した。たわし呼ばわりするな」


するとブルギットは瓶を取り出し、地面に叩きつけた。

現れたのは目玉を持つ泥の噴水状をした何か。


「行け、スライム。カーミラを飲み込め」


カーミラの元にスライムと呼ばれた何かが襲いかかる。カーミラも炎を出して応戦しているが効く様子もない。相性が悪いんだろう。

僕も参戦しようと思ったが進路上に巨大なハンマーが振り下ろされ、慌ててバックステップでかわす。


「惜しかったんだな」


ウェアゴリラだ。

一瞬エルキュールさんかと思ったがブルギットに手を貸すわけはないし、第一あの人は今イウアーキで漁師をしているはずだ。


「俺はリライト団のアーロンなんだな」


ああ、そうかい。


「僕はモイセス・フォン・ヤマモト。いざ尋常に勝負」


【モイセス視点 了/ブルギット視点】


これで邪魔者はいない。俺は玄関に入ろうとしたその時のことだ。


「爆裂彗星脚!!」


俺のみぞおちに飛び蹴りをしてきたバカがいる。誰だ。

虎の子の身代わりのネックレスが砕け散ってしまったじゃないか。

見ると俺が立っていたところには10歳ぐらいのウェアスクィラル、リス人がマントをはためかせて立っていた。


「俺!見参!!」


「何やってるんだいマテオ!これは遊びじゃないんだよ!」


「ふ……そう言えばヤマモト家にはヴィクトリアの他に弟がいるんだったな。自分から出て来てくれたお陰で殺す手間が省けたよ」


そう言って俺は爆弾を取り出した。子供ならこれで簡単に逃げるはずだ。

だが目の前の子供は臆することなく胡桃を出してきた。


追尾胡桃ホーミングナッツ!!」


たくさんの胡桃が俺を包囲し爆弾を凍らせた。しかも俺の体もあちこち凍っている。


「やるじゃないか。チビ」


「俺チビじゃねえし!大人になったら2m超える気満々だし!」


涙目で言うなよ。ひょっとして気にしてるのか?まだ成長期だろうに。

だが爆弾を恐れない勇気、気に入った。


「面白い。本気で戦ってやろう」


俺は瞬間筋肉増幅剤を飲んで筋肉を倍加させると少年の元へと突撃した。


【ブルギット視点 了/ジークリット視点】


「依頼だ。俺が帰るまで家の護衛をやってくれ。マテオが無茶をしそうだからな」


オルテガの依頼を受けヤマモト邸に着くと戦闘がすでに行われていた。

これは私の落ち度じゃないわよね。でも参戦した方がよさそう。

何しろぼろぼろのリス人の男の子がブルギットに頭を捕まえられて持ち上げられているんだもの。


「ルビーブラスト!!」


でも私の魔法は得体の知れない泥の塊に遮られた。あれってひょっとして生きてるの?

それは中から燃えだし、炎の間欠泉と化すと中からカーミラが出てきた。


「あー。飲み込まれたときは死んだかと思った」


「たぶん私の炎の呪文があなたに届いて復活したんだと思うわ」


あの化け物、主人を守るために炎の呪文からブルギットを守ったら先に飲み込んでいたカーミラが復活してそのあおりで死んだみたいね。ほんと世の中何が幸いするか解らないわ。


「なんだな!!」


モイセスもちょうど帰ってきたアイリーンを盾にしてハンマーを防ぎ、それをぽいっと捨てるとウェアゴリラの頭をつかんだ。


「零距離爆裂波動掌!!」


男は無言で倒れ、モイセスはアイリーンの左胸に耳をあてる。

ほっとしている様子からして死んではいないようだ。

脳震とう起こしてるかもしれないから動かさないようにね。


それよりも私とカーミラそれにモイセスの3人で三角形を描くようにブルギットを包囲する。

要はフクロ陣形というやつね。

でもそのときバラバラバラと大きな音がしてみるとヘリコプターと呼ばれる巨大な空飛ぶ装置が上空にいた。


「時間が来たようだ。ではここでお別れと行こうか」


ブルギットは軽くジャンプをすると空に向かっていや、ヘリコプターに向かって飛んでいく。


「おいお前!!一つだけ答えろ!!姉様を刺したのは父様の隠し子か!?」


「あれはお前の父親の体毛を基に作ったクローン・ホムンクルスだ。一応子供と言えるだろうな」


マテオ君の問いにブルギットはそう答えるとヘリコプターに乗り込み。、それは去っていった。


「あれじゃあ追えないねえ。気流がめちゃくちゃだよ」


「モイセス様!マテオ様!ヴィクトリア様の手術が成功し……ヴィクトリア様の意識が戻られたそうです!!」


メイドの報告に3人はわあっと歓声を上げた。何のこと?……今度も私に説明はないの?


【ジークリット視点 了】

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