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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第五章 New generation?
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第48話 そう言えばジークリットに事件の真相話すの忘れてた byオルテガ

今日はオリエンテーリングの日。5人一組でチームになって友好を深めるそうだ。

それはくじ引きで決められるため誰が選ばれるか先生にもわからないはずなのに何でカーミラ義姉さんとモイセス兄さんが同じグループなんだろう。

新キャラを3人も考えるのがめんどいという言葉が聞こえた気がするけどきっと気のせいだよね。そうだと言って。

そんなことより他のメンバーは……。


「ε-(ーдー)ハァ」


犬人の女の子、イヴォンヌ・カスタニエさんと兎人の久保翔(そのた1めい)

って何よ!?エトセトラのくせにそのため息は。


「ねえねえ。どうしてヤマモトさんって久保君を目の敵にしてるの?」


「第一印象が最悪だったらしいよ。そういうのは後から上がるだけだからこうご期待ってところかねえ」


「ほうほう」


義姉さん。それだけはありえないから。断じて。

それとカスタニエさん、私そんなに目の敵にしてるように見える?


「何だい気づいてなかったのかい?」


「結構あからさまだよ」


「父さんは腹芸がうまいから母さん似かな?そういうとこは」


「……たわけ」


久保君、いくらなんでもたわけはひどくない?駄目だ、こいつとだけは仲良くなれる気がしない。

何はともあれオリエンテーリング開始。私たちは森の中にある点数表を探してそれをチェックすることになっている。

エビルジュールは騎士団があらかじめ狩っておいたし、もし出たとしても雑魚ぐらいだそうだから大丈夫だとのこと。

一応爆弾も渡されてるしね。


「あったあった」


点数が書かれた木の立札を見つけ、その点数を書いているとドゴォン!という音がして兎が一羽やって来た。

今のこのうさちゃん?と思ったら2mは優に超えるグリズリーが。……ちょっと騎士団!


「グリズリー。山から下りてきたのかねえ」


野生動物が瘴気を浴びてモンスター化することはあるらしいけど大体は人間が魔法や錬金術でそうする場合がほとんどらしい。一体誰が。


「いや、先生たちが用意したのかもしれない。折角の爆弾を使わない手はないとか言って」


アーサー先生の性格上それはないけど学院の他の先生って何考えてるか解らないし否定はできないかなあ。

するとさっきの兎が空高く飛んでグリズリーに蹴りを放つも捕まってぽいと投げられた。


「うにゃ~!?」


しゃべった!?ひょっとして兎人……じゃないよね。身長は普通の兎だし。

でも顔は兎人っぽいからひょっとして兄さんやフォルテⅡと同じホムンクルスなのかな。

グリズリーは兎|(のホムンクルス?)に攻撃を仕掛けるとその右腕がボガンと爆発した。


「こういう時のための爆弾だろ」


兄さんが投げたらしい。そして義姉さんもグリズリーの周囲を猛スピードで旋回しながら蹴りや掌底を食らわせる。


「秘技アイアンメイデン」


「獣人にはきついけどグリズリーには大したダメージじゃなそうだ」


「……兄さん、しゃがんで!……爆裂彗星脚!!」」


兄さんがしゃがんだすきに私は爆裂波動をこめたジャンピングキック放ち、グリズリーは今度こそ動かなくなった。


「た、助かりました~」


やっぱりしゃべった。


「気にしないでおくれよ、はちゅ。友人のホムンクルスを見殺しにするほど私は達観しちゃいないさ」


「カーミラさん。ありがとうです」


この兎はとある女性の生体情報をもとに作られたホムンクルスで「はちゅ」という名前だそうだ。

はちゅはマスターであるエルメンガルトさんという人の依頼で素材採取に来ていたところをグリズリーに襲われたんだとか。それは災難だったね。

私達ははちゅの素材採取を手伝いながら点数の書かれた立札を探すことにした。


【ジークリット視点】


驚いたわね。まさかカーミラが学生をやっていたなんて。しかももっくんまで。


「グリズリーを倒すとは……最近学生になったばかりの者しかいないはずなのにあの強さはなんだ」


「学院は成人にさえなっていれば何歳でも入れますから。あの面子のうち二人は13年前キオルト防衛に動いていましたし、とどめをさした少女はオルテガ卿の息女です。このくらいはやるでしょう」


今回の依頼人は13年前に親衛隊長を務めていた男だ。その年に女の策略に乗せられてデザイアストーンを埋め込まれ、キオルトにエビルジュールを招きよせてしまったことにより親衛隊長の任を解かれて挙句の果てにキオルトを追放された身だということ。

そこでグリズリーに学生を襲わせ何食わぬ顔でそれを自分が倒すことで学生を守った功績でキオルトに戻してもらうように働きかけをしたいと私が勤めている何でも屋『ミセスジョンケン』に依頼してきたのだ。

なのに学生達があっさり倒してしまった。笑い話にもならないわね。


「まだだ。別のグループに……」


「騎士団がこの辺のエビルジュールを討伐しているのにグリズリーが何頭も出ては勘ぐられます。別の手段を考えた方が得策かと」


「では依頼を変えよう。アイリーンの居場所を探してくれ。キオルト襲撃事件の主犯だ」


あの事件で一人だけ出た消息不明者にして主犯のアイリーン・ラックスウェルか。

それならオルテガに聞けば解るかも知れないわ。


「了解しました。但し、この件での依頼料もいただきます。私は依頼通りグリズリーを作りましたし倒せなかったのはあなたの運がなかったまで。こちらに落ち度はありません」


「……仕方ないな」


危険手当を含めて10万ラスク。毎度あり。


「ではアイリーン・ラックスウェルの調査に移ります。では失礼」


私は隠れ布という肉眼では見つけられなくなる錬金術アイテムを被るとその場を立ち去った。


【ジークリット視点 了】

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