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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第三章 Academy:2nd grade
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第30話 うちのバカ兄が役立つこともあるんだね byエルメンガルト

[Side_Arthur]


夜、僕は初音と二人で満天の星の下にいた。

オルテガやエルは寝てるとは思うけどもしかしたら起きてるのかも知れない。何しろメグミの姿だって見えないんだから。

でもそんなことはどうでもいい。今このときが告白のチャンスだ。

僕は初音と出会ったときのことなどの話をしつつ告白するタイミングを図っていると一筋の流れ星が流れた。


「あ。流れ星」


ずっと前から初音のことが好きだった。その一言が何故か言えない。


「アーサー」


初音に告白しようとすると明日香の顔が脳裏に浮かぶ。

ニッカウの武闘大会で僕の腕を組む明日香。

キオルトへの道中で僕の使ったコップで恥ずかしそうにわき水を飲む明日香。

お弁当を作ってくれた明日香。

美味しかったよ。と言うと嬉しそうに微笑む明日香。


結局、そろそろ戻ろうか。と初音に切り出されるまで他愛ない話しか出来なかった。


[Side _Arthur END]


初音に告白すると意気込んでテントを出ていったアーサーが戻ってきた。浮かない表情だがふられたんだろうか。


「ふられたか」


エル。ストレート過ぎだ。


「その方がましだよ」


「…よかったら話してみろ」


「僕は初音が好きなのか明日香が好きなのか解らなくなったんだ。僕は最低なのかな」


何でも初音に告白しようとすると明日香の顔が脳裏に浮かんだそうだ。

どうやら明日香はアーサーの胃袋をつかむことが出来ていたらしい。弁当は無駄じゃなかったってわけだ。


「俺がアーサーなら明日香を口説くな」


俺もだ。


「でも僕はずっと初音が好きだったのに明日香を口説くだなんて…そんな僕を明日香が受け入れてくれるのかな?」


明日香がお前を拒絶する理由なんかねえよ。


「そうは言うがな。女は受け入れられない男に無料で弁当を作るものなのか?俺は明日香に弁当を作ってもらったことなどないぞ」


「え!?」


アーサーは明日香が皆に弁当を作っていると思っていたようだ。

まったく…学問への頭脳を少しは生活面に分けやがれ。


「あのなあ、アーサー。そんなこと言ったら俺はどうなる?許嫁はジークリットに決まってたのにバムアに変えたんだぞ」


「今度は明日香に告白してみたらどうだ?で、初音の顔が脳裏に浮かんだら大いに悩め。誰の顔も浮かぶばなかったらそのままくっつけ」


エル。お前本当にエルキュールか?冴えすぎだろ。


[Side _Hatsune]


テントに戻るとメグミが正座してこちらを見ていた。


「アーサーさんになんて告白されたんですか?」


何でそうなるんだろう。メグミの考えることってたまに解らなくなることがある。


「私さ、昼間に問答無用でキメラ殺しちゃったじゃない?あれよかったのかなって相談してたのよ」


なんでオルテガとエルが来なかったか解らなかったけどひょっとして気を使われたってことだろうか?

アーサーと私がねえ。

私自身確かにいい年だしそろそろ相手を見つけたほうがいいのは解る。

でも私がアーサーを明日香以上に好きだという自信はないし、アーサーが私を好きかどうか解らない。

だって二人っきりなのにお話しかしなかったしアーサーにとって私はそう言う対象として見られてないかも知れないじゃない。

そう言うとメグミは思いっきりため息をついた。


「酒場に来るお姉さんによると恋愛とは戦いなのだそうです。うかうかしてると負けますよ?初音さん」


数日後、この言葉は現実となった。キオルトに戻ったアーサーが明日香に告白して恋人同士になったのだ。


「アーサー!どういうつもりよ!!」


「お前には関係ないだろ」


ジークリットがアーサーに殴りかかりオルテガに股間を蹴り飛ばされているのを横目で見ながら私は自分の心が解らないでいた。

私は今やりきれない思いでいる。アーサーに恋人が出来たことを祝福していないんだ。女の子として私はアーサーを好きだったんだろうか。今となっては解らない方がいいだろう。私は自分の心に鍵をかけることにした。


[Side_Hatsune END][Side_Carmilla]


私はようやく金字塔を打ち立てた。あのアーデルハイトを打倒したのだ。

これで私は自由。待っててねステキな布達!


「さすがに寄る年波には勝てないねえ」


「お母さん!?」


見るとアーデルハイトを幼くしたような顔の可愛らしい人間のメイドがモップを持って立っていた。

お母さんって…ずい分大きなお子さんがいらっしゃるのですね。


「この女の人があのペンギン…」


ふふふ。動揺している隙にスカートめくりして慌ててる所で脱出と行こうかねえ。

私は身をかがめ美メイドとの距離をつめるとそのスカートをまくり上げた。

そこにあったのはステキな布とそれを押し上げるあるはずのない大きな突起。


「…男の娘…?」


それを見て私の集中力がそがれたか視界があからさまに低くなった。


「うわ。本当にあのペンギンだ」


く…。男の娘はアーサーだけで充分だよ、畜生。


[Side_Carmilla END]

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