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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第三章 Academy:2nd grade
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第27話 それぞれの日常

[Side_Carmilla]


「くけ~!?」


いつも通り学院に忍び込もうと屋敷を出ようとしたところで頭をメイドにわしづかみにされた。


「カーミラ様。オルテガ様かバムア様の許可がない限りあなたを屋敷から出すなとオルテガ様から御定ごじょう(たまわ)っておりますので最早ここをお通しするわけには参りません」


なるほどねえ。ヤマモト家のペットが学院で下着泥棒をしてると知ったらヤマモト家の名折れってことかい?

あいつにもしがらみってもんがあるってことか。


「残虐超人が許婚の下着をペットに盗ませて羞恥プレイをしていると思われたら面倒だとのことです」


「私が下着を盗むのは芸じゃなくて、私の意志だよ!!」


私は生まれてこの方、こんなに屈辱を受けたことはない。

下着を盗むのも女の子の胸に顔をうずめるのも私の生き様なんだ。

誰かに指示されてなんて冗談じゃないよ。


「学院に行く理由が増えたよ。あんたと一戦交えようじゃないか」


私はかつての姿に変身し戦闘体勢をとるとメイドちゃん・・・アーデルハイトだっけ?に向かって行く。

上等じゃないかオルテガ。私は全ての障害を乗り越えて必ずや学院に忍び込んでみせる!

学院に通う美少女達を優しく包み込むステキな布達が私を待っているからね!!


[Side_Carmilla END]


「待ってねえよ!!」


何故か知らないがそうつっこまなきゃいけない気がした。


「どうしたのさオルテガ。急に変な声出して」


「いや、何か知らないが電波が・・・気にしないでくれ」


今が授業中じゃないのが救いだよ畜生。

手を洗い、トイレから出ると一人の美少女が同時に隣の女子トイレから出てきた。


「王子様じゃねえか」


「オルテガ。王子様はやめて」


こいつの名前はエルメンガルト・フュルスティン。

ウチで働いているメイド長、アーデルハイトの娘さんだ。

背も高くすらっとしていて中性的な顔立ちから王子様と言われているが本人は気に入っていないらしい。

俺で言う所の残虐超人だと言われれば納得せざるを得ないが。


「今日はカーミラは来てないみたいだね」


「俺かバムアの許可がない限りカーミラを外に出すなって君の母さんに言いつけておいたから多分大丈夫だろう」


「あはは。それ、もっと早く言ってほしかったなあ」


いや、知らなかったんだから仕方ないだろ。

アーデルハイトがメイド式波動柔術とかいう怪しげな武術の使い手だなんて知ったのは同じクラスになった彼女に話しかけられてからだ。

道理で酔っ払った俺とアーサーとエルを一人で鎮圧できるはずだよ。

彼女に俺と同じ歳の子供がいて、50近い歳だって言うのにもびっくりした。

バムア母といい彼女といい、ここには若返りの水でも湧いているんだろうか?


[Side_Asuka]


「アーサー。お昼ですわね。用意はありまして?」


「今日は学生食堂に行こうかなって」


「お弁当作ってきたんですけど・・・お節介でしたか?」


「僕に!?本当!?有難くいただくよ!!」


嫌な気配がして見るとこちらに向ってくる暴力女が一人。


「アーサー、しゃがんで!」


「え?わあ!?」


アーサーがしゃがんだすぐ上を暴力女の拳が突き抜けた。

このっ。


「サファイヤアロー!」


氷の矢を暴力女の顔面に直撃させると私はアーサーと共に教室の外に出ることにした。


「いいの?あれ」


「あのくらいなら顔がしもやけになるくらいですわ。顔がかゆくなる程度でしょう」


少し暖かくなってきたので屋上のテラスで食事をすることに。

お弁当自体は少し焦がしたりして失敗してしまいましたがアーサーは全部食べてくれました。

ただ、ポテトサラダは無理矢理食べてた感じがありましたが。


「食べられなくはないけど苦手なんだよ。ポテトサラダ」


「そうですか。じゃあ次は入れないようにしますね」


ふふ。また次作るって約束取り付けちゃいました。

あら?視界の端に初音さんが映った気がしますが気のせいでしょうか。

気を使ってくれたのなら有難いのですが。


[Side_Asuka END]


バムアと昼食をとっていると初音がジークリットを引きずりながら近くに座った。


「いい雰囲気過ぎて声をかけられなかったよ。ジークリットを近付かせるわけにもいかなかったし」


つまり俺たちはいい雰囲気じゃないと。

とは言えサンドイッチをぱくつきながらホムンクルスの話をしてる時点で言うまでもないか。


「初音!あの二人を放置したらくっついちゃうじゃない!」


「だからって仲良く食事してる二人に水を差すの?馬に蹴られても知らないから」


そう言うと初音は鞄から弁当箱を取り出すと、フルーツ牛乳を飲みながらサンドイッチを口にした。


「ホムンクルス造るの?」


「うん。一応プロトタイプは出来てるんだよ。猿人の人体模型をベースに造った『もっくん』とか」


食事時に見たくねえなあ、あれは。

猿人の人体模型が「もけ~!」と叫びながら追いかけて来るんだぜ。

ちょっとしたホラーを満喫したよ全く。


[Side_Adelheid]


ふう。なんとか失神してペンギンに戻ってくれたか。

なかなかすばしっこくて爆裂波動脚まで使うことになるとは思わなかったけどこれならまだエリーの方が強い。

カーミラ様を抱えようと体をかがませたその時何かがぽとりと落ちた。

それは私のブラ。どこも壊れた様子はない。となるとホックを外されたと見ていいだろう。

私もまだまだか。でも次やったらシバく。

この調子だと彼女はまた私に挑戦するだろう。素質のある者との戦いほど血湧き肉踊るものがあろうか。

いやない。私はほくそ笑むとカーミラ様をもっくんに手渡した。


「じゃあ。よろしくね」


「もけ~!」


[Side_Adelheid END]

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