表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第二章 Academy:1st grade
27/114

第24話 最悪の許婚

今日は学期末試験の日。筆記試験と実技試験の総合点で学年主席が決まる。

今日の成績は来年度のクラス分けに関わってくるため気が抜けない。

2学年からはクラスに差別化がされており、優等生クラスは豪華な設備だが成績が低くなればなるほど設備が残念なものになっていくとか。

設備の争奪戦はないが4ヶ月に一度クラスを変わるテストがあるそうな。

とはいえ、できれば最初から豪華なクラスを狙いたい。

もっともアーサー達と前もって勉強しているし多分大丈夫だろう。


筆記試験を終え、次は実技。

指定された品物を練成し、一定レベルの品質と効果をだすこと。

その品目とは「傷薬」。

ほとんどの学生がレベル2のホスピタルジュースを出す中俺はヒール軟膏を出してやった。

レベルは3だ。

「品質はC-、効果はB+ですね」

薬なんて利いてナンボだと思う。


試験結果は一ヵ月後に公表されるためとりあえず試験を終えて帰ることに・・・。


「あ。オルテガ、鳳凰亭で答え合わせね」


「おう」


「アーサーのばかあ!?」


ジークリットがアーサーを殴ったのが視界に入った。

初音がそれを見て強化ゴム製のツッコミ専用バールをフルスイングするもそれをかわし、俺のシャイニングウィザードすらもかわしやがった。


「「なんでかわす(のよ/んだ)!?」」


「どうして私に襲い掛かる必要があるのよ!?」


「友達が理由もなく殴られてたら襲うに決まってるだろ!!」


「失礼ね!理由ならあるわよ!」


彼女によると筆記試験の答案を見せてくれなかったそうだ。

一緒のクラスになるためには答案を見せてくれないと無理なんだからそうしなかったことが許せないと。

それカンニングだよな?なんで暴力女のために危険を犯してアーサーが不正しなきゃいけないんだよ。


「くけー!?」


カーミラがやけにでかいブラと共に飛んで来てジークリットのこめかみに直撃した。

今だ。俺は脚を後ろに向って振りかぶるとジークリットの股間めがけて足の甲を叩きつけ、沈黙させることに成功。

全く誰のブラだよこれ。

持ち上げた途端バムアに体当たりされた。


「ごめんね。ありがとね。忘れてね」


ブラを手に取るとそそくさと去っていくバムア。彼女のか。

思わずブラを持ってた手をくんくんと・・・。


「オルテガ。嗅ぐな」


「すいません」


夜。鳳凰亭で呑みながら答え合わせをした帰り道、アーサーに俺の家に行っていいかと訪ねられた。

何でも相談したいことがあるんだとか。


「男同士で話がしたいから今日だけカーミラを引き取ってくれ」


十中八九初音のことだろう。だとしたら明らかにカーミラは邪魔だ。


「でも寮にペットは・・・」


「じゃあ私が引き取るわよ。全く。少しは感謝してよね」


たまたま同席したジークリットは自宅通いだから問題ないとカーミラを連れ去った。

確かにこいつが同席しなかったらややこしいことになったんだろうがアーサー殴るのはやめろよ。


さて、男同士で話があると言うことで話の行きがかり上エルも連れてきてしまったが問題はないだろう。

部屋に入るとお付のメイドが珈琲を淹れてくれた。


「二人とも珈琲でいいか」


「ああ。砂糖とミルクはくれ」


「勿論だ。そんな意地悪はしない」


3人で珈琲を飲み一息つくとアーサーが口を開いた。


「オルテガって初音をどう思ってるのさ」


「・・・大切な仲間だ。お前らと同じくらいにな」


「でも初音はオルテガを一番大事に思ってるよね」


「初音にとって俺はフォルテの延長線上に過ぎんさ。それに俺に遠慮するつもりならお門違いだな」


俺は貴族の次男だ。うちは成金貴族とは違って資金繰りにそんなに余裕があるわけじゃないだろう。長男は家を守るために家に残る必要があるが次男は政略結婚に使われるのが世の常だ。家のことを考えないなら駆け落ちでもすればいいと思うがそんな相手はいなしし第一今でこそ片親だが両親には感謝している。


「だからアーサー。アイリーン戦で勝てないと解ったら、俺は命乞いでも何でもして逃げるからな」


俺の体は俺だけの体じゃない。自分の家を存続させるためにも死ぬわけには行かないんだ。


「解った」


2学年になれば集団ではなく個人で材料の採取にいける。

そのときに初音に自分の思いを伝える積りらしい。そのアシストをお願いしたいんだとか。

初音に告白となればカーミラは明らかに妨害に回るし明日香とジークリットも呉越同舟になりかねない。

メグミは傍観するだろうが万一のこともある。

女性陣に言いくるめられる前に味方に引き入れる必要がありそうだ。

俺達は夜遅くまで作戦会議をすることにした。


[Side_Sigrid]


朝食を済ませるとお父さんが口を開いた。


「ジークリット。お前の結婚相手が決まったぞ」


「え!?」


恐れていたことがついに来た。うちは銀行だからお金は腐るほどあるから私と婚姻関係を結ぶことで金脈を得たい貴族が家格が欲しいお父さんに接近することは充分考えられる。

私はアーサー以外の男を愛する気はないけどそんなわがままが通るほど世間は優しくないだろう。


「280年の伝統を持つ正統貴族ヤマモト家の次男、オルテガ卿だ。同じ学院に通っているから錬金術にも当然理解があるだろう。お前が嫁に行ってもそれを辞めさせられることはないと思う」


どういうこと?貴族の次男坊との婚姻なら向こうが婿入りするはずよ。確かに下に二人いるから私が嫁に行っても問題ないけど・・・なんで相手が残虐超人なのよ。街の女の子達にどM認定されちゃうじゃない。


[Side_Sigrid END]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ