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Lapis philosophorum   作者: 愛す珈琲
第一章 Adventure
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第10話 怯えるバムアに囁くくアーサー

初音とカイゼルひげの試合が終わると出場を辞退する者が続出し、急きょ準決勝と相成った。

残ったのは当の初音とエルとメグミそれからバムアという栗鼠人だ。


「機械を生身で壊す奴とまともに戦いたいって奴なんているわけないか。となるとあの栗鼠人はよっぽどの事情があるか自信家かただのバカかの三択なんだが・・・」


取りあえず準決勝第一試合であるメグミ対バムアの試合を観戦することにしよう。

メグミもそれなりに早いがバムアにいたってはすばしっこいというレベルだ。

全力で翻弄されながら胡桃を被弾している。

本来なら氷漬けになるところだろうが機械を凍らすほどの凍気ではないらしく動きを鈍らせる程度の効果しか発揮していない。

がつん!

バムアはメグミに噛み付き歯を痛めたようだ。

鋼鉄の10倍以上の硬度を誇る超合金が栗鼠人の歯がいくら固いかは知らないが有機物に壊せるものか。

メグミは涙目で上目遣いににらむ彼女に思わず「可愛い」と抱きついた。


「サファイアブラスト!」


バムアはその隙をついてメグミの口の中に大量の水を放出。

まずい。機械に水は天敵だ。

分解して乾燥させて組み立てないとな。

ガンバレよ、アーサー。


戦いはバムアの勝利。動かなくなったメグミは力自慢のエルに運ばせるとして次は初音とエルの戦いだ。


「フォルテはどちらが勝つと思われます?」


「普通に考えれば初音が勝つだろうな。だが何をやらかすか解らないのがエルだ」


衝撃を吸収する脂肪のない筋肉は打たれ弱いことこの上ないしパワーなんてものは当たってナンボ。

パワーに特化したエルよりバランス型の初音の方が有利なのは当然だろう。

実際懐に入った初音の頭突きがエルのみぞおちに決まり、初音が勝利した。


決勝戦が始まる頃、明日香がトイレに行った帰りに明日香の頭に載ったまま彼女と話をしていると見知らぬ男が話しかけてきた。


「ちょうど良かった!あなたに頼みがあるんです!」


何だ?怪しい雰囲気ではないが・・・。


[Side_Bamhua]


やれやれ。今日は災難だった。

レズビアンの鳳凰人に言い寄られるわ、機械の女の子に噛み付いて歯が痛くなるわ。

・・・弁償しろとか言われたらどうしよう。

まあいいや。この兎人さえ倒せばあの子を救えるんだ。

相手はあのロボットを壊した・・・うん。それは考えない方向で。


「く・・・」


戦闘開始を告げるゴングが鳴るや否や何とか逃げ回りながら彼女の足元に胡桃を投げつけていく。

だが敵も去るもの。

床とくっつく前に足を動かしこちらに攻撃を加えていく。


「ダイアモンドショット」


光属性の魔法を連射しないで。


「サファイアガード!」


魔法そのものを屈折させて何とか回避。

胡桃を数個放ちそれに向けて魔法を放つ。


「サファイアブラスト」


水流に乗り胡桃が猛スピードで彼女に迫るもモーニングスターを投げてそれに当てて囮としたようだ。

あの鳳凰人さんから借りてたの見てたのに思いっきり忘れてた。

こんなんだからウェアスクィラルは頭が弱いとか思われるんだよ。

でも私はくじけないよ。

100万ラスク。それさえあればあの子の難病を治せるんだ。

兎人が殴りかかってきた。

すんでの所でよけたけどいつの間にか角に追いやられていた。


「ダイアモンドレイン」


光属性の対軍魔法だ。

かわせるものじゃないし耐えられる自信はない。

私はその瞬間に意識を失った。

負けちゃった。ごめんねマリアンヌ。


でも気がつくと立っていたのは私で大の字に横たわっていたのは兎人さんだった。

またなの?


「勝者!バムア・クーファン!!」


兎人さんが生きてることにホッとしつつ控え室に戻ろうとしていた所で猿人さんとすれ違った。


「何故君が神言しんごんを使えるのさ」


この猿人ひとは何かを知っているんだろうか。


「私。あの兎人さんに角に追い込まれた後の記憶がないんです。私はどうやって勝ったんですか?」


「神言。魔王をも倒す魔法を越えた魔法。君はそれを使ったんだよ」


そんなのは知らない。どうして私はそれを使えたの?そしてあなたは何故それがそうだと解るの?


「アーサー!明日香とフォルテ見当たらないんだけど知らないかい?」


「え?いないの?おかしいなあ」


さっきの鳳凰人さんは猿人さんの知り合いらしい。

猿人さんは私にしか聞こえないような小声で「僕が神言を知ってることは内緒にね」と言って彼女の元へ走って行った。


「ちょっとアーサー。バムアちゃんと何を話してたのさ」


「うちのカーミラが怖がらせるようなことを言ってゴメンって謝ってたんだよ」


「・・・あっそ。バムアちゃん、さっきはゴメンね。可愛かったからつい口説いちゃったのよ」


私は苦笑することしか出来なかった。


[Side_Mamhua END]

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