ep.3 鉄板、最強の攻撃をくらった敵が無傷だったとき 〜立ち向かう心は、勇気か、希望か、絶望か〜
だれが、ソレを滅ぼせるだろうか。
私は、まるでテレビを視聴しているかのように、それを見ていた。
彼らは勇気を振り絞ったのだ。
「立ち向かおう」
みんなに声をかけた。
「自分らしく、生きるために」
その存在は、圧倒的な力を持つ。見た目以上に。いや、時には、見えないこともある。
その存在は、ターゲットを押しつぶす。逃げたくても逃げられない人もいる。
その存在は、力を行使せずとも、人の精神を壊滅に追い込むことがある。
それはミサイルのように放たれた。
それを知覚していた人は、聞こえないはずの轟音を感じた。
そう、まさに激震と言ってもよかった。
ついに。
ついに反撃の一手が放たれたのである。
しかも、こんなにも強力な攻撃が。
その存在を恐れる人、嫌悪する人々は、内心で成果を期待した。
様子見で感情を隠しながらも、本当は期待していた。
きっとそうだろう。きっと、私だけではない。
「馬鹿な…、なんで効かない?」
立ち向かった。
一人じゃない、協力もした。
最善を尽くした。
それでもその存在は無傷だった。少なくとも、そう見えた。
勇気を振り絞った一撃は、無意味だったのか。
だれが、ソレを滅ぼせるのか。
人々は、より一層、怯えて口を紡ぎ、その勇気を見なかったふりをする。
でも、それでも、一握りの勇気は与えられたはずだ。
そうでなければ報われない。
負けたくない。
ときには、その気持ちが、引きつった笑顔を人々にもたらす。
逃げたい。
その気持ちが、体を硬直させ、逆に自分を逃げられなくする。
死にたい。
もしかしたら、あまりの恐怖に、絶望に、そう思ってしまうこともあるのだろう。
生きようとすることは正しいはずだ。
自分であろうとすることは正しいはずだ。
立ち向かえ。
立ち向かいたい。
逃げたい。
逃げたい。
逃げたい。
立ち向かうのは勇気か無謀か。
立ち向かう勇気は、人々の希望なのか、それともただの願望なのか。
立ち向かって、期待を裏切られ、より一層の孤独を味わうくらいなら。
目と耳を塞ぎ、押し黙り、ただただ自分に災厄が降りかからない幸運を祈る方がマシなのか。
私にはわからない。
だれにもわからない。
その、命がけともいえる選択。
どちらを選んだとしても、一体、だれに非難できようか。
それでもやはり、無敵の「ソレ」をどこかのだれかが打倒してくれるのを。
一矢報いてくれるのを。
どうしても望んでしまうのだ。
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