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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第94話 義時を討て──囁きが走る

京が政子を呼び出した翌日。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“政子への不安”が、

今日は“義時への恐れ”へと形を変えていた。


「京は義時殿を朝敵と見ている」

「政子様まで狙われている」

「北条が前に出すぎているのでは……?」


(京の狙い通りね。

 “絆”を裂くための揺さぶり)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 政所で……

 “義時殿を討つべきだ”という声が……

 上がりました……!」


私は一瞬、息を止めた。


(来た……

 京の“第三の刃”

 ついに鎌倉内部で“義時討ち”が囁かれた)


「誰が言ったの?」


義時は苦い顔をした。


「……和田義盛です」


(最悪の相手……

 義盛は“揺れやすい”し、

 “力を持つ”)


私は即座に立ち上がった。


「義時。

 政所へ行くわよ」


義時は驚いた。


「姉上……危険です……!」


「危険だから行くのよ。

 “火”は、燃え広がる前に踏みつぶす」



──政所。


和田義盛が、

大声で怒鳴っていた。


「京が義時殿を朝敵と見ている以上、

 鎌倉は義時殿を差し出すべきだ!」


御家人たちがざわつく。


「確かに……」

「京を敵に回すのは……」

「義時殿を守れば鎌倉が危うい……」


義時は顔を青ざめさせた。


「私は……

 鎌倉のために働いてきた……!」


義盛は怒鳴った。


「それでも京が“敵”と言えば敵だ!

 鎌倉が朝敵とされれば、

 我らは皆、滅びる!」


(義盛……

 あなたは“恐れ”に飲まれている)


私は前に出た。


「義盛。

 あなたの言い分は理解するわ」


義盛が驚いた顔をした。


「政子様……?」


私は続けた。


「でも──

 義時を差し出した瞬間、

 鎌倉は“京の属国”になる」


空気が止まった。


「京は“義時を倒せ”と言った。

 次は“政子を差し出せ”と言う。

 その次は“鎌倉を明け渡せ”と言う」


義盛の目が揺れた。


「そ、それは……」


「義盛。

 あなたは鎌倉を守りたいのでしょう?」


義盛は拳を握った。


「……もちろんだ」


「ならば──

 義時を討つことは、

 鎌倉を滅ぼすことよ」


御家人たちの空気が変わった。


義村が言った。


「政子様の言う通りだ……

 義時殿を討てば、

 京の思うつぼだ」


義盛は目を閉じた。


「……政子様。

 私は……

 間違っていたのかもしれぬ」


(よし……

 “第三の裏切り”も、ひとまず抑えた)


義時は深く頭を下げた。


「義盛殿……

 私は鎌倉のために働く。

 これからもだ」


義盛は頷いた。


「義時殿……

 信じよう」



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「和田義盛は揺れたか。

 だが……

 まだ折れていない」


侍従が言った。


「鎌倉は政子様が義時殿を支えております」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 次は“和田を切り離す”」


行成は息を呑んだ。


(政子殿……

 京は本気で鎌倉を割りに来る)



──夜。鎌倉。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの死は、

 京を動かし、

 鎌倉を揺らし、

 義時を“標的”に変えた)


筆が走る。


「……京は次に“和田”を狙う」


私は静かに笑った。


──悪女は、

火種が燃え上がる瞬間を見逃さない。


そしてこの日、

**鎌倉内部で“義時を討て”という囁きが走り、

京は次の標的を“和田義盛”へと定めた。


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