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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第92話 裏切りの芽、静かに芽吹く

京の密命が鎌倉に落ちて三日目。


──空気が変わった。


喪の静けさはまだ残っている。

だが、その下で“疑い”が形を持ち始めていた。


「義時殿は京に睨まれている」

「政子様は……どう動くのか」

「鎌倉は……割れるのか……?」


(京の狙い通りね。

 “揺らぎ”は、もう町に根を張った)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 御家人の中に……

 “京につくべきだ”と言い出す者が……!」


私は即座に立ち上がった。


「名前は?」


義時は苦い顔をした。


「……三浦の一部です」


(来た……

 三浦は“最初に揺れる”家)


私は深く息を吸った。


「義時。

 これはもう“噂”じゃない。

 “裏切りの芽”よ」


義時の目が鋭くなる。


「姉上……

 どう動くべきでしょう」


「簡単よ。

 “芽”は、芽のうちに摘む」



──政所。


三浦の一派が集まっていた。

その空気は、昨日までとは違う。


「京は義時殿を朝敵と見ている」

「鎌倉が朝敵とされれば……我らも巻き込まれる」

「ならば……京につくべきでは……?」


義時が前に出た。


「三浦。

 お前たちは……

 鎌倉を捨てる気か」


三浦の男が言った。


「義時殿。

 我らは鎌倉を守りたい。

 だが……

 京を敵に回すのは危険すぎる」


義時の拳が震えた。


「私は……

 鎌倉のために働いてきた……!」


三浦は静かに言った。


「それは分かっている。

 だが──

 “京が義時殿を敵と見ている”

 それが問題なのだ」


(京の“影の論理”が効き始めた)


私は前に出た。


「三浦。

 あなたたちの不安は理解するわ」


三浦の視線が集まる。


私は続けた。


「でも──

 京についた瞬間、

 あなたたちは“鎌倉の裏切り者”よ」


空気が止まった。


「京はあなたたちを守らない。

 利用して、捨てるだけ」


三浦の男が息を呑む。


「政子様……

 それは……」


「事実よ。

 京は“北条を揺らすために”あなたたちを使う。

 あなたたちの命なんて、

 京にとっては“駒”にすぎない」


三浦の表情が変わった。


義時が静かに言った。


「三浦。

 私はお前たちを信じている。

 だから……

 鎌倉に残ってほしい」


三浦は目を閉じた。


「……政子様。

 義時殿。

 我らは……

 鎌倉につきます」


(よし……

 “裏切りの芽”は、ひとまず摘んだ)



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「三浦は揺れたか。

 だが……

 まだ折れていない」


侍従が言った。


「鎌倉は政子様が義時殿を支えているようです」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 次は“政子”を揺らす」


行成は息を呑んだ。


(政子殿……

 あなたの光は、

 京を本気にさせてしまった)



──夜。鎌倉。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの死は、

 京を動かし、

 鎌倉を揺らし、

 裏切りの芽を生んだ)


筆が走る。


「……京は次に“政子”を狙う」


私は静かに笑った。


──悪女は、

狙われる瞬間こそ強くなる。


そしてこの日、

**鎌倉の内部に“裏切りの芽”が生まれ、

京は次の標的を“政子”へと定めた。


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