表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/120

第91話 火種、ついに燃え上がる

京の密命が鎌倉に落ちて二日目。


──空気が変わった。


喪の静けさはまだ残っている。

だが、その下で何かが蠢いている。


「北条義時は朝敵だ」

「京がそう言っているらしい」

「鎌倉は……割れるのか……?」


噂は、火のように広がっていた。


(京の狙い通りね。

 “揺らぎ”は、もう町に根を張った)


義時が政子の屋敷へ飛び込んできた。


「姉上……!

 御家人たちの一部が……

 “義時殿を糺問すべき”と

 言い始めました……!」


その声は震えていた。

だが、目は逃げていない。


私は即座に立ち上がった。


「義時。

 もう“守り”では間に合わないわ」


義時が息を呑む。


「姉上……?」


「京はあなたを潰しに来た。

 なら──

 こちらは“潰されない形”を作るしかない」


義時の表情が変わった。


(そう……

 義時の中で“覚悟”が形になり始めた)



──政所。


御家人たちがざわついていた。

昨日までの沈黙とは違う。

今日は“疑い”が空気を支配している。


「義時殿は京に睨まれている」

「鎌倉のために、一度糺問すべきでは……?」

「いや、北条がいなければ鎌倉は崩れる……!」


義時が前に出た。


「皆……

 私は潔白だ。

 京の言葉に惑わされるな」


しかし──

その声は空気に飲まれた。


(義時……

 まだ“光”にはなりきれていない)


私は一歩前に出た。


「皆。

 京の狙いは“義時を倒すこと”ではないわ」


空気が止まった。


「京の狙いは──

 “鎌倉を割ること”。

 義時を疑わせ、

 鎌倉を内部から崩すことよ」


御家人たちが息を呑む。


義村が言った。


「では……

 京は最初から……

 鎌倉を敵と……?」


「ええ。

 頼朝さんの死を“好機”と見たのよ」


義盛が拳を握った。


「京め……!」


私は続けた。


「だからこそ──

 義時を守ることが、

 鎌倉を守ることになる」


空気が変わった。

疑いが、少しずつ“覚悟”へ変わっていく。


義時が深く頭を下げた。


「皆……

 私は鎌倉のために働く。

 これからもだ」


その声は震えていない。


(義時……

 あなたはもう“柱”になり始めている)



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「北条義時……

 まだ折れぬか」


侍従が言った。


「鎌倉は……

 政子様が義時殿を支えているようです」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 次は“政子”を揺らす」


(来た……

 京の次の刃)


行成は目を閉じた。


(政子殿……

 あなたの光は、

 京を本気にさせてしまった)



──夜。鎌倉。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの死は、

 京を動かし、

 鎌倉を揺らし、

 義時を“柱”に変えつつある)


筆が走る。


「……京は次に“政子”を狙う」


私は静かに笑った。


──悪女は、

狙われる瞬間こそ強くなる。


そしてこの日、

**京の刃は義時を揺らし、

次の標的を“政子”へと定めた。

鎌倉と京の衝突は、もう止まらない。**


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ