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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第9話 鎌倉中が震えた“政子の沈黙”

亀の前の御殿を壊す──。


あの騒動から一夜明けた鎌倉は、

まるで嵐の後のように静まり返っていた。


だが、その静けさの裏で、

とんでもない速度で“噂”が広がっていた。


「聞いたか……政子様が鎌倉殿の暴走を止めたらしい……!」


「しかも、鎌倉殿が政子様の前で黙り込んだとか……!」


「政子様……恐ろしい……!」


(いや、ただ話しただけなんだけど)


私は朝の支度をしながら、

侍女たちのひそひそ声を聞いていた。


「政子様……本日は外出を控えられた方が……」


「なぜ?」


「鎌倉中が……政子様を恐れております……」


(なんでよ)


私はため息をついた。



屋敷の外に出ると、

御家人たちが妙に距離を取って道を開けた。


「政子様……どうぞお通りください……!」


「ひっ……目が合った……!」


(いや、普通に歩いてるだけよ)


私は気にせず歩いた。


銀座でも、

“誤解されて距離を置かれる”ことはよくあった。


ただ、鎌倉の人たちは反応が大げさすぎる。


そんな中、義時が慌てて駆け寄ってきた。


「姉上! 大変です!」


「また何かあったの?」


義時は深刻な顔で言った。


「鎌倉殿が……

 “政子に合わせる顔がない”と……

 朝から部屋に籠もっておられます!」


(あら……かわいいところあるじゃない)


義時は続けた。


「しかも……

 “政子が怒っているに違いない”と……

 御家人たちが震えております!」


(怒ってないわよ)


私は静かに言った。


「義時。

 頼朝さんは、ただ気まずいだけよ」


義時は目を丸くした。


「……姉上は……どうしてそこまで……」


「顔を見ればわかるわ」


義時は完全に固まった。


(また驚いてる)


だが、周囲の反応はもっとひどかった。


「聞いたか!?

 政子様、鎌倉殿の“心の内”まで見抜いておられる……!」


「やはり……恐ろしい……!」


(もう好きに言って……)



その日の昼。


頼朝が、妙にしおらしい顔で現れた。


「……政子」


「はい」


頼朝は視線を逸らしながら言った。


「昨日は……すまなかった」


(あら、素直)


私は微笑んだ。


「気にしていませんよ」


頼朝は驚いたように顔を上げた。


「……怒っていないのか?」


「怒る理由がありませんもの」


頼朝は完全に固まった。


(ほんとに不器用ね、この人)


その瞬間、廊下の侍女たちが震え上がった。


「見た!?

 政子様、鎌倉殿を許した……!」


「やはり……政子様が鎌倉を動かしておられる……!」


(いや、許すも何も、怒ってないのよ)


私はため息をついた。



その日の夕方。


義時が深刻な顔でやってきた。


「姉上……

 鎌倉中が……

 “政子様の沈黙が一番怖い”と……」


(沈黙してただけなんだけど)


義時は続けた。


「……姉上。

 あなたは……本当に……」


「悪女?」


「い、いえ……

 恐ろしく……頼もしいお方です……!」


(褒められてるのか怖がられてるのか、どっちよ)


私は空を見上げた。


──善意で動いているだけなのに、

なぜか“悪女”扱いが止まらない。


でも、いい。


誤解されても、嫌われても、

私は今日も誰かの心を整える。


それが、私の生き方だから。


そしてこの日、

**政子は“鎌倉で最も恐れられる女”として噂が定着した。**


もちろん、本人は何もしていない。


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