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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第89話 京の密命、鎌倉の心臓へ

頼朝が逝って六日目。

鎌倉はまだ深い喪に沈んでいた。


町の声は小さく、

人々の足取りは重い。


「鎌倉殿が……もういないなんて……」

「政子様は……どうされているのか……」

「北条殿が前に出るのか……?」


(そう……

 光を失った町の空気)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 京からの使者が……

 “密命”を帯びて鎌倉に入ったとの報せが……!」


私は息を吸った。


(ついに来た……

 “密命”という名の刃)


「義時。

 京はもう“探り”では満足しない。

 今度は──

 “揺らすための命令”を持ってきたのよ」


義時は顔を強張らせた。


「姉上……

 京は……

 鎌倉を敵と見なした……?」


「ええ。

 そして──

 狙いはあなたよ」


義時は息を呑んだ。



──政所。


京からの密使が到着した。


昨日の使者とは違う。

喪服ではなく、

黒い直衣をまとい、

目は鋭く光っている。


「北条義時殿に……

 “院よりの密命”を伝えに参った」


政所の空気が凍った。


義村が低く言った。


「密命……?」


義盛が眉をひそめた。


「これは……

 ただの弔問ではない……」


密使は文を取り出した。


「院のお言葉──

 “北条義時、鎌倉を乱す者なり”」


政所がざわめいた。


義時の顔が青ざめる。


「な……

 何を……!」


密使は続けた。


「“義時を糺問せよ”

 これが院の御意である」


義村が叫んだ。


「糺問……!?

 つまり……

 義時殿を“裁け”ということか……!」


義盛が拳を握った。


「京は……

 北条を潰しに来た……!」


義時は震える声で言った。


「私は……

 何もしていない……!」


密使は冷たく言った。


「“していない”かどうかは、

 院が決めること」


(来た……

 京の“本気の刃”)


私は前に出た。


「その文は無効よ」


密使の目が細くなった。


「政子様……

 院の御意を……

 無効と申されるか」


「ええ。

 鎌倉は鎌倉で裁く。

 京の命令で動くことはないわ」


密使は笑った。


「政子様……

 あなたは強い。

 だが──

 “鎌倉は光を失った”」


私は静かに言った。


「光は……

 受け継がれるものよ」


密使の笑みが消えた。


「……承知いたしました。

 では、院へそのまま伝えましょう」



──政所を出た後。


義時は深刻な顔で言った。


「姉上……

 京は……

 私を“敵”と決めた……?」


私は静かに頷いた。


「ええ。

 京は“北条を倒せば鎌倉が崩れる”と

 考えている」


義時は拳を握った。


「姉上……

 私は……

 鎌倉を守ります。

 たとえ京が敵でも……!」


私は義時の肩に手を置いた。


「義時。

 あなたはもう“頼朝の影”じゃない。

 鎌倉の“心臓”よ」


義時の目に、

強い光が宿った。



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの死は、

 京を動かし、

 鎌倉を揺らした)


筆が走る。


「……京は“義時討ち”を始めた」


私は静かに笑った。


──悪女は、

刃が心臓に向かう瞬間を見逃さない。


そしてこの日、

**京は“義時糺問”という名の刃を送り、

鎌倉の心臓を狙い始めた。

戦の影が、確実に近づいている。**


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