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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第87話 京、鎌倉の空白へ手を伸ばす

頼朝が逝って四日目。

鎌倉はまだ喪に沈んでいた。


町の声は小さく、

人々の足取りは重い。


「鎌倉殿が……本当に……」

「政子様は……大丈夫なのか……」

「北条殿が前に出るのか……?」


(そう……

 光を失った町の空気)


義時が政子の屋敷へ現れた。


「姉上……

 御家人たちの間で、

 “鎌倉の次の形”を巡る議論が

 さらに激しくなっています」


私は静かに頷いた。


「当然よ。

 頼朝さんという“中心”が消えたのだから」


義時は眉をひそめた。


「姉上……

 私は……

 まだ“柱”にはなれていません」


私は義時を見つめた。


「義時。

 柱は“なる”ものじゃない。

 “立つ”ものよ」


義時の目に、

わずかな光が宿った。


「……はい」



──その頃、京。


後鳥羽院は、

鎌倉の混乱を聞きながら

静かに扇を閉じた。


「北条政子と義時……

 鎌倉は“女と弟”の時代か」


侍従が言った。


「院……

 鎌倉はまだ混乱しております」


後鳥羽院は微笑んだ。


「混乱は……

 揺らす者の味方だ」


その微笑みは美しく、

しかし底に冷たい刃があった。


「行成を呼べ」



──行成の部屋。


行成は、

頼朝の訃報を聞いた瞬間、

胸の奥が締めつけられた。


(政子殿……

 あなたは……

 今、どんな顔をしているのだろう)


侍従が告げた。


「行成殿。

 院がお呼びです」


行成は深く息を吸った。


(来た……

 “次の影”が)



──後鳥羽院の御所。


行成が膝をつくと、

後鳥羽院は静かに言った。


「行成。

 鎌倉は光を失った。

 今こそ──

 “揺らす時”だ」


行成は息を呑んだ。


「院……

 鎌倉は……

 まだ政子殿と義時殿が……」


後鳥羽院は微笑んだ。


「だからこそだ。

 “北条”を揺らせば、

 鎌倉は必ず崩れる」


行成は震えた。


(政子殿……

 あなたの光が……

 京を刺激してしまった)


後鳥羽院は続けた。


「行成。

 そなたには……

 “鎌倉を知る者”としての役目がある」


行成は目を閉じた。


「……承知いたしました」


(政子殿……

 私は……

 あなたの光を知ってしまった。

 だからこそ……

 この役目が苦しい)



──鎌倉・政子の屋敷。


義時が深刻な顔で言った。


「姉上……

 京からの使者が……

 “再び”鎌倉へ向かっているとの報せが……」


私は息を吸った。


(来たわね……

 京の“直接介入”)


「義時。

 京はもう影だけでは揺らせないと悟ったのよ。

 だから──

 “手”を伸ばしてくる」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 これは……

 戦の前触れ……?」


私は静かに言った。


「まだよ。

 でも──

 “戦の準備”は始まったわ」


義時の目に、

強い光が宿った。


「姉上……

 私は……

 鎌倉を守ります」


私は頷いた。


「ええ。

 義時。

 これからの鎌倉は、

 あなたと私が作るのよ」



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの死は、

 京を動かし、

 鎌倉を揺らした)


筆が走る。


「……京が“手”を伸ばす」


私は静かに笑った。


──悪女は、

影が形を持つ瞬間を見逃さない。


そしてこの日、

**京は“鎌倉の空白”へ手を伸ばし、

鎌倉はついに“外からの揺さぶり”を受け始めた。**


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