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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第80話 光の終わり、光の始まり

頼朝の容態が悪化して四日目。

鎌倉の空気は、

まるで世界が息を潜めているようだった。


「鎌倉殿……今夜が峠らしい」

「政子様がずっと付き添っているとか……」

「北条殿も……顔色が優れぬ……」


(そう……

 町の声が弱い。

 光が沈む時の声)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 鎌倉殿の容態が……

 “急変”しました……!」


私は息を呑んだ。


「行きましょう」



──頼朝の館。


部屋に入ると、

頼朝は枕元で浅い呼吸を繰り返していた。


昨日よりも、

明らかに弱い。


その姿は、

まるで光が消えかけているようだった。


「政子……

 来てくれたか……」


私はそばに座り、

頼朝の手を握った。


「頼朝さん……

 しっかりして……」


頼朝はかすかに微笑んだ。


「政子……

 私は……

 お前に……

 出会えて……

 よかった……」


その声は、

まるで風のように弱かった。


医師が小声で言った。


「政子様……

 鎌倉殿は……

 今夜が……

 最後かもしれませぬ」


義時が震えた。


「最後……!?

 医師殿……

 そんな……!」


医師は首を振った。


「鎌倉殿は……

 もう……

 力を使い果たしておられます」


(そんな……

 頼朝さん……

 まだ……

 まだ終わらないで……)


頼朝は私の手を強く握った。


「政子……

 鎌倉を……

 頼む……

 お前なら……

 できる……」


私は涙をこらえた。


「頼朝さん……

 あなたがいない鎌倉なんて……

 考えられない……」


頼朝は目を閉じた。


「政子……

 お前が……

 光だ……」


その瞬間、

頼朝の手から力が抜けた。


「頼朝さん……!

 頼朝さん……!」


医師が駆け寄る。


「政子様……!

 まだ息はあります……!

 しかし……!」


義時が震える声で言った。


「姉上……

 鎌倉殿は……

 もう……!」


私は頼朝の手を握りしめた。


(頼朝さん……

 あなたの光が……

 消えようとしている……)



──館を出た後。


義時は深刻な顔で言った。


「姉上……

 鎌倉殿が倒れれば……

 鎌倉は……

 空気そのものが崩れます」


私は静かに頷いた。


「ええ。

 でも──

 崩れた空気は、

 “作り直せばいい”」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 あなたは……

 もう覚悟を……?」


私は義時を見つめた。


「義時。

 頼朝さんの光が沈むなら──

 次の光は、

 私たちが作るのよ」


義時の目に、

強い光が宿った。


「姉上……

 私は……

 あなたと共に……

 鎌倉を守ります」


(義時……

 あなたの覚悟が、

 これからの鎌倉を支える)



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの光は沈みつつある。

 でも──

 光が沈む時、

 新しい光が生まれる)


筆が走る。


「……鎌倉は変わる」


私は静かに笑った。


──悪女は、

光の終わりを恐れず、

光の始まりを見つめる。


そしてこの日、

**頼朝の光は沈み、

政子と義時の“新しい光”が生まれ始めた。**


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