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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第8話 鎌倉殿と亀の前と政子、三者が向き合う

亀の前の御殿の前に立つと、

中からは泣き声と、侍女たちの慌ただしい足音が聞こえた。


頼朝は拳を握りしめたまま、扉の前で立ち尽くしている。


「……政子。

 私は……どうすればいい」


その声は、怒りではなく迷いだった。


(やっぱりね。

 この人、怒ってるんじゃなくて“どうしていいかわからない”だけ)


私は静かに言った。


「まずは、話しましょう。

 壊すのは、その後でもできるわ」


頼朝は息を呑んだ。


「……政子。

 お前は……本当に……」


「何?」


「……不思議な女だ」


(褒め言葉として受け取っておくわ)


私は扉を開けた。



中では、亀の前が泣き腫らした目で座っていた。


「鎌倉殿……政子様……」


頼朝は気まずそうに視線を逸らす。


(ああ、この空気。

 銀座で何度も見た“気まずい三角関係”のやつ)


私は二人の間に座った。


「まずは、順番に話しましょう。

 誰も責めないで。

 ただ、気持ちを言うだけでいいの」


亀の前は震える声で言った。


「鎌倉殿……最近、私のところに来られても……

 ずっと黙っていて……

 まるで、私が悪いことをしたみたいで……」


頼朝は驚いたように顔を上げた。


「違う!

 私は……その……

 政子と会った後で……どう接していいかわからなくて……」


(あー……やっぱり“気まずい男”ムーブね)


亀の前は涙をこぼした。


「私……嫌われたのかと……」


頼朝は慌てて首を振った。


「嫌ってなどいない!

 むしろ……その……

 お前を困らせたくなくて……」


(不器用すぎるわよ、この人)


私は二人を見渡した。


「ね?

 誰も悪くないでしょう?」


亀の前は泣きながら頷いた。


頼朝は深く息を吐いた。


「……政子。

 お前がいなければ、私は……

 このまま御殿を壊していたかもしれん」


(それは本当にやめてほしい)


その瞬間、廊下の侍女たちがざわめいた。


「聞きました!?

 政子様が鎌倉殿の怒りを鎮めた……!」


「やはり……恐ろしい……!」


(いや、ただ話を整理しただけよ……)


私はため息をついた。



三者の空気が少し落ち着いたところで、

私は静かに言った。


「頼朝さん。

 あなたが壊したいのは御殿じゃないわ。

 “気まずさ”よ」


頼朝は完全に固まった。


「……政子。

 お前は……私の心を読んでいるのか……?」


「読んでないわ。

 ただ、あなたの顔を見ればわかるだけ」


頼朝は視線を逸らした。


亀の前は小さく笑った。


「政子様……本当に……すごい方……」


(褒められてるのか、誤解されてるのか、どっちよ)


私は立ち上がった。


「さあ。

 今日はもう帰りましょう。

 壊す必要なんて、どこにもないわ」


頼朝はゆっくりと頷いた。


「……政子。

 お前が言うなら……そうしよう」


その瞬間、廊下の侍女たちが震え上がった。


「見た!?

 政子様が鎌倉殿を動かした……!」


「やはり……恐ろしい……!」


(もう好きに言って……)


私は小さく息をついた。


──善意で動いているだけなのに、

なぜか“悪女”扱いが加速していく。


でも、いい。


誤解されても、嫌われても、

私は今日も誰かの心を整える。


それが、私の生き方だから。


そして私は、

**歴史の大事件を“壊さずに”終わらせた。**


だが──

この出来事が、

後に“政子の嫉妬による報復”として語られるとは、

この時の私はまだ知らなかった。


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