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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第78話 鎌倉、沈む光の中で

頼朝の容態が悪化した翌朝。

鎌倉の町は、まるで霧に包まれたように沈んでいた。


「鎌倉殿……持ち直したのか……?」

「いや……昨夜は危なかったらしい」

「政子様が付き添っているとか……」


(そう……

 町の声が弱い。

 光が揺らぐ時の声)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 鎌倉殿の容態が……

 さらに悪くなりました……!」


私は息を呑んだ。


「行きましょう」



──頼朝の館。


部屋に入ると、

頼朝は昨日よりもさらに弱っていた。


呼吸は浅く、

顔色は白く、

その瞳はどこか遠くを見ている。


「政子……

 来てくれたか……」


私はそばに座り、

頼朝の手を握った。


「頼朝さん……

 しっかりして……」


頼朝はかすかに微笑んだ。


「政子……

 私は……

 まだ……

 お前と……

 鎌倉を……

 守りたい……」


その声は、

まるで風のように弱かった。


医師が小声で言った。


「政子様……

 鎌倉殿は……

 今夜が……

 山でございます」


義時が震えた。


「山……!?

 医師殿……

 鎌倉殿は……!」


医師は首を振った。


「今は……

 祈るしかございません」


(またその言葉……

 祈るしかない……

 そんな無力な言葉、聞きたくない)


頼朝は私の手を強く握った。


「政子……

 お前が……

 光だ……

 鎌倉を……

 頼む……」


私は涙をこらえた。


「頼朝さん……

 あなたがいない鎌倉なんて……

 考えられない……」


頼朝は目を閉じた。


「政子……

 私は……

 お前に……

 出会えて……

 よかった……」


その瞬間、

頼朝の手から力が抜けた。


「頼朝さん……!

 頼朝さん……!」


医師が駆け寄る。


「政子様……!

 まだ息はあります……!

 しかし……!」


義時が震える声で言った。


「姉上……

 鎌倉殿は……

 危ない……!」


私は頼朝の手を握りしめた。


(頼朝さん……

 まだ行かないで……

 あなたがいなければ……

 鎌倉は……)



──館を出た後。


義時は深刻な顔で言った。


「姉上……

 鎌倉殿の病……

 これは……

 鎌倉そのものの揺らぎです」


私は頷いた。


「ええ。

 頼朝さんの光が弱まれば、

 鎌倉は揺れる。

 京はそれを待っている」


義時は拳を握った。


「姉上……

 私は……

 鎌倉を守ります。

 たとえ……

 鎌倉殿が……!」


私は義時の肩に手を置いた。


「義時。

 あなたがいる限り、

 鎌倉は揺れないわ」


義時は深く頷いた。


「姉上……

 私は……

 覚悟を決めます」


(義時……

 あなたの覚悟が、

 これからの鎌倉を支える)



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(頼朝さん……

 あなたの光が揺らいでいる。

 でも──

 光が揺らぐ時、

 影は必ず動く)


筆が走る。


「……京が次の手を打つ」


私は静かに笑った。


──悪女は、

光が沈む瞬間を見逃さない。


そしてこの日、

**鎌倉は“光の沈み”を感じ、

京の影が確実に近づいていることを悟り始めた。**


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