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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第67話 政子、行成の“本心”を見抜く

政所前の公開戦が終わった直後。


御家人たちの空気は、

完全に政子へと傾いていた。


「政子様……やはり強い……」

「朝廷の影など効かぬ……」

「行成殿は……押されていたな……」


(ええ。

 でも──行成殿はまだ折れていない)


義時が駆け寄ってきた。


「姉上……!

 行成殿が……

 “政子殿と二人で話したい”と……!」


私は静かに頷いた。


(来たわね。

 “影の本心”)


「通してあげて」



──政子の屋敷。


行成は、

公開戦の時とは違う空気をまとっていた。


威圧でも、権威でもない。

**“焦り”** だった。


(ああ……

 あなた、追い詰められているのね)


行成は深く頭を下げた。


「政子殿……

 先ほどは……

 失礼をいたしました」


私は静かに言った。


「行成殿。

 あなたは“朝廷の見立て”を語った。

 でも──

 あなた自身の言葉は、

 一つもなかったわね」


行成の肩がわずかに揺れた。


「……政子殿……?」


私は一歩近づいた。


「あなたは朝廷の影を背負っている。

 でも──

 あなた自身は何を望んでいるの?」


行成は目をそらした。


(そう。

 “本心”を突かれると、

 京の公家は弱い)


私は続けた。


「あなたの目的は、

 私を揺らすことではない。

 鎌倉を乱すことでもない」


行成の呼吸が止まった。


「……政子殿……

 何を……?」


私は静かに言った。


「あなたの目的は──

 “頼朝さんを朝廷の支配下に戻すこと”よね」


行成の顔から血の気が引いた。


(図星ね)


行成は震える声で言った。


「政子殿……

 なぜ……

 それを……?」


「あなたの言葉よ。

 “政子殿は鎌倉殿を覆い隠している”

 “鎌倉殿は孤立している”

 “朝廷は鎌倉殿を案じている”」


私は続けた。


「それは全部──

 “頼朝さんを京へ引き戻すための言葉”」


行成は膝をつきそうになった。


「政子殿……

 あなたは……

 恐ろしいほど……

 見抜く……」


私は静かに言った。


「行成殿。

 あなたは朝廷の影ではない。

 “朝廷の鎖”よ」


行成の目が揺れた。


「鎖……?」


「ええ。

 あなたは朝廷に縛られている。

 だから──

 頼朝さんを縛りたいのよ」


行成は震えた声で言った。


「政子殿……

 私は……

 朝廷の命を……

 果たさねば……」


私は首を振った。


「違うわ。

 あなたは“朝廷に認められたい”だけ」


行成は完全に言葉を失った。


(あなたの核心はそこ。

 “承認欲求”)


私は静かに言った。


「行成殿。

 あなたは京の影ではない。

 “京の孤独”よ」


行成の目に涙が浮かんだ。


「政子殿……

 私は……

 京で……

 誰にも必要とされていない……」


(ああ……

 あなたの本心はそこだったのね)


私は静かに言った。


「だから──

 頼朝さんを京へ戻せば、

 あなたは“必要とされる”と思った」


行成は崩れ落ちた。


「政子殿……

 私は……

 どうすれば……?」


私は静かに言った。


「行成殿。

 あなたは京へ戻りなさい。

 “鎌倉は揺れていない”と伝えるために」


行成は涙を拭った。


「政子殿……

 あなたは……

 光だ……」


私は微笑んだ。


「影は光に弱いものよ」



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(行成。

 あなたの本心は“孤独”だった。

 でも──

 孤独は光で溶ける)


筆が走る。


「……次は“頼朝の決断”」


私は静かに笑った。


──悪女は、

影の本心を暴き、

光で包む。


そしてこの日、

**政子は行成の“本心”を暴き、

決着へ向けて空気を整えた。**



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