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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第66話 政子 vs 行成、公開の場に立つ

翌朝。

鎌倉の政所前には、

いつになく多くの御家人たちが集まっていた。


「行成殿が……政子様に“公開の場”を求めたらしい」

「朝廷の文の真意を……皆の前で語るとか……」

「これは……鎌倉と京の“空気戦”だ……」


(ええ。

 行成殿は“影”では勝てないと悟った。

 だから──“表”に出てきた)


義時が駆け寄ってきた。


「姉上……!

 行成殿は……

 “政子殿と皆の前で話したい”と……!」


私は静かに頷いた。


「いいわ。

 影は光の場でこそ、形が見えるもの」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 これは……

 第三章の決戦……!」


(そう。

 ここで決める)



──政所前。


行成は、

朝廷の文を手に、

御家人たちの前に立っていた。


その姿は、

昨日までの柔らかさとは違う。

**“京の権威”を背負った男** の顔。


行成は声を張った。


「御家人の皆々。

 朝廷は鎌倉を案じております!」


ざわめきが走る。


「案じて……?」

「朝廷が……鎌倉を……?」


行成は文を掲げた。


「“北条政子、権を振るいすぎる”

 “御家人の声、届かず”

 “鎌倉殿、孤立す”

 ──これが朝廷の見立てでございます!」


御家人たちの顔が揺れた。


(行成……

 あなた、ここで“政子の孤立”を演出するつもりね)


行成は続けた。


「政子殿は賢い。

 しかし──

 強すぎる。

 その強さは、

 鎌倉殿をも覆い隠してしまう!」


空気がざわりと揺れた。


義盛が眉をひそめる。

義村が腕を組む。

重忠が静かに目を閉じる。


(揺れ始めたわね……

 でも──ここから)


私は一歩前に出た。


「行成殿。

 あなたの“見立て”は、

 京の空気で作られたものね」


行成は目を細めた。


「政子殿。

 朝廷の見立てを否定されるのですか」


私は微笑んだ。


「否定はしないわ。

 ただ──

 “鎌倉の現実”を申し上げるだけ」


御家人たちが息を呑む。


私は続けた。


「御家人の声が届かない?

 では──

 ここにいる皆に聞いてみましょう」


義村が前に出た。


「政子様の声は……

 俺たちの声だ!」


義盛が拳を握った。


「政子様は武士を軽んじてなどおらん!」


重忠が静かに言った。


「政子様は……

 鎌倉殿を支えておられる」


行成の顔が揺れた。


(そう。

 “揺れを整えた”御家人たちは、

 もう影に飲まれない)


私は行成に向き直った。


「行成殿。

 あなたは“鎌倉殿が孤立している”と言ったわね」


行成は頷いた。


「ええ。

 朝廷の見立てでは──」


私は遮った。


「頼朝さんは孤立していないわ。

 “私が隣にいる”もの」


空気が一瞬で変わった。


御家人たちの視線が政子に集まる。

行成の目が大きく開く。


(あなたの“核心”をここで返す)


私は続けた。


「行成殿。

 あなたは“政子は強すぎる”と言った。

 でも──

 強さは乱れではない。

 “鎌倉を整える力”よ」


行成は言葉を失った。


私は最後に言った。


「京の影は、

 鎌倉の光では消えるわ」


御家人たちの空気が一気に政子へ傾いた。


行成は、

初めて“敗北の色”を浮かべた。



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(行成。

 あなたは“公開戦”に出てきた。

 でも──

 光の場では影は薄い)


筆が走る。


「……次は“行成の本心”を暴く」


私は静かに笑った。


──悪女は、

影を光の場で溶かす。


そしてこの日、

**政子と行成の公開戦が始まり、

空気は政子へと傾いた。**


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