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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第60話 政子、頼朝の揺れを受け止める

藤原行成が去った後の頼朝の館は、

まるで風の止んだ海のように静かだった。


だが──

その静けさの奥に、

小さな波が揺れているのが分かった。


(頼朝さん……

 あなたは“孤独”という言葉に弱い)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……

 鎌倉殿が……

 “政子を呼ぶな”と……」


私は静かに息を吸った。


(ああ……

 行成の言葉が刺さったのね)


「ええ。

 しばらく放っておきなさい」


侍女は驚いた。


「政子様……

 よろしいのですか……?」


私は微笑んだ。


「揺れた心は、

 追えば逃げるものよ」



──夜。頼朝の館。


私は灯りも持たず、

静かに頼朝の部屋へ向かった。


扉の前で、

頼朝の低い声が聞こえた。


「……政子は……

 私を……囲っているのか……?」


(ああ……

 行成の言葉がまだ残っている)


私は扉を開けた。


頼朝は驚いた顔をした。


「政子……

 呼んでいない」


私は静かに言った。


「呼ばれなくても来るわ。

 あなたが揺れているから」


頼朝は目をそらした。


「……行成が言った。

 政子は……

 私を支えているのではなく……

 囲っている、と」


私は近づいた。


「頼朝さん。

 あなたは囲われるような人じゃないわ」


頼朝の目が揺れた。


「政子……

 私は……

 お前に依存しているのか……?」


私は首を振った。


「依存じゃない。

 “信頼”よ」


頼朝は息を呑んだ。


私は続けた。


「あなたは私を信じている。

 私はあなたを信じている。

 それだけのこと」


頼朝は震えた声で言った。


「政子……

 私は……

 孤独なのか……?」


(ああ……

 この言葉。

 あなたの一番深いところ)


私はそっと頼朝の手を取った。


「孤独じゃないわ。

 あなたの隣には、

 いつも私がいる」


頼朝の目が潤んだ。


「政子……

 お前は……

 強いな……」


私は微笑んだ。


「強くなんてないわ。

 ただ──

 あなたの揺れを受け止められるだけ」


頼朝は深く息を吐いた。


「政子……

 行成の言葉は……

 もう気にせぬ」


(ええ。

 あなたはもう揺れていない)


私は静かに言った。


「頼朝さん。

 行成は“心”を攻めてきた。

 でも──

 心は、光を当てれば戻る」


頼朝は頷いた。


「政子……

 お前が光だ」


(その言葉があれば十分)



──政子の屋敷。


義時が駆け込んできた。


「姉上……!

 鎌倉殿は……

 大丈夫なのですか……?」


私は微笑んだ。


「ええ。

 揺れは止まったわ」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 あなたは……

 鎌倉殿の心まで……

 整えてしまうのですね……!」


(整えるんじゃない。

 “寄り添う”のよ)



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(行成。

 あなたは頼朝さんを揺らした。

 でも──

 揺れは光で戻る)


筆が走る。


「……次は“行成の心”」


私は静かに笑った。


──悪女は、

揺れた心を静かに抱きしめる。


そしてこの日、

**政子は頼朝の揺れを受け止め、

京の影の“心攻め”を無効化した。**


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